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LINEで送るだけで印刷!ユーザーとプリンターの距離を近づけたキヤノンのLINE活用方法

キヤノン株式会社

写真左から
キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 インクジェットシステム開発センター山本宗主氏
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 プリンティング企画本部 稲垣多青氏
キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 コンシューマインクジェット事業部主幹 西村寿子氏
キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 齋藤絢子氏

LINEの「Messaging API」とは、企業とユーザーの双方向コミュニケーションを可能にする機能です。企業はMessaging APIを活用し、LINE公式アカウントと企業のシステムを連携させることで、サービスをより便利な形でユーザーに提供することができます。LINEと企業のシステムを連携させた活用事例には、ポイントカードやレストランの予約サービス、チャットによるカスタマーサポートなどがありますが、連携できるのはウェブサービスだけではありません。

キヤノン株式会社(以下、キヤノン)は、LINE公式アカウントとプリンターを連携させ、スマートフォンで撮影した写真をLINEに送るだけで印刷できるサービスを提供しています。この取り組みについて、キヤノン担当者に話を伺いました。

目的
  • プリンターによる印刷をユーザーにとってより日常的な出来事にしたい
  • プリンターの設定に苦手意識を持つユーザーにも手軽にプリンターを使ってもらいたい
施策
  • LINE公式アカウントとプリンターをMessaging APIで連携
  • LINE公式アカウントに写真を送ることでプリンターから印刷できる機能を開発
効果
  • LINEと連携できることが、プリンターの目玉機能として市場や販売店から注目を集める
  • これまでプリンター操作に苦手意識を感じていたユーザーからも高い評価を受ける

SNSの普及で、写真を印刷するニーズは減少傾向に

デジタルカメラやビデオ、プリンターなどのイメージング機器、オフィス機器の開発・製造を手がけるキヤノンが展開する家庭用インクジェットプリンターの「PIXUS」シリーズは、高精度な美しい画質で多くのユーザーから支持されています。しかし、プリンターをめぐる市場環境は、年々厳しくなっています。キヤノンのインクジェット事業本部でソリューションサービス戦略策定を担当する西村寿子氏(以下、西村氏)は次のように説明します。

キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 コンシューマインクジェット事業部主幹 西村寿子氏

「SNSやメールの普及により、家庭用プリンターを使った印刷物は年々減っています。時代の変化ともいえますが、そもそも家庭用プリンターに関しては、プリンタードライバをパソコンにインストールし、プリンター本体を家庭内のLANに接続するなど、IT機器に慣れていない方にはハードルが高いという課題がありました。そこで、プリンターをもっと身近なものとして、多くの方々が気軽に印刷を楽しめるように、何か新しい提案ができないかと考えていました」(西村氏)

いまや記念写真も、そのほとんどがスマートフォンで撮影・保存される時代です。かつてはフィルムを現像して出力された写真を飾ったり、年賀状やグリーティングカードに写真を印刷して送ったりするなど、人々のコミュニケーションに大きく貢献していた印刷物も需要は減少傾向にあります。ただ、そんな時代だからこそ、印刷物ならではの楽しみ方や価値にあらためて注目が集まっています。

「印刷物には手元に残しておくことで、生活に彩りが生まれるという魅力があります。例えば、スマートフォンの写真は画面で見て終わりという瞬間的な楽しみ方ですが、家族の記念写真を印刷して目の届くところに置けば、それだけで気分が明るくなり、生活のモチベーションにもなります。こうしたプリンターの楽しみ方をもっと身近に感じてもらえるよう、ユーザーにとって身近なツールであるLINEを活用し、コミュニケーションの延長線上でプリントができる仕組みを企画しました」(西村氏)

LINEで友だちとやり取りするように、LINEでプリンターに印刷を指示

そこで開発されたのが、PIXUSのプリンターとLINE公式アカウントを連携させ、LINEのトーク上でプリンターのアカウントに写真を送ると、そのままプリンターから写真が出力される「PIXUSトークプリント」です。

キヤノン インクジェット事業本部に所属する齋藤絢子氏(以下、齋藤氏)は、「PIXUSトークプリント」の開発に当たり、「2つのことに留意した」と説明します。

キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 齋藤絢子氏 キヤノンマーケティングジャパン株式会社 プリンティング企画本部 稲垣多青氏

「第一にお客様にわかりやすく、かつ必要な情報を簡潔に伝える文言を使用すること。第二に、写真プリントまでのステップを最小限に抑えることです」(齋藤氏)

せっかくLINEを使い、「親しみやすいプリンター」を目指すのであれば、普通に友だちと会話するようなテンポの良いコミュニケーションの実現が必要でした。実際に「PIXUSトークプリント」の開発を担当した山本宗主氏は、「LINEのトーク画面でプリンターを操作する時、あたかも友人とおしゃべりしている感覚で楽しみながら印刷できるように、レスポンスのスピードも改善し、LINEのトークの良さを再現するように心がけました」と振り返ります。

キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 インクジェットシステム開発センター山本宗主氏 キヤノン株式会社 インクジェット事業本部 コンシューマインクジェット事業部主幹 西村寿子氏

市場や販売店もLINE連携プリンターに注目

こうして2018年8月、LINE公式アカウント「ピクサス」と連携した「PIXUSトークプリント」を実装したプリンターの新シリーズがリリースされました。

プリンターの液晶画面のメニューを操作し、「LINE」のアイコンをタップすると、PIXUSのLINE公式アカウントの友だち追加用QRコード*が表示されます。実はこれも、「LINEで通常の友だち追加を行う時と同様の方法」を意識したためです。

「PIXUSトークプリント」でプリントを行った写真

 

プリンターの操作画面にPIXUSのLINE公式アカウントの友だち追加用QRコードが表示される

 

その後、自分のスマートフォンのLINEを起動し、プリンターのQRコードを読み取り、PIXUSのLINE公式アカウントのトーク画面を開いてプリンター本体にある登録コードを入力してメッセージ送信すれば、準備は完了します。

  • QRコードは デンソーウェーブの登録商標です。

「PIXUSトークプリント」の使い方

印刷時には、LINEのトーク画面から印刷したい写真を選んでプリンターのアカウントに送信するだけです。この「PIXUSトークプリント」の機能と新シリーズのプリンターをプレス発表したところ、その機能の新規性にメディアや販売店から多くの反響があったそうです。

PIXUSシリーズの販売マーケティングを担当するキヤノンマーケティングジャパン株式会社の稲垣多青氏は「新しいプリンター製品が発表されると、メディアは印刷速度や解像度などのスペックに注目しますが、今回はLINEとの連携が注目され、『LINEから印刷できるプリンター』として大きく取り上げられました。販売店も同じく、『LINEで印刷』という特徴を訴求しており、お客様からも好反応をいただいています」と語ります。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 プリンティング企画本部 稲垣多青氏

今後は一般書類の印刷もLINEで、今後の進化に期待

現在、PIXUSのLINE公式アカウントの友だち数は、2018年10月時点で9,488人ほど。登録者の全員がアクティブユーザーというわけではありませんが、100枚前後印刷しているヘビーユーザーもおり、「スマートフォンの写真を印刷する」という作業を楽しんでいるようです。また、「ITに詳しい家族に任せていたプリンターの設定・印刷ができるようになった」と喜ぶ声もあり、LINEを使うことでプリンターユーザーの裾野は確実に広がっています。

今後の方向性として、同社は「PDFやWordなど、日常的にLINEでやりとりされている写真以外のデータにも『PIXUSトークプリント』の対応範囲を広げることで、ユーザーとプリンターの距離をより近づけていきたい」と、語ります。

好きな写真を飾ったり送ったり、大切な書類を読み返したりなど、日常生活の彩りや丁寧さを演出するプリンター。LINEを使うことで「楽しい」という新たな価値が加わり、プリンターの魅力をあらためて打ち出すことができました。LINEで実現できるのは、人と人や、人と企業のコミュニケーションだけではありません。事務機器や電子機器とそのユーザーをつなぎ、その価値を伝えることも、LINEで実現できるコミュニケーションのひとつです。

(取材・文=岩崎史絵)

  • 本記事の内容は2018年12月公開時点のものです。

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