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3分で空席が完売に。ダイナースクラブのLINE公式アカウント活用法

三井住友トラストクラブ株式会社

三井住友トラストクラブ株式会社 広報部 部長 井上 聡氏
三井住友トラストクラブ株式会社 カードサービス推進本部 提携サービス企画部 部長 クックデ サンジェイ氏

LINE公式アカウントでは、APIと企業のシステムを連携させることで、パーソナライズされたメッセージの送信や企業とユーザーの双方向のコミュニケーション、LINE上で企業サービスの提供を実現することができます。ユーザーとの双方向コミュニケーションと、LINEの即時性をうまく利用することで、ブランドロイヤリティーの向上に寄与している「ダイナースクラブ ごひいき予約」について担当者の井上聡氏(以下、井上氏)とクックッデサンジェイ氏(以下、サンジェイ氏)に話を伺いました。

目的
  • 人気店の予約を取りたいという会員のニーズと飲食店の直前キャンセル問題を、即時性の強いLINEという手段で解決したい
  • カード会員のロイヤリティーを向上させたい
施策
  • 直前キャンセルが出た優良飲食店の空席情報をLINE公式アカウントで会員へ告知・再販
  • 飲食店と予約システム、LINEの連携により「予約段階で決済が完了する」という仕組みを構築
効果
  • LINE公式アカウントの活用で、情報配信から平均15分ほどでキャンセル席が完売

飲食店とカード会員をつなげる「ダイナースクラブ ごひいき予約」

日本で最も歴史のあるクレジットカードである「ダイナースクラブ」。 ダイナース(食事を楽しむ人)のためのクラブがサービスのルーツであり、カード会員へのグルメサービスに力を入れていることでも知られています。

そのダイナースクラブが2017年8月に開始したサービスが「ダイナースクラブ ごひいき予約」です。このサービスは、直前キャンセルによって生じた飲食店の空席をダイナースクラブが買い取り、ダイナースクラブのLINE公式アカウントで空席情報をリアルタイムに告知し、そのメッセージから予約ができるというもの。

ダイナースクラブ ごひいき予約

予約はダイナースクラブのカード決済のみで行えるため、競合他社との差別化やカード会員のブランドロイヤリティーの向上に寄与しています。また、飲食店の「直前キャンセル問題」の解決にも一役買っており、社会問題へ取り組んでいる施策ともいえます。

LINEの即時性・開封率の高さでサービスの導入を決定

そもそも、同社がLINE公式アカウントを開設したのは、ごひいき予約のサービスがきっかけでした。サービスの構想自体は以前からあったものの、当日キャンセルの席をその日のうちに再販するためには、メールなど既存の方法では間に合わなかったため見送られていたといいます。

「グルメなカード会員が多く、なかなか予約が取れない人気店の予約を取りたいという希望をよくいただいておりました。一方、飲食店からは直前キャンセルに困っているという声があり、その双方のニーズをマッチングさせる仕組み、飲食店の直前キャンセルを再販できる仕組みをずっと考えていました。そこに、LINEの即時性・開封率の高さがうまく合致するのではないかと社内で導入を決定しました」(井上氏)

井上 聡氏

導入に際して技術的なハードルは、飲食店と予約システム(ポケットコンシェルジュ)とLINE、この三者をつなげることでした。

直前キャンセルが発生した時、飲食店側が登録ページに入力すると同時にLINE公式アカウントからメッセージが送られ、通知を受け取ったユーザーが予約サイトで申し込み。そこで支払いも完了させるというのがサービスの流れです。

サービスの流れ

結果、「予約段階で決済が完了する」という非常にスマートな仕組みができあがり、ユーザーに新しいダイニング体験の提供が実現しました。

現場では以前から消費者と飲食店をつなげるサービスのニーズがあると感じていたこともあり、開発・導入は高いモチベーションで進みました。

情報配信から最短3分でキャンセル席が完売

「想像以上にお客さまからも反響があり、想定を大幅に上回る結果が出ています。直前キャンセルの通知が配信されてから3分で予約が埋まってしまうことも珍しくありません」
(サンジェイ氏)

クックデ サンジェイ氏

現在1日におよそ5件の直前キャンセルの通知が飲食店から通知されているが、平均15分ほどでほぼ予約は埋まってしまいます。

その背景にはメッセージ配信対象である「ダイナースクラブ会員」のブランドロイヤリティーが高いことが挙げられます。もともと、カード会員誌「SIGNATURE」やさまざまなキャンペーンの取り組みでカード会員との接点は強く、ユーザーと双方向のコミュニケーションが取れるLINEとは相性が良かったようです。

「LINEはOne to Oneでお客さまとつながれるサービスなので、どれだけお客さまの欲している情報を提供できるかが重要になってきます。今後はユーザーのニーズに寄り添い、地域や時間帯などでセグメントして配信していきたいです」(井上氏)

LINE公式アカウントの友だち数は現在3万人以上、その友だちをセグメントしてユーザーにあったキャンセル情報に絞って配信することで、コストの削減にもつなげていきたいと考えています。

今後はキャンセル情報を一覧化したページをつくり、LINEで決まった時間に1、2回配信するという仕組みに変更することも視野に入れています。

新規カード会員獲得にもつなげる

「LINEの強みであるプッシュコミュニケーションによるアナウンス効果をうまく活用しながら、よりユーザーが能動的に予約サイトに訪れるという行動の流れをつくりたいです。サービスを開始した2017年は提供するサービスの質にフォーカスしてきましたが、2018年は「ごひいき予約」をフックにして、どのように新規カード会員を獲得していくか、既存のカード会員のロイヤリティーをどのように高めていくかが重要になっていきます」(井上氏)

プッシュ型のレコメンデーション機能としてであれば、カード会員でなくてもLINE公式アカウントと友だちになれば誰でも利用することができます。一定以上のクオリティーが担保された飲食店を知ることができる情報源として非カード会員にも広く使ってもらい、ダイナースクラブの魅力も知ってもらうことで会員の獲得を狙っていく戦略です。


LINEを単なるツールとしてだけでなく、カード会員と飲食店とダイナースクラブ、三者のニーズとデマンドをつなぐプラットフォームと考えると、その上に多彩なコンテンツや機能を乗せていくことも可能です。エンゲージメント創出ツールにも、新規顧客へのマーケティングツールにも、そして、社会課題を解決するサービスにもなり得るプラットフォームとして、LINE公式アカウントの「発展性」にはまだまだ可能性が秘められています。


(公開:2018年4月/取材・文:株式会社ガイアックス 「ソーシャルメディアラボ」編集部)


※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

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