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実売重視の「銀のさら」がデジタル施策としてLINEを活用する理由

株式会社ライドオンエクスプレス

株式会社ライドオンエクスプレス
デジタルマーケティング部 マネージャー 永山 覚氏

全国に約360店舗を展開する宅配寿司「銀のさら」を運営する株式会社ライドオンエクスプレス(以下、ライドオンエクスプレス)では、デジタル施策による売り上げ拡大を目的にLINE公式アカウントを活用しています。同社のLINEを活用したさまざまな工夫や取り組みについて、デジタルマーケティング部マネージャーの永山覚氏(以下、永山氏)に話を聞きました。

目的
  • デジタル上での新しい販促チャネルを作ることで新規ユーザーにリーチし、売り上げを向上させたい
  • スマホから手軽に「銀のさら」を注文できる、便利な顧客体験を提供したい
施策
  • LINE公式アカウントを開設し、友だち獲得を目的にLINEポイントADを活用
  • 商品注文を簡略化するためにLINEログインを導入
  • メッセージの一斉配信とセグメント配信を使い分け、配信対象ごとに内容を最適化
効果
  • LINE公式アカウントの友だち280万人を獲得
  • LINE公式アカウントから配信したメッセージの反応率が、平均でメルマガの3倍を記録
  • 公式ホームページからの注文のうち10%がLINE経由の注文となり、販促チャネルの拡大を実現
  • 一斉配信のメッセージに比べ、セグメント配信を活用したメッセージの反応率が平均約6倍高い結果に

新たな顧客接点の創出に不可欠だったLINE活用

ライドオンエクスプレスは、宅配寿司「銀のさら」をはじめとする宅配事業や提携レストランの宅配代行事業を展開しています。これまで宅配事業の注文方法は、ユーザーが自宅のポストに投函されたメニューチラシを見て店舗に電話をかける方法が中心でした。しかし、スマートフォンが普及したことで、最近では公式ホームページやデリバリー系のポータルサイトを介して注文するユーザーが増加しています。

 

ライドオンエクスプレスでも、注文方法の変化に合わせて公式ホームページでの受け付けを開始し、メールマガジンの配信やデジタル広告の出稿など、さまざまなデジタル施策を展開してきました。その施策の一つとして、2017年からはLINE公式アカウントを導入しています。永山氏は同社のデジタルマーケティング戦略はあくまでも“ブランディングより実売重視”と述べ、LINEの導入を決めた理由を次のように説明します。

株式会社ライドオンエクスプレス デジタルマーケティング部 マネージャー 永山 覚氏

株式会社ライドオンエクスプレス デジタルマーケティング部 マネージャー 永山 覚氏

「時代の潮流を踏まえ、『銀のさら』が今後も売り上げを拡大していくためには、デジタルを活用した販売促進が不可欠だと考えていました。どのようにデジタルを活用するかを考える中で、圧倒的なユーザー数を誇るLINEに魅力を感じ、新規顧客を獲得するためにLINE公式アカウントを活用するという結論に達しました」

「銀のさら」のLINE公式アカウントを開設後、永山氏がまず取り組んだのは社内理解を得るための啓発活動でした。

 

「なぜLINE公式アカウントが必要なのか、LINE活用で得られるメリットについて社内勉強会を開いたり、店舗のアルバイトスタッフにも資料を配ったりと、まずは関係者の理解を深めてから、LINEの良さを理解してもらうよう努めました」

LINE経由で売り上げを高めるために仕掛けた施策とは

ライドオンエクスプレスではLINE経由での商品注文数を増やすために、LINEログイン機能を導入しました。LINEログイン機能を活用すると、ユーザーはLINE公式アカウントから「銀のさら」の公式サイトへ遷移する際に自動でログインがされるため、情報入力などの手続きをせずに注文ができます。

「お客さまが『寿司を食べたい』と感じたときにすぐに注文ができるよう、LINEログイン機能を導入しました。お客さまにとっては注文の手間が減る便利な機能ですし、店舗にとっても電話対応などの時間が減少し、業務を効率化できるメリットがありました」

 

ライドオンエクスプレスによると、LINEログインの機能を活用して企業が持つ顧客IDとLINEのアカウント情報を連携しているユーザーは、連携していないユーザーに比べて再注文率が1.5倍高いという成果も出ています。

 

顧客IDとLINEのアカウント情報を連携するユーザーを増やすには、LINE公式アカウントの友だち数を増やしていく必要があります。ライドオンエクスプレスでは、1店舗あたり月平均3万枚以上を配布しているメニューチラシにLINE公式アカウント開設の告知を掲載したほか、LINEポイントADを活用し、2017年のLINE公式アカウント開設から2年間で280万人の友だち獲得に成功しました。

 

「現在、公式ホームページの注文件数のうちLINE経由の注文が10%を占めるようになり、販促チャネルの拡大が実現できました。正直なところ、開設直後はここまでLINE経由の注文が増えるとは思っていませんでした。リッチメニューに注文ボタンを実装したことが、成功要因として大きく貢献しています。寿司を食べたくなったらLINEを開くといった習慣が、お客さまの中に根付いてきたように感じています」

一斉配信とセグメント配信を使い分け、効果的なメッセージを模索

永山氏はこれまで活用していたメルマガとLINE公式アカウントを比較し、「LINEは生活に溶け込んでいるため、すぐにユーザーにメッセージを読んでもらえる」と語ります。現在、LINE公式アカウントから配信するメッセージの反応率は、平均でメルマガの約3倍を記録しています。

「LINE公式アカウントの魅力の一つは、メッセージの一斉配信とセグメント配信の使い分けができるところです。『銀のさら』のLINE公式アカウントでは月2回の一斉配信のほか、月5~6回ほど配信対象ごとに内容を最適化したセグメント配信を行っています」

 

※セグメント配信(絞り込み配信)については、こちらのマニュアルをご確認ください。

 

セグメント配信は店舗によって異なる地域限定商品の訴求にも活用し、その店舗がカバーするエリアのユーザー限定でメッセージを送っています。宅配寿司という商品の特性上、慶事や親戚が集まる長期休暇の際に注文が増加しますが、中でも注文の動機として大きいのが「誕生日」です。

 

ライドオンエクスプレスでは、誕生月のユーザーを対象にセグメント配信を行い、クーポンが付いたお祝いのメッセージを送っています。実施初期は月の初めである1日に誕生月のユーザーにまとめて一斉配信、誕生日当日に個別配信という2種類のメッセージを送ってABテストを行いました。Aの場合、下旬生まれのユーザーには約1カ月早くメッセージが届くことになるため、永山氏はBのクーポン利用率が高いと見込んでいました。しかし、予想に反して「Aの方が1%高かった」という結果が出ました。

「日々のLINE公式アカウントの運用の中で仮説を立てながら、テストを繰り返してきました。一斉配信と比べてセグメント配信の反応率は平均で約6倍にも上りますが、満足のいく数値を得られたのはテストを積み重ねてきた結果だと解釈しています。同じツールでも表現の方法や見せ方、動線の工夫で機能に広がりが出るため、まだまだLINE公式アカウントの運用には可能性を感じています」

今後は注文前から注文後に商品を届けるまで、全てがLINE上で完結するサービスを提供していきたいと永山氏は語ります。

「例えば、IDを連携すると、商品の到着予定日の前日に注文確認メッセージが届いたり、IDを連携しているユーザー限定のメッセージが受け取れたりと、よりお客さまの利便性を向上させる体験が提供できます。これからもLINEの機能を活用することで、お客さまに安心して利用いただける購買体験を追求していきたいと思います」

 

(公開日:2020年2月/取材・文:中野渡淳一、写真:高橋絵里)