最大15%売り上げアップの店舗も!LINEミニアプリを活用したGong cha モバイルオーダー
株式会社ゴンチャ ジャパン

株式会社ゴンチャ ジャパンCMO 越智大志氏(写真左)
フォーグローブ株式会社 代表取締役 ハタノユウスケ氏(写真右)
台湾発のグローバルティーブランド「貢茶(以下、ゴンチャ)」は、2015年に日本へ進出して以来、LINE公式アカウントを運用しています。さらに、CRMに注力するためにLINEミニアプリで「Gong cha モバイルオーダー」を導入して、2022年3月から全店で導入しました。ゴンチャの日本法人である株式会社ゴンチャ ジャパン(以下、ゴンチャ ジャパン)CMOの越智大志氏(以下、越智氏)、LINEミニアプリの開発・実装を担当したフォーグローブ株式会社(以下、フォーグローブ)代表取締役のハタノユウスケ氏(以下、ハタノ氏)に、LINEミニアプリの取り組みや得られた成果について話を聞きました。
- 目的
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- ファンブランドとして、顧客エンゲージメントを強化したい
- 顧客エンゲージメント強化のために、ユーザーデータを適切に取得・活用したい
- 施策
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- 2022年3月に、FCを含む全店でLINEミニアプリ(Gong cha モバイルオーダー)導入へ
- ユーザーのエンゲージメントを可視化する「モバイルスタンプ機能」をLINEミニアプリに搭載
- データ取得方法やUI/UXの面で開発会社とともにLINEミニアプリの改善を継続
- 効果
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- 全店導入開始から約5ヵ月後の2022年7月に、LINEミニアプリの会員数10万人を突破
- 特に平日の売り上げの伸びが顕著で、店舗によってはモバイルオーダーによる売り上げが最大15%アップ
国内で導入するなら、ネイティブアプリよりもLINEミニアプリ
Brewing Happiness(幸せを淹れよう)。そんな理念を掲げるゴンチャは、現在、グローバルで1,750店舗以上、国内では122店を構えるグローバルティーブランドです(2022年8月31日時点)。

「2018〜19年のタピオカブームで認知拡大したことから、ゴンチャ=タピオカのブランドと誤解されることもあるのですが、私たちは元々、『ティーブランド』であり、最たる武器は『お茶』そのものです。
毎日、各店で茶葉から丁寧に抽出して4時間以内のお茶のみを提供し、香り・鮮度にもこだわっています。パール(タピオカ)、ナタデココ、アロエ、ミルクフォームなどをトッピングできるカスタマイズや、季節ごとの限定商品も人気ですが、何よりも、美味しいお茶を提供するティーカフェであることがブランドの価値と自負しています」(越智氏)

飲み歩きに最適なシーリング(シーラーフィルムを熱密着させた蓋)したカップのデザインもユーザーに好評で、SNS上でも頻繁に画像が投稿されています。また、お客様は男女比2:8で女性が多くを占めているものの、10~20代から上の世代へ、さらに男性にも支持が広がっています。新型コロナウイルス(COVID-19)が感染拡大した2020年以降の2年間でも、ゴンチャ ジャパンは全国に60店舗近くを新規出店するなど勢いがあります。
「ゴンチャはユニークユーザーの30%が売り上げの80〜90%を占める、いわゆる“ファンブランド”です。通りすがりにお店へ立ち寄るより、ゴンチャが好きでわざわざ来店いただく方も多い。だからこそ、我々がとるべきマーケティング戦略は、顧客エンゲージメントの強化であると考えています。そういった経緯で、2015年に日本へ進出して以来、LINE公式アカウントを開設し、活用を模索してきました」(越智氏)
そして、さらなるエンゲージメント強化の一環でユーザーデータをどのように取得・活用すべきか検討した際、ネイティブアプリ使用という選択肢も社内で持ち上がったそうです。
「ゴンチャの各店舗には、そもそもデータを取活用するCRM構築の仕組みがありませんでした。海外のゴンチャではネイティブアプリを利用するケースも多いのですが、日本では事情が異なります。国内でこれだけLINEが普及していて、かつファンとのコミュニケーションを重視するならば、LINEを使わない手はありません」(越智氏)
全店導入開始から約5ヵ月で、LINEミニアプリの会員数10万人突破
LINEミニアプリは順番待ちの受付や会員証の発行などの機能を、LINE上でWeb アプリケーションとして提供するサービスです。ゴンチャでは来店前に商品と受け取り時間の予約、事前決済まで可能、来店時は商品を受け取るだけの「Gong cha モバイルオーダー」を導入しています。

Gong cha モバイルオーダーは、フォーグローブの「Uz apps for LINE」(ユーズィーアップスフォーライン)のLINEミニアプリが使われています。同社代表のハタノ氏は開発・実装の経緯について次のように語ります。
「Uz apps for LINEはLINEアプリ内に『モバイルオーダー』のほか、『予約』や『ECサイト』などの機能を実装できるLINEミニアプリです。
ゴンチャ ジャパン様のケースではモバイルオーダーをベースにして、特にデータの取得方法(※)やUI/UXの面で多くのフィードバックをいただきながら、現在も改善を繰り返しています。1店舗目のテスト導入が2021年12月、直営17店舗での先行導入が翌2022年1月、全店導入が同年3月1日とかなりのスピード感で進行したプロジェクトとなりました」(ハタノ氏)
ユーザーの許諾を得た上で取得されます

Gong cha モバイルオーダーの利用時には、ユーザーがゴンチャのブランドのLINE公式アカウントをスムーズに友だち追加する仕組みが備わっています。さらに、ユーザーのエンゲージメントを高めるための「モバイルスタンプ」機能も搭載されました。
「これまで、店舗では紙のスタンプカードを運用していました。しかし、カードをレジで提示いただいても、そのカードが何枚目のものなのか店舗のクルーにはわかりません。
LINEミニアプリ上でモバイルスタンプ機能を提供できれば、個々のユーザーのエンゲージメントを可視化できるため、コアなファンにはライトユーザーと違ったお声がけも可能になります。つまり、モバイルオーダー導入の目的はお客様の利便性向上にとどまらず、ゴンチャにおけるCRM戦略の一つなのです」(越智氏)

ゴンチャ ジャパンは一部店舗でLINEミニアプリを先行導入した2022年1月以降、LINEや他SNSで初回利用時の特典「BUY1 GET1」キャンペーンを展開しました。モバイルオーダーからドリンクを注文すると、次回注文時にご利用いただける「1ドリンクサービスクーポン」がプレゼントされるキャンペーンです。
「コアなファンをはじめ多くのお客様に支えていただいているゴンチャのブランドイメージもあり、店舗でクーポンを配布する安易な割引施策は極力避けてきました。しかし、モバイルオーダーの導入にあたってはお客様の大切なデータをいただくことになります。そのため、何かしらの御礼をお贈りしたいと考えて、「BUY1 GET1」キャンペーンを実施しました」(越智氏)
そのほかにも、店舗内のPOPやLINE公式アカウントのリッチメニューに遷移ボタンを設置するなどして、Gong cha モバイルオーダーは全店導入から約5ヵ月後の2022年7月には会員数10万人を突破。ゴンチャのLINE公式アカウントの友だち数は33万人を超えています(ゴンチャ ジャパン調べ)。

「短期間でこれだけ多くのお客様にGong cha モバイルオーダーを利用いただけたのは、国内に膨大なユーザーを擁するLINEを活用したからこその成果だと思います。このスピード感は、LINEミニアプリだからこそ実現したと言えます」(越智氏)
LINEミニアプリ導入後、最大15%売り上げアップの店舗も
Gong cha モバイルオーダーの導入は、実際の売り上げにも好影響を与えています。その効果に越智氏は「大変驚いた」と語ります。
「全店でLINEミニアプリを導入した2022年3月以降、モバイルスタンプを3倍付与する『スタンプ3倍キャンペーン』を実施しました。公式SNSでの告知も功を奏し、結果、特に平日の売り上げの伸びが顕著で、店舗によってはモバイルオーダーからの売り上げ最大15%アップしたと報告を受けています。
振り返ると、FC店舗を含めた全店でモバイルオーダーを導入する際はさまざまな反応がありました。そのため、アルバイトのクルーがすぐに理解できるマニュアル作りのほか、売り上げアップが見込めることをFC店のオーナー様にも粘り強く伝えてきました。LINEを活用した集客や販売において一定の成果を出し始めたいま、全店での一層の活用が見込まれます」(越智氏)

一連の取り組みを踏まえ、越智氏は次のように総括します。
「今後はGong cha モバイルオーダーを通じた客単価アップや来店サイクルの短縮などを目指して、一定期間足が遠のいているお客様の店舗誘引や、モバイルオーダー限定商品による店舗誘引など、さまざまな施策を打つ予定です。
従来、こうした施策を実施する際は告知のポスター作成や地道なお声がけなど、多くのアナログ作業やコストが発生しました。しかし、LINEミニアプリとLINE公式アカウントを併用すれば短い準備期間でキャンペーンを実施できますし、LINEのプラットフォーム上ですべてが完結するのも大きな魅力です。
引き続きフォーグローブ様とLINEミニアプリのさらなる改善を繰り返し、ゴンチャのファンブランドとしての価値を強固なものにしていきたいと思います」(越智氏)
(公開:2022年9月、取材・文/安田博勇、写真/山﨑美津留)
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