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「友だち追加=サービス登録」。LINE起点で設計されたアイカサのCPF活用

株式会社Nature Innovation Group

株式会社Nature Innovation Group
取締役 黒須 健氏(右)
最高技術責任者 増田 誠氏(左)

2018年12月にサービスをスタートした「アイカサ」は、傘を持ち歩かずに「濡れない体験」を提供する傘のシェアリングサービスです。サービスを利用するためのユーザー登録はLINE公式アカウントを友だち追加することで完了し、傘を借りるときもQRコードを読み込むだけ。シンプルな利用方法でサービス開始から順調に利用者数を増大させてきました。


梅雨の到来を前にさらなる利用者増加を目指したアイカサでは、2019年2月からLINE Ads PlatformのCPF(Cost Per Friends)配信を実施。LINEの活用とCPFの成果について、アイカサを運営する株式会社Nature Innovation Groupの黒須健氏(以下、黒須氏)と増田誠氏(以下、増田氏)に話を伺いました。

目的
  • サービス利用機会が増加する梅雨までに新規の登録者数を増やしたい
施策
  • LINE Ads PlatformのCPF配信を通じてLINE公式アカウントの友だちを獲得
効果
  • CPF配信からの友だち追加がユーザー登録に直結するため、他社SNS広告のようにアプリ間の遷移を必要とせずスムーズな獲得が実現できた
  • 類似配信の活用によって、他社SNS広告での配信時と比較して獲得単価が200%以上も改善
  • 友だち追加後のサービス利用に必要となる決済情報の登録率も向上した

傘のシェアリングサービス「アイカサ」とは

日本洋傘振興協議会によると、国内で年間に消費される傘の本数は約1億2,000~3,000万本で、その大半をビニール傘が占めます。特にビニール傘は膨大な本数がゴミとして廃棄されるため、環境面での問題も浮上しています。こうした環境的な課題解決に加え、傘を持ち歩かずに「濡れない体験」を提供しようとスタートしたのが、株式会社Nature Innovation Groupが運営する傘のシェアリングサービス「アイカサ」です。


「傘の利用体験を変えることが利便性の向上だけでなく、環境対策にもなると考えました。サービス設計に当たっては、中国で先行していた事例を参考にしています。中国でも当初、傘のシェリングサービスが複数立ち上がりましたが、多くが何らかの要因でサービスを停止しています。その失敗事例、成功事例を検証し、2018年12月にアイカサをスタートしました。そのサービス設計の基礎となったのがLINEです」(黒須氏)

株式会社Nature Innovation Group 取締役 黒須 健氏

株式会社Nature Innovation Group 取締役 黒須 健氏

登録のしやすさ、利便性を評価しサービスプラットフォームにLINEを採用

アイカサはサービスのプラットフォームとしてLINEを採用しており、アイカサのLINE公式アカウントを友だち追加するだけでユーザー登録が完了します。傘を借りる際は、傘の柄にあるQRコードをスマートフォンで読み取るだけ。LINEを前提としたサービス設計について、開発を担当した増田氏は以下のように語ります。

設置されている傘の全てにQRコードが印字してある

設置されている傘の全てにQRコードが印字してある

「手軽に登録・利用できることが重要だと考えていたので、国内スマートフォンユーザーの多くに利用されているLINEを採用することに決めました。また、LINE Front-end Framework(LIFF)を活用し、LINEのトーク画面内からシームレスにWebアプリを立ち上げる仕様に設計しています。ユーザーから見れば、LINE内でサービスのプロセスすべてを完了できるように見えます」(増田氏)


サービスローンチ前にはメディアへの積極的な露出もあり、LINE公式アカウントの友だち数は順調に増加していきました。ところが、雨の降らない時期が続き、肝心のサービス利用が進みません。そこで、雨が多い春先から梅雨までの期間に備え、黒須氏はSNS広告を展開してサービス認知度の向上や新規ユーザー獲得を目指しました。その中で、広告代理店からLINE Ads PlatformのCPF配信提案を受けました。


「LINE公式アカウントの友だち追加がユーザー登録とイコールというサービスの設計上、CPFで直接的に友だちが獲得できれば、それがそのままコンバージョンとなります。ほかのSNS広告の場合、広告からLINEの友だち追加へとアプリ間の遷移が必要なため、そこで離脱してしまうケースがありました。CPFの場合は遷移が必要ないためユーザーのアクション数を一つ削減できるだけでなく、そのままサービス利用につなげることができます。『これはやるしかない』と思いました」(黒須氏)

アイカサのLINE公式アカウント。プロフィールページ(左)とトーク画面(右)。 友だち追加後、トーク画面内からサービスの利用が開始できる

エリアターゲティングから精度が高まった段階で類似配信へ

アイカサの場合、CPF配信において重視したのがエリアターゲティングです。現在、傘が設置されているスポットは東京と福岡が中心のため、エリア外のユーザーに広告を配信しても効果は期待できません。また、広告効果をより向上させるため、CPFと同時にオフライン施策も展開しました。


「傘の設置スポットを増やしたほか、街中でサービス登録による特典付きのポケットティッシュを配布するなど、サービスエリア内で認知度を上げる努力をしました。普段の生活の中でアイカサというサービスを認知してもらい、CPF配信で登録を後押しするというシナリオを描きました」(黒須氏)


まずはスモールスタートで、CPFの効果検証に着手。1日数千円という予算規模で広告を配信して登録数を検証したところ、これまで展開してきたSNS広告よりもCPAを抑えながらユーザーを獲得できることが分かりました。その後、他社SNS広告の配信をストップしてエリア設定やユーザーの年代など、オーディエンスの微調整を行いながら配信を続け、精度が高まった段階で類似配信に切り替えます。


「類似配信によってさらにCPAは低下し、他社SNS広告での配信時と比較して獲得単価が200%以上も改善、サービス利用に必要となる決済情報の登録率も格段に上がり、CPFで獲得したユーザーが着実にアクティブな利用顧客になっていると感じています」(増田氏)

株式会社Nature Innovation Group 最高技術責任者 増田 誠氏

株式会社Nature Innovation Group 最高技術責任者 増田 誠氏

これからもプラットフォームとしてのLINEに期待

2019年2月後半から開始したCPFは、同年8月にひとまず終了。実施によってスタイリッシュなイメージ画像より、住宅に置いてある一般的な傘立ての画像などのサービス内容が伝わりやすいクリエイティブの方が、コンバージョンにつながることも判明しました。今後もCPFを活用しながら利用者を増やしていきたいと語る黒須氏と増田氏は、今後のLINEへの期待について以下のように語ります。


「プラットフォームツールとしてLINEの価値は申し分ないので、LIFFの機能拡張や今後提供予定のLINE MINI Appに期待すると共に、広告を含めたすべてのモジュールが連携されることを期待しています。それが、よりアイカサのユーザビリティー改善につながると考えています」(増田氏)


「CPFはLINEをサービスの基幹として設計されたアイカサと非常に親和性が高いと実感しています。その上で、CPFによって流入したユーザーの追跡などがLINE内でシームレスに検証できれば、さらに活用価値は高まると思います」(黒須氏)


(取材・文:岩崎史絵、写真:慎芝賢)