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購入前から購入後まで、時系列での顧客ニーズに応えるJINSのLINE活用法

株式会社ジンズ

株式会社ジンズ デジタル事業部 デジタルコミュニケーショングループ デジタルコミュニケーション室 リーダー 濱田卓男氏(中央右)
株式会社電通国際情報サービス コミュニケーションIT事業部 マーケティングIT部 PF開発グループ グループマネジャー 若本航太氏(中央左)
同上 シニアコンサルタント 石際由美氏(左端)
LINE株式会社 ビジネス開発部 ボイスイノベーション室 磯部真吾(右端)

2001年にアイウエア事業に参入して以降、低価格で高品質なメガネや、ブルーライトをカットするPC用メガネなど、画期的な商品を世に送り出してきた株式会社ジンズ(JINS)は、LINE公式アカウントを使って、商品・店舗の検索や待ち時間のお知らせなど、多彩なサービスを展開しています。

 

LINE公式アカウントを活用した施策の狙いや成果について、営業担当であるLINEの磯部真吾が、JINSの濱田卓男氏(以下、濱田氏)と同社の開発パートナーである株式会社電通国際情報サービス(ISID)の若本航太氏(以下、若本氏)と石際由美氏(以下、石際氏)に話を伺いました。

目的
  • ライトユーザーとの接点としてLINE公式アカウントを活用し、JINSに対する顧客のロイヤリティーを高めた上で購買につなげたい
施策
  • LINE Beaconから配信されるメッセージや、ECでの購入後に配信される通知メッセージなどを活用してユーザーに友だち追加を促す
  • 購入前から購入後まで、時系列によって変わるユーザーのニーズに沿ったサービスをLINE公式アカウント上で提供
  • Messaging APIの新機能を取り入れたキャンペーンをLINE上で実施し、ユーザーへ割引クーポンを配布
効果
  • スポンサードスタンプなどを活用した友だち追加のための広告出稿を行わずに、オーガニックで友だちを増やし続けて、現在約200万人の友だちを獲得
  • 2019年春に実施したLINE Front-end Framework(LIFF)を活用したキャンペーン中、LINE Beacon経由の友だち追加数が1日あたり7倍に伸長し、ブロック数は横ばいで高い定着率を維持
  • LINE公式アカウントでの取り組みを続けた結果、店舗やECの売り上げが向上

「関係性の深化」を目指した、LINE公式アカウント運用

「メガネの即日お渡し」や「レンズ購入の追加料金0円」など、JINSはこれまでユーザーの購入体験の満足度向上に努めてきました。また、ブルーライトカットのPC用メガネ「JINS SCREEN」や、メガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」など、既存のアイウエア市場にはなかった新たな商品を世の中へ送り出しています。

 

同社は商材によって多少異なるものの、基本的に20〜40代の男女を中心とした“オール世代”をターゲットにしており、2018年からはライトユーザーとの関係性を深めるための接点として、LINE公式アカウントの本格的な運用を開始しました。

 

「アイウエアは1年に何度も購入する商品ではないので、新規に獲得したお客さまとの関係性を強化するのは業界共通の課題です。既存のお客さまとの接点としては『JINSアプリ』が存在しますが、新規にアプリをインストールし、さらにメールアドレスを入力して登録していただくというのは、JINSにまだ馴染みの薄いお客さまにとって少々ハードルが高いのではと考えていました。

 

その点、LINEであれば既に多くのお客さまのスマートフォンにインストールされているので、友だちとして追加していただくだけでさまざまなサービスを提供することが可能です。そこで、ライトな顧客層に対して情報やサービスを提供し、関係性を深化させるための接点としてLINE公式アカウントを活用することにしました。アカウント自体は2013年以前には開設していましたが、2018年7月にLINE ビジネスコネクト*を導入してアカウントをAPI化し、本格的な運用を開始しました」(濱田氏)

  • LINEビジネスコネクト:LINEと企業のシステムをAPIで連携して、ユーザーデータをもとにしたメッセージの送信などを可能にするサービス。LINE ビジネスコネクトのアカウントは2019年4月にLINE公式アカウントに統合され、現在、ビジネスコネクト機能自体はオープンソースのMessaging APIとして提供されている

JINS濱田氏の写真

株式会社ジンズ デジタル事業部 デジタルコミュニケーショングループ デジタルコミュニケーション室 リーダー 濱田卓男氏

購入前から購入後まで、顧客のニーズに応えるサービスを実装

現在、JINSのLINE公式アカウントには約200万人の友だちがいますが、実は一度もスポンサードスタンプなどの広告施策を実施していません。LINEの磯部は「JINSはどのようにして友だちを獲得してきたのか」と疑問を投げかけます。

LINE磯部の写真

LINE株式会社 ビジネス開発部 ボイスイノベーション室 磯部真吾

「LINE公式アカウントの友だち数はKPIとして設定している指標でもありますが、表面的な数だけではなく、ロイヤリティーが高いお客さまをどれだけ獲得できているかという点を重視しています。その上で、実際に店舗へ訪れたお客さまにLINE Beacon経由で友だち追加してもらったり、ECサイトで購入したユーザーに対して通知メッセージを配信したりして、友だち数を増やしています。

 

既にJINSを利用していただいているお客さまを対象にキャンペーンを行っているため、ロイヤリティーの高いユーザーを取り込めているのではないかと考えています。また、JINSのLINE公式アカウントは女性ユーザーが7割を占めており、流行に敏感で、お得な情報への感度が高い女性を惹きつけられていることは、大きな強みだと捉えています」(濱田氏)

 

また、JINSの LINE公式アカウントは、リッチメニューに「待ち時間確認」や「店舗検索」といったさまざまな機能を搭載しています。これらの実装には、購入前から購入後まで、時系列によって変わるユーザーのニーズに沿ったサービスを提供することで、必要とされるLINE公式アカウントを目指すという狙いがあります。

 

「たとえば、『待ち時間確認』機能は、お客さまアンケートの結果を参考に取り入れた機能です。店舗でのお買い物の際には、視力測定で待ち時間が発生してしまうことがありますが、本機能によってリアルタイムで待ち時間を確認できるので、コーヒーを飲みに行っていただくなど、有意義に過ごしていただくことができます」(濱田氏)

JINSのLINE公式アカウント画面

その他にも、LINE公式アカウントのリッチメニューでは、LINEのトーク上のやりとりでユーザーのニーズに合ったメガネが検索できる「メガネをさがす」機能、LINEのトーク上で位置情報を送ることで近隣の店舗が検索できる「店舗検索」機能、メガネをかけた人物写真をLINEに送ることで人工知能がメガネの“似合い度”を判定する「JINS BRAIN」などがあります。さらに、JINSアプリとの連携を行えば、LINEのトーク上で会員コードやメガネの度数情報などを確認することも可能です。

開発パートナーとの連携で実現する、APIの早期活用とスピーディーな施策実施

JINSは開発パートナーであるISIDの協力のもと、LINE公式アカウントでMessaging APIの新たな機能をいち早く取り入れ、LINEのプラットフォーム特性に合わせた使いやすいUIでサービスを提供しています

 

「LINE公式アカウントに新たなAPIが追加された際は、JINSさまのアカウントでどのような活用が可能なのかを考えて、定例会議で提案させていただいています。また、LINE Bot Designer* を使ってプロトタイプを作成し、実際の動作イメージを目に見える形で提案することで、スピーディーに実施決定が判断できる支援をさせていただいています」(石際氏)

  • LINE Bot Designer 通常のトークはもちろん、リッチメニューやリッチメッセージなどのメッセージテンプレートのほか、チャットボットの動作もテストできる開発者向けのプロトタイプ作成ツール

ISID石際氏の写真

株式会社電通国際情報サービス コミュニケーションIT事業部 マーケティングIT部 PF開発グループ シニアコンサルタント 石際由美氏

Messaging APIの新機能を早期の段階で活用して実施した施策の例としては、今春に実施した「スロット」というキャンペーンがあります。

 

「来店したお客さまにLINE Beaconを使ってキャンペーンメッセージを配信し、そこからスロットを回していただいてECで使えるクーポンをプレゼントする販促施策です。ブラウザの遷移によるユーザー離脱を防止することを目的にスロット画面をLINE Front-end Framework(LIFF)でトーク画面上に立ち上がるようにしました」(石際氏)

 

「結果として、キャンペーン期間中はLINE Beacon経由の友だち追加数が1日あたり7倍に伸長し、友だち数の増加施策としても機能しました。また、キャンペーン後のブロック率がその後横ばいで推移していることは、ユーザーにフィットした情報発信ができている成果だと感じています」(濱田氏)

スロットのキャンペーンスキームの概要図

2019年3月28日から4月8日までLINE上で実施された「スロット」キャンペーンでは、1日1回限定でハズレなしの割引クーポンが配布された

「LINE公式アカウントの利便性を向上していくために、現在リッチメニューに用意している機能についても、利用状況に応じて整理していく必要があると考えています。LINE公式アカウントに寄せられたユーザーさまの質問やキーワードをダッシュボード化しているのですが、こうしたところからもニーズを分析していき、さらに必要とされる機能を提供していくつもりです」(若本氏)

ISID若本氏の写真

株式会社電通国際情報サービス コミュニケーションIT事業部 マーケティングIT部 PF開発グループ グループマネジャー 若本航太氏

最後に、今後LINE公式アカウントで実施していきたい取り組みについて、濱田氏は次のように語ります。

 

「ECで購入したユーザーに対し、購買情報を通知メッセージで配信する取り組みも最近開始したばかりですが、ECの領域においてはまだまだLINE公式アカウントを活用できる可能性があると考えています。例えば、コンタクトレンズの『JINS 1DAY』など、定期的に購入する商材について、お客さまが使い終わる頃にメッセージを配信し、トーク内で決済まで完了していただくなど、より良い購入体験を提供できればと思います。今後もISIDさまに協力をいただきながら、JINSならではのLINE公式アカウント施策を行っていきたいですね」(濱田氏)

 

(文:安田博勇、写真:飯本貴子)