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One to One マーケティングの実現に向けた「LIFULL HOME'S」のLINE活用法

株式会社LIFULL

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 新UX開発部 オムニチャネルマーケティングユニット長 兼 LINEマーケティンググループ長 菅野 勇太氏(左)
transcosmos online communications株式会社 シニアマネージャー 大室 州氏(中央)
LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 広告事業本部 インフライノベーション室 佐藤将輝(右)

株式会社LIFULL(以下、LIFULL)が運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、LINE公式アカウントを活用してユーザーとの双方向のコミュニケーションやOne to Oneマーケティングの実現に取り組んでいます。


施策の狙いや成果について、事業開発担当であるLINEの佐藤将輝が、LIFULLの菅野勇太氏(以下、菅野氏)と同社の構想実現に向け、共に手を携えるtranscosmos online communications株式会社の大室州氏(以下、大室氏)に話を伺いました。

目的
  • ユーザーとの関係性を長期的に維持し、売り上げ向上につなげたい
  • LINE公式アカウントを軸に、ユーザーとのOne to Oneマーケティングを実現したい
施策
  • LINE公式アカウント上でアンケートを展開し、ユーザー情報を一元管理できるシステムを構築
  • ユーザー情報に合わせてメッセージをセグメント配信し、ユーザー一人ひとりに合った提案や情報を発信
  • 「通知メッセージ」を活用し、ユーザーと継続してコミュニケーションが取れるように設計
効果
  • LINEで配信したメッセージのクリック率がメールで配信するよりも15%向上
  • LINE公式アカウント経由の月間売り上げは、当初目標を達成

LINE公式アカウントに期待するのは「双方向性」

2019年でサービス開始から23年目を迎える「LIFULL HOME'S」は、賃貸や中古物件、新築マンション・新築一戸建て、注文住宅、土地、事業用店舗など、あらゆる不動産情報を網羅した不動産・住宅情報サイトです。

 

LIFULL HOME’Sは、「したい暮らしに、出会おう」というコンセプトのもと、住まいに関するユーザーのさまざまな悩みを解決し、一人ひとりのニーズに合った物件を提案することを目指し、現在、One to One マーケティングに力を入れています。その手法の一つとして活用しているのが、2019年1月から運用を開始したLINE公式アカウントです。

「LIFULL HOME'S」LINE公式アカウントのトークルーム
「LIFULL HOME'S」LINE公式アカウントのタイムライン

「LIFULL HOME'S」LINE公式アカウントのトークルームとタイムライン

「LIFULLでは『あらゆるLIFEを、FULLに。』というコーポレートメッセージを掲げています。『あらゆる』を実現するためには、画一的な情報提供だけではなく、ユーザー一人ひとりのニーズにぴったりな提案をしていかなければなりません。その手段の一つとして双方向性の対話に強みがあるLINE公式アカウントの運用を決めました」(菅野氏)

 

菅野氏のチームでは、これまでもメールマーケティングを中心に、ユーザーごとに内容の異なるメールを出し分けるなどのパーソナライズ化に取り組んできました。しかし、競合他社と同じ手法を利用している以上、レコメンドの差別化が難しく、さらに若者を中心としたメール離れによって打開策が必要となっていました。

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 新UX開発部 オムニチャネルマーケティングユニット長 兼 LINEマーケティンググループ長 菅野勇太氏

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 新UX開発部 オムニチャネルマーケティングユニット長

兼 LINEマーケティンググループ長 菅野勇太氏

そこで、ユーザーのニーズを一方的に推測した「プッシュ配信」だけではなく、ユーザーが何を求めているのかを把握した上でのメッセージ配信が必要だという結論に達し、中長期的に双方向のコミュニケーションを取ることのできるLINE公式アカウントの導入に踏み切りました。

 

「LIFULL HOME'Sはユーザーから、住み替えのときだけに必要な一過性のサービスだと認識されています。そのため、LIFULL HOME'Sのアプリは、そもそもインストールしていただくハードルが高く、中長期的な CRM(顧客管理)がしづらいという課題を抱えていました。しかし、実際には“人と住まいの付き合い”は一過性ではなく、例えば住宅の購入では数年がかりで購入を検討するユーザーも少なくありません。さらに、物件取得後も修繕や売却などを検討するケースがあります。そうした際にもLIFULL HOME'Sを利用してもらうためには、ユーザーとの関係性を長期的に維持したい。ユーザーの日常に浸透しているLINEの導入には、友だちとして継続的なコミュニケーションができるという大きなメリットがあると考えました」(菅野氏)

LINEの運用を開始し、月間売り上げ目標を達成

LIFULLの抱えていた課題に対して、どのようにLINE公式アカウントを活用してOne to One マーケティングを実現しているのか、LINEの佐藤は疑問を投げかけます。菅野氏はその問いに対し、「LINE公式アカウントの運用開始から3カ月ほどの間に、次々とシステム開発をして機能を充実させた」と説明します。

 

「LIFULL HOME'S」LINE公式アカウントのシステム設計を担当する大室氏は、One to One マーケティング実現に向けたLIFULLの取り組みを、「LINE公式アカウントだけの世界ではなく、他のツールを活用しながら全体像を描くプロジェクト」と表現します。

 

「LIFULL HOME'SではこれまでもSalesforceを活用してメールや電話などに対応していましたが、今回LINEという新たなチャネルを加えるにあたり、当社の親会社でもあるトランスコスモス社が提供するコミュニケーション管理プラットフォーム『DEC Connect』を活用いただきました。既存のチャネルとLINEをうまく活用するには、数年後を見据えてマルチチャネルでユーザーに提供する顧客体験を生みだすこと、さらにその顧客体験を売り上げへつなげる設計がポイントでした」(大室氏)

transcosmos online communications株式会社 シニアマネージャー 大室 州氏

transcosmos online communications株式会社 シニアマネージャー 大室 州氏

LINEを取り入れた取り組みの一つが、「通知メッセージ(※)」です。ユーザーがLIFULL HOME'Sの賃貸掲載物件へ問い合わせると、問い合わせ完了のメッセージがLINE公式アカウント経由で届きます。今まで通知方法として活用していたメールに比べ、ユーザーの身近にあるLINEから通知することで、3月27日のリリース後からメッセージのクリック率が15%向上し、現在まで安定しています。

 

「通知メッセージのほかにも、LINE公式アカウントにアンケート機能を実装し、回答から得られたユーザー情報を一元管理できるシステムを構築することで、ユーザー一人ひとりに合わせて個別にメッセージを送る仕組みを整えました。一斉配信ではなく、個別配信をきっかけに具体的な物件相談につながるケースは多く、ユーザーが希望すれば電話などの有人対応に切り替えることもできます」(菅野氏)

※「通知メッセージ」はLINE株式会社が提供する、企業からの利便性の高い通知を企業のLINE公式アカウントから受け取ることができる機能です。本機能の利用に同意することで、個別のアカウントを友だち追加することなく、簡単に通知メッセージを受け取ることが可能になります。対象はLINE株式会社がユーザーにとって有用かつ適切であると判断したものに限定され、広告目的のものは配信されません。

「LIFULL HOME'S」の賃貸掲載物件へ問い合わせると、 LINE公式アカウントへ問い合わせ完了を知らせるメッセージが届く

「LIFULL HOME'S」の賃貸掲載物件へ問い合わせると、

LINE公式アカウントへ問い合わせ完了を知らせるメッセージが届く

また、LIFULL HOME'Sは2019年2月にタレントとコラボしたプロモーションスタンプの配信を実施しました。スタンプをきっかけに友だちになったユーザーに対しても、一斉配信ではなく、ユーザーの興味関心に合わせてメッセージを配信したところ、スタンプ配信のみを行ったときと比べてブロック率が低い数値を記録したそうです。

 

こうしたさまざまな施策を行った結果、LINE公式アカウント経由の月間売り上げは、当初目標を達成し、プロモーションスタンプに投資した資金の回収期間は大幅に短縮予定だといいます。

今後のLINEの機能拡充に期待

機能開発を進め、LINE公式アカウントで大きな成果を挙げている同社ですが、「LINEは自社サイト、自社アプリと並ぶプラットフォームになる可能性がある」と菅野氏はさらなる期待を寄せます。

 

「LINEのトークルームについては、トーク以外の機能をより充実させてもらいたいですね。そうすることで、企業のアカウントとして多種多様な機能を実装する価値が増すと思います。当社はLIFULL HOME'Sのほか、引っ越しの見積もり、家具の販売など“LIFE”に関するさまざまな事業を展開しているので、LINEを通じてユーザーとつながり続けることができれば、グループシナジーを効かせて包括的なサービスを提供しやすくなります」(菅野氏)

 

大室氏も同様に、LINE公式アカウントの機能の充実を望んでいるといいます。

 

「友だち登録の流入経路が判別可能なAPIを提供していただけたらうれしいです。LINEスタンプ、LINEの運用型広告であるLINE Ads Platform、オーガニックな流入、店頭QRコードなど……流入経路によって友だち追加後のコミュニケーション設計を変えることで、より効果的な運用が可能になると思います。“通知メッセージ”のようなCRMのインフラとしてより便利な機能強化を待っています」(大室氏)

 

この二人の言葉を受けて、LINEの佐藤は次のように今後の展望を語りました。

LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 広告事業本部 インフライノベーション室 佐藤将輝

LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 広告事業本部 インフライノベーション室 佐藤将輝

「これまでのLINE公式アカウントはあくまでも“広告のプラットフォーム”としての印象が強かったかもしれません。高い広告効果はもちろんですが、LINE公式アカウントのリデザインによって、ユーザーが価値を感じるサービス重視のアカウントを開設しやすくなっています。コミュニケーションのあり方は今後も多様化していくと思いますが、LINEも対応できるようどんどん変わっていきますので、ぜひ、今後もご期待ください」(佐藤)

 

 

(取材・文:相澤良晃、写真:川嶌順)