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LINE公式アカウント

会員サービスで有名な居酒屋「一休」が、 LINE公式アカウント導入で決断した自社アプリとの共存

株式会社一休

2023.03.10

株式会社一休 総務部部長 矢作 新太郎氏

会員サービスで有名な人気居酒屋「一休」は、2022年9月からLINE公式アカウントの本格運用を開始。メッセージ配信や「LINEで予約」などの活用により、自社アプリと併用しながら情報発信や集客施策を展開してきました。その運用効果について、株式会社一休 総務部部長の矢作新太郎氏(以下、矢作氏)に話を聞きました。

目的
  • 自社アプリの課題を補完できるようなツールを導入したい
施策
  • 居酒屋「一休」ブランドと店舗ごとのLINE公式アカウントを開設
  • 店舗のLINE公式アカウントに、LINEで予約とLINEミニアプリによるモバイルオーダーを実装
効果
  • LINEで予約の導入により、電話予約がLINEで予約に集約され、店舗側の負担を軽減
  • モバイルオーダーの導入で、友だち数の増加と店舗オペレーションの効率化を実現

自社アプリをリリースするも、開発・運用面で気付いた課題

1975年創業の株式会社一休は、主に東京都内・埼玉県内において「居酒屋一休」「焼鳥一休」を運営しています。一休ブランドで有名なのが、会員登録型のメンバーズサービスです。現在は3種類の会員種別がありますが、いずれも格安価格で料理・ドリンク類が注文できるようになります。

居酒屋「一休」の店舗内観(写真の店舗は池袋店)

「以前まで、メンバーズサービスの登録後に1年間有効なカード型の会員証を配布していました。最近はオリジナルのスマホアプリをリリースし、そのアプリ内に会員機能を実装して移行を促しています。詳細な会員数は非公開としていますが、値引き特典の大きさから100%近いお客さまに会員登録いただいています」

 

自社アプリのリリースと同様、同社では2021年夏頃から店舗のレジシステム刷新などを含むデジタル施策に乗り出しています。LINE公式アカウントを開設したのも、ちょうど同時期のことでした。

 

「これまで、当社が行ってきたプロモーションはチラシ作成、メルマガ、SNSなど多岐にわたり、その中の施策の一つとして、LINE公式アカウントも開設しました。ただ、同じタイミングで自社アプリをリリースし、当初はアプリにさまざまな機能を実装して全てを集約させていく予定でした。そのため、LINE公式アカウントの運用には本腰を入れていなかったというのが現実です。しかし、ある時期から全てをアプリ内に実装するには、開発・運用の面で課題が多いことに気づきました」

株式会社一休 総務部部長 矢作 新太郎氏

自社アプリとLINE公式アカウントの使い分け

自社アプリに限界を感じた一休は、LINE公式アカウントとの併用を決断して本格的な運用に乗り出しました。

 

「例えば、お客さまに何かしらの情報を配信したいと考えた時、LINE公式アカウントであれば管理画面からすぐに設定できますよね。自社アプリではそうはいきません。本社で開発チームを調整してアプリに組み込んでもらい、それをまたこちらで確認する――。そうした手間が発生してしまいます。であれば、自社アプリに全てを実装するのではなく、それぞれの特徴や強みを生かし、使い分けながら運用していくという方針に切り替えました」

 

現在、一休では「居酒屋一休」のブランドアカウントに加え、各店舗のアカウントを運用しています。基本的に本社が各店舗とコミュニケーションを取りながら、ブランドアカウントでは全店舗共通の情報を配信し、店舗アカウントでは店舗限定の情報などを配信しています。

居酒屋一休のブランドと店舗のLINE公式アカウント(画像は池袋店)

2023年2月現在、LINE公式アカウントの友だち数はブランドの方で13,000人。店舗の方は各店舗でばらつきがあるそうですが、トータルで3万人に達し、矢作氏は今後の目標として「全店トータルで友だち数10万人を目指したい」と語ります。基本的にスタッフによる案内で友だち数を伸ばしてきましたが、店舗側の負担やオペレーションについては全く問題がなかったと強調します。

 

「これは、長年にわたって続けてきたメンバーズサービスの賜物です。当時から友だち追加はスタッフによるお声がけが中心だったので、店舗側もお客さまへの案内方法は熟知しています。むしろ、これまで紙への情報記入、アプリのダウンロードやアカウント登録が必要でしたが、LINE公式アカウントの場合はQRコードを読み取ってもらうだけという利便性があります。また、特典として友だち追加時の抽選クーポンも用意しています。各店の友だち数は定期的にチェックしていますが、案内に関してのオペレーションは営業教育担当者と店舗側に任せています」

 

友だち追加に関するユーザーへの案内については、上記のように店舗で蓄積してきた知見やオペレーションに加え、動画マニュアルを導入したことも効果的だったといいます。特に数百の席数を抱える大型店舗の場合はスタッフ数も多く流動性も高いため、誰でもすぐ直感的に理解できる動画、ユーザーが来店した際の案内マニュアルなどを作成して教育に取り組んでいます。

Web経由の予約数のうち「LINEで予約」が3割を占めるまでに成長

一休がLINE公式アカウントの本格運用とともに始めたのが、「LINEで予約」です。

 

「LINE公式アカウントの本格運用をスタートした時から、LINEで予約の実装も決めていました。予約は主に各店舗アカウントから案内していて、ブランドアカウント経由の場合も予約希望の店舗アカウントに遷移させています」

LINE公式アカウント(ブランドアカウント)からの店舗予約方法
  1. リッチメニューから、予約したい店舗のエリア(都心・東京西・埼玉エリア)を選択
  2. 表示された予約可能店から店舗を選択
  3. 該当店舗のLINE公式アカウントを友だち追加(すでに友だちの場合はトーク画面へ遷移)
  4. 店舗のLINE公式アカウントの「LINEで予約」から希望日時・人数を入力して予約完了

ブランド(左)と店舗(右)のLINE公式アカウントリッチメニュー。ブランドアカウントでは希望のエリアをタップするとカルーセル形式で予約可能な店舗が表示され、店舗アカウントへ遷移する

現在、一休ではグルメサイト経由でも予約を受け付けていますが、全体のWeb予約件数のうち、約3割をLINEで予約が占めるまでに成長しました。もともと、電話予約も多かったそうですが、それらがLINEで予約に集約されるという効果もあり、店舗側での負担も軽減されたといいます。

 

「多忙な時間帯の電話対応はスタッフの負担になっており、記録した日時や時間帯のミスもありましたが、LINEで予約によって対応工数が削減されました。設計もシンプルなため操作などに関する問い合わせもほとんど発生していません。また、メッセージ配信からそのまま予約につなげられるようになったため、今後はリピート来店を促す取り組みなど、さまざまな活用が可能になったと思います」

 

さらに、一部店舗ではLINEミニアプリを活用したモバイルオーダーの導入も進んでいます。

 

「新たなシステム導入は店舗側の負担が増えてしまう可能性もありますが、LINEミニアプリのモバイルオーダーは導入・設定が簡単です。導入店舗では客席に設置している呼び出しボタンが押される回数が劇的に少なくなり、店内オペレーションも大幅に改善されました。また、お客さまが利用する際にはLINE公式アカウントの友だち追加が前提となるため、友だち数も自然と増えていきます。本社だけでなく店舗側も手応えを感じているため、今後は他店舗にも順次拡大予定です」

 

今後も自社アプリ、LINE公式アカウントを中心にファンの獲得に注力していくと語る矢作氏は、各店舗の魅力をさらに高める取り組みを進めていきたいと展望を明かします。

 

「店舗ごとに周年のイベントを開催してもいいですし、雨の日は割引を行うメッセージを配信するなど、アイデアはたくさんあります。現状、LINE公式アカウントの運営は本社主導ですが、ゆくゆくはそれらを店舗側に任せてみたい気持ちがあります。運用も簡単なLINEであれば、それも十分可能だと考えています」

 

(公開:2023年3月、取材・文/安田博勇、写真/慎芝賢)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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