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LINE公式アカウント

LINE公式アカウントを活用して売り上げアップ!ユーザーへの購入促進方法

株式会社デジタルガレージ

2023.02.27

株式会社デジタルガレージ
古屋仁俊 氏(「ohora」日本展開支援 責任者)
石川愛理 氏(「ohora」日本展開支援 メンバー)

2021年3月に日本市場に進出した韓国発のセルフジェルネイルブランド「ohora(オホーラ)」は、日本市場におけるマーケティング戦略の重要チャネルの一つとしてLINE公式アカウントを運用しています。

 

ウェブトラフィックオーディエンスなどを用いたメッセージのセグメント配信を行い、ROAS(費用対効果)や売り上げ増加などの効果を上げている「ohora」の取り組みについて、日本展開支援を行う株式会社デジタルガレージの古屋仁俊氏(以下、古屋氏)と石川愛理氏(以下、石川氏)に聞きました。

目的
  • きめ細やかなコミュニケーションを実現し、売り上げ増加につなげたい
  • メッセージ配信によって、ユーザーの購入を後押ししたい
施策
  • ウェブトラフィックオーディエンスを用いて、カートに商品を入れたまま購入に至っていないユーザーに購入を促すメッセージを配信
  • ユーザーに合わせた情報を配信するため、オーディエンスデータを活用したメッセージのセグメント配信を実施
効果
  • LINE公式アカウントから公式ECサイトへの誘導数が、全体の月平均35〜40%を占める
  • セグメント配信を行うことで、一斉配信と比較してROASが1.2倍向上
  • 他SNSと比較して、LINE公式アカウント経由の購入率は1.5倍高い数値を記録

購入意欲の高いユーザーと、LINE公式アカウントでつながる

韓国発のセルフジェルネイルブランド「ohora」は、2021年3月に日本市場に進出しました。中国や台湾、米国、欧州でも事業を展開しており、インターネット事業を幅広く手掛ける株式会社デジタルガレージが日本での展開を担っています。オンライン(公式ECサイトや各種ECモール)とオフライン(約70店舗のバラエティーショップでの販売)の両軸で展開する「ohora」は、日本のネイル市場では後発ブランドでありながらも18〜49歳の女性を中心に人気を集めています。

シールタイプで気軽に使用できることや、デザインのクオリティーの高さが人気を集める理由

「ohora」が日本市場におけるマーケティング戦略の中で重視しているのが、LINE公式アカウントやTwitter、Instagramの活用です。

 

「どのチャネルでも新商品の告知やイベント案内を中心にした告知は行っていますが、中でもInstagramとTwitterは情報発信に加えてUGCを生み出すチャネルとして活用しています。一方、LINE公式アカウントは、ユーザーときめ細やかなコミュニケーションを実現するプラットフォームと位置付けています」(石川氏)

株式会社デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー ECコンサルティング部 石川愛理 氏(「ohora」日本展開支援 メンバー)

「ohora」がLINE公式アカウントの運用を開始したのは、2021年6月のこと。ちょうど「ohora」の公式ECサイトがオープンしたタイミングでした。

 

「日本で展開するにあたり、既存のお客さまにアプローチする方法としてメールマガジンを導入しましたが、メールだけでは情報を届けられるお客さまが限定的だと考え、そこを補うチャネルとして注目したのがLINE公式アカウントです。LINE公式アカウントは日本国内で月間9,400万人(2022年12月末時点)が利用し『ohora』のメインターゲット層である20〜30代の女性にもリーチできる点が評価ポイントでした」(古屋氏)

株式会社デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー ECコンサルティング部長 古屋仁俊氏(「ohora」日本展開支援 責任者)

LINE公式アカウントの開設後は、公式ECサイト上に友だち限定クーポンの案内を表示しました。これにより、購入意欲の高いユーザーをECサイトから自然に誘導し、LINE公式アカウントでつながることができていると古屋氏は話します。ほかにも期間限定のポップアップショップ開催時にノベルティーを配布して友だち追加を促すなど、着実に友だち数を増やしていきました。他のSNSと比較しても速いスピードで、LINE公式アカウントの導入から1年ほどで友だち数は約25万人にまで増えたそうです。

 

「アカウント開設後、しばらくは友だち数やブロック率の推移をKPIとして見ていたのですが、『ohora』のファンや購入意欲が高いユーザーをオーガニックで集めることができているため、もともとブロック率は非常に低いです。友だち数は公式サイトの訴求の有無による影響が強いため、現在はKGIにLINE公式アカウント経由の売り上げ、KPIにROASを設定しています」(古屋氏)

LINE公式アカウントの機能をフル活用し、テキストで“親しみやすさ”を意識

LINE公式アカウント経由の売り上げを向上するために行っているのが、LINE公式アカウントを活用した“カゴ落ち(買い物かごに入れられたまま、購入まで至らない商品)”を防ぐための取り組みです。

 

「ohora」のLINE公式アカウントでは、LINE Tag(※)のトラッキング情報を基にしたオーディエンスデータ「ウェブトラフィックオーディエンス」を活用し、”カゴ落ち”ユーザーへ購入を促すメッセージを配信しています。

※「LINE Tag」は、LINE公式アカウントやLINE広告による配信効果を計測する際に必要となる機能です。Webサイト上に設置することで、どのくらいのユーザーが自社のサイトを訪問したのか、あるいは商品・サービスの購入に結びついたのかなどを計測することができます。詳しくはこちら

「LINE Tagは、タグを活用して細かいセグメント配信を行うことを目的に、ECサイトの全ページに設定しています。LINE Tagから得られるデータをウェブトラフィックオーディエンスとして活用し、カートに商品を入れたまま購入に至っていないお客さまに対して、1日後に購入を促すメッセージを配信しています。購入意欲が高いうちに、購入の後押しをしたいという意図です。将来的にはこうした取り組みを拡大し、きめ細かいOne to Oneのコミュニケーションを実現していきたいと考えています」(石川氏)

 

導入当初からきめ細かなコミュニケーションの実現を目指す「ohora」では、「過去に配信したメッセージを開封したユーザー」や「メッセージをクリックしたユーザー」を抽出してメッセージを配信するなど、セグメント配信も積極的に展開しています。

 

例えば「セール開始を告知するメッセージを開封したユーザー」を対象に、「最終日にリマインドメッセージを送る」というセグメント配信は非常に効果が高く、LINE公式アカウント経由の売り上げやROASの向上にも大きく貢献しているそうです。

 

また、配信の効果を高めるためにクリエイティブやメッセージのテキストにも工夫をしています。例えば、人気色のピンクのネイルをメイン画像で使うと反応が良いため、カードタイプメッセージを用いた配信では1枚目にピンクのネイル画像を配置しているほか、テキストも絵文字を活用して親しみやすさを出しています。

LINE公式アカウントのメッセージで季節に合う商品をおすすめ。テキストに絵文字を用い、親しみやすさを出す

「メッセージ配信は、1週間に最低1回、多い時で週に3回ほど配信しています。配信結果を週1回のペースで振り返り、反応の良かったメッセージの内容やクリエイティブ、テキストの打ち出し方の知見を蓄積していきました。あいさつメッセージやステップ配信、リッチメニューも活用し、さまざまな情報を届けるようにしています。実は、リッチメニューからの購入がLINE公式アカウント経由の売り上げの中でも大きな割合を占めています。そのため、月1~2回の頻度でこまめにクリエイティブを変更することで、ユーザーの目に留まるようにしています」(石川氏)

 

「ohora」では、あいさつメッセージやステップ配信、リッチメニューの3つの機能を次のように活用しています。

あいさつメッセージ

友だち追加をしたユーザーに対し、初回利用時に使用できるクーポンを配布して購入につなげています。さらに「あなたにピッタリの情報をお届けするため」とアンケートの回答を促し、回答したユーザーにはおすすめのネイル情報もコンテンツとして配信しています。

パーソナルカラーに合わせた商品の紹介など、ユーザーの心をくすぐるコンテンツを提供している

ステップ配信

友だち追加をした直後のユーザーへ向けた配信には、「ステップ配信」も活用。例えば「友だちになってから〇日後に、ネイルの付け方やオフ方法を伝える」「日本限定デザインの紹介をする」などのメッセージを配信しています。

カードタイプメッセージやリッチメッセージを用いて、ユーザーに役立つ情報や商品の紹介を行っている

リッチメニュー

Messaging APIを活用して「メイン」「ネイル」「ヘルプ」と3つのタブを設けています。メインのタブでは一番大きなエリアのクリエイティブをイベントや季節ごとに切り替えた訴求を実施。商品の情報へすぐにアクセスできるだけではなく、「12星座占い」や「プロが教えるネイルケア」など、ユーザーが気になるコンテンツも充実させています。

3つのタブの内容はすべて異なり、情報にアクセスしやすいように工夫している

LINE公式アカウント経由の売り上げが3倍に!ECサイトへの送客効果も

運用の工夫を重ねた結果、LINE公式アカウント経由の売り上げは、導入当初と比較して3倍まで増加しました。クーポンの利用に関しても、LINE公式アカウントで配信する友だち限定クーポンの使用率は、メールマガジンで配信するクーポンに比べて20〜30倍の効果を得ることができています。

 

また、メッセージのセグメント配信を行うことで、一斉配信に比べてROASが1.2倍に向上しました。他SNSと比べて購入率も1.5倍を誇るなど、きめ細やかなコミュニケーションの成果が現れています。

 

公式ECサイトへの誘導についても、全体の流入経路のうち、月平均で35〜40%をLINE公式アカウントが占めるなど、多くの流入数を得ています。既存ユーザーのリピート購入だけでなく、新規ユーザーの流入経路にもなっているそうです。

 

最後に、今後のLINE公式アカウント活用の展望について聞きました。

 

「広告展開などを含めさまざまな施策を実行してきましたが、LINE公式アカウントはトップクラスの成果が出ていると思います。引き続き強化して運用していく方針です。また、2023年はポップアップストアなどのリアルイベントに注力していきたいと考えているので、LINE公式アカウントを活用したオンラインとオフラインの連動企画も行っていきたいと考えています」(古屋氏)

 

「現在はウェブトラフィックオーディエンスを用いてお客さまの購入を後押しするような配信を行っていますが、今後は商品の再入荷通知や発送連絡に関してもLINE公式アカウントで通知できないか模索していく予定です。また、お客さまの会員情報とLINEアカウントの連携を進めることで、より配信の最適化を図り、満足度をさらに高めていけたらと思います」(石川氏)

 


(公開:2023年3月、取材・文/岩崎史絵)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
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