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LINEミニアプリ

プリペイド決済の利用率が105%に伸長!LINEミニアプリでデジタル会員証を実装したマキヤのポイントカード施策

株式会社マキヤ

2023.01.24

株式会社マキヤ 取締役執行役員 管理本部長兼経理・財務部長 竹島 剛氏
株式会社マキヤ 経理・財務部 伊藤五月氏
株式会社デジクル リテールDX事業本部 ビジネスマネージャー 鈴木克磨氏

静岡県を中心に食品スーパーやディスカウントストアを運営する株式会社マキヤ(以下、マキヤ)は、2022年8月にLINEミニアプリのデジタル会員証を導入しました。導入に至った背景やLINEミニアプリの利用者数を増やすための取り組み、これまでに得られた成果について、同社の竹島 剛氏(以下、竹島氏)、伊藤五月氏(以下、伊藤氏)と、LINEミニアプリの開発・実装を担当した株式会社デジクルの鈴木克磨氏(以下、鈴木氏)に話を聞きました。

目的
  • マキヤのポイントカード「マキヤプリカ」の新規会員数を増やしたい
  • 「マキヤプリカ」で利用できるプリペイド決済の利用頻度を高めていきたい
施策
  • 「マキヤプリカ」のデジタル会員証として、LINEミニアプリを導入
効果
  • 1カ月あたり2,000人の新規登録会員数が増加
  • LINEミニアプリ導入後、プリペイド決済の利用率が105%に伸長
  • これまで獲得できていなかった若年層の会員も獲得
  • LINEマイカードへの掲載で新規登録会員数が、掲載前の直近1週間の平均獲得数と比較して3倍に増加

低コストで導入できるLINEミニアプリに注目

静岡県富士市に本社を置くマキヤは、静岡県を中心にディスカウントストア「ESPOT(エスポット)」をはじめ、食品スーパー「POTATO(ポテト)/Mamy(マミー)」、家具・雑貨ショップ「e.comode(エ・コモード)」など、5つの業態のチェーンストアを展開しています。

マキヤグループが展開する「ESPOT(エスポット)」や「POTATO(ポテト)」「Mamy(マミー)」の外観

地域密着型の店舗を展開してきたマキヤでは、現在、2種類のポイントカード「マキヤプリカ」を提供しています。

マキヤでは「白カード」を2023年3月に廃止することに伴い、「黄色カード」の新規会員数の増加のほか、既存ユーザーには「黄色カード」への移行を促し、プリペイドカードの利用頻度を高めていこうとしています。

 

そこで、利用者数の増加やよりユーザーにとって便利な機能提供を目指し、2022年8月に株式会社デジクルが提供するデジタル会員証「デジクル for LINEミニアプリ」を個別開発の上、「ESPOT」や「POTATO/Mamy」など、88店舗に導入しました。

 

その際、自社アプリではなく、LINEミニアプリでデジタル会員証を導入した背景について、マキヤの竹島氏は次のように振り返ります。

 

「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響で内食ニーズが高まったことから、食品を中心に扱う当社は客数、売り上げともに順調に推移しています。それに伴い、やはり決済の効率化、対人同士の非接触化の重要性が増してきたことから、当初はキャッシュレス決済ができる自社アプリの導入を検討していました。

 

しかし、自社アプリの開発には膨大なコストがかかってしまうため、まずは比較的低コストで導入でき、運用も簡単なLINEミニアプリを導入することにしました。実際に導入してみると必要な機能がコンパクトにまとまっていて、お客さまからも『使いやすい』『スマートフォンさえあれば買い物できて便利』と好評です」(竹島氏)

LINEミニアプリをユーザーに告知するポスター

LINE上で会員登録からサービスの利用まで完結

マキヤが実装した「デジクル for LINEミニアプリ」では、LINE上でプリペイド決済や限定クーポンの配信、保有ポイントや利用履歴の確認などを簡単に行うことができます。

「『マキヤプリカ』をLINEミニアプリで実装するにあたり、会員登録からサービスの利用までLINE上で完結できる仕様にこだわりました。登録だけでなく、既存の会員情報や獲得ポイントとの連携もLINE上で完結します。これまでマキヤ様では新規の会員登録を紙で受け付けていましたが、その処理に店舗スタッフが要していた時間の削減にもつながっています」(鈴木氏)

 

実際、マキヤではこれまでプラスチックカードの発行に1枚あたり約100円かかり、その発行費を会員登録料としていました。しかし、LINEミニアプリではプラスチックカードの発行が不要のため、無料で会員登録を行うことができます。

 

また、黄色カードでプリペイド決済を行うには、決済用の磁気ストライプとポイント付与用の読み取りバーコードが存在していたため、スタッフは二度読み込む必要がありました。LINEミニアプリの場合は一度の読み取りで完結するため、工数やレジ待ち時間の削減にもつながっています。

1カ月あたり2,000人の新規登録会員数の増加に貢献

LINEミニアプリを実装してから約4カ月(2022年12月時点)、伊藤氏は「新規登録者の多さに驚いている」と話します。

 

「マキヤプリカのLINEミニアプリ利用者数は、約2万8,000人に上ります。そのうち27%にあたる約8,000人が新規登録者で、導入後ひと月あたり2,000人が純増している計算です。中でもLINEマイカードにマキヤプリカのLINEミニアプリが掲載され、ホームタブに追加いただく方が増えたことで、新規登録会員数が、掲載前の直近1週間の平均獲得数と比較して3倍に増加しました。また、従来のプラスチックカードの利用者は主に50代以上が中心となりますが、LINEミニアプリの利用者は40代以下の方が多く、これまで獲得できていなかった若年層の会員を開拓できました」(伊藤氏)

 

マキヤプリカのLINEミニアプリ利用者2万8,000人のうち、約7,000人が白カードからの移行者です。プリペイド決済の利用を推進したいマキヤは、この数字も評価しています。

 

「クレジットカード決済の場合は売上金額の数パーセントを手数料としてクレジットカード会社に支払う必要があるため、お客さまにはその手数料が発生しないプリペイド決済を多く利用してほしいと考えています。

 

また、事前にお金をチャージしていただければ、再来店にもつながります。実際に現在3つあるカードの利用者のうち、最も来店率が高いのはプリペイド決済ができるLINEミニアプリの利用者です。さらにLINEミニアプリ導入後、プリペイド決済の利用率が105%に伸長していることから、売り上げにつながる効果も実感しています」(伊藤氏)

 

LINEミニアプリの利用者数を増やすことのできた要因は大きく2つあるといいます。

 

一つが、継続的な入会キャンペーンの実施です。毎月キャンペーンの内容を変え、プリペイド残高などのインセンティブを付与しています。2022年12月には期間中、合計2万円以上をプリペイド決算したユーザーの中から抽選で1,000名に1,000円分のプリペイド残高をプレゼントしました。

 

もう一つが、会員登録のための導線拡充です。ホームページ上のバナーや店頭での掲示、LINE公式アカウントのリッチメニューに、LINEミニアプリを起動する導線を設置しています。

 

「設置した導線の中でも、リッチメニュー経由で登録される方が最も多くいらっしゃいます。リッチメニューに常時ボタンを設置することで、ユーザーが任意のタイミングで登録できるようにしたことも会員登録につながっていると考えています」(伊藤氏)

リッチメニューに常にLINEミニアプリへの導線を設置しているため、ユーザーは簡単に登録・利用ができる

LINEミニアプリでより快適な購買体験を提供したい

デジタル会員証の導入に際して、多くの小売事業者が不安に感じるのが「十分な費用対効果が得られるのか」「現場がうまく運用できるのか」という点です。そうした懸念に対して、鈴木氏は「そうした不安をお持ちの方にこそ、LINEミニアプリをおすすめしたい」と力説します。

 

「やはりLINEミニアプリは比較的低コストで導入できるのが魅力です。まずはLINEミニアプリでデジタル会員証を導入してみて、それでもなお必要に迫られた場合は自社アプリの開発を検討するのが良いと思います。また運用面に関しても、いまや現場のスタッフの大半もLINEのユーザーですから、馴染みのない新たなツールを導入するよりも、LINE上で操作が行えるLINEミニアプリのほうが受け入れられやすく、オペレーションもスムーズになると思います」(鈴木氏)

 

「当社でも導入前は高齢のレジスタッフがうまくLINEミニアプリに対応できるのか多少の不安がありましたが、導入してみると特に問題なく現場に受け入れてもらえています。導入に先立ち、まずはリリースの1カ月ほど前からスタッフ自身にLINEミニアプリを使ってもらいました。当初は『登録用のQRコードの読み込み方が分からない』など基本的な使い方についての質問もありましたが、事前にマニュアルの作成や本部のレジトレーナーによる各店への指導を行ったり、実際に会員登録から決済を試してもらう中で、次第に疑問が解消されたようです。そもそも、LINEミニアプリを起動すればバーコードが表示されるというシンプルな仕組みなので、高齢のスタッフでも扱いやすいようです」(伊藤氏)

 

最後に、今後のLINE活用の展望について伊藤氏に伺いました。

 

「2023年1月には、LINEミニアプリ上での季節・限定商品予約機能を追加しました。これまでクリスマスケーキや恵方巻といった季節商品を購入いただく際、お客さまに注文書にご記入いただき、集計するという方法を採用していましたが、注文書の配布コストや集計の手間など従業員の負担もありました。今後は、LINEミニアプリ上で注文から決済まで完結するサービスの開発検討中です。オンラインでもオフラインでも快適な購買体験をお客さまに提供していきたいと思います」(伊藤氏)

 


(公開:2023年1月、取材・文/相澤良晃)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です