• ホーム
  • 事例
  • 応募者30%増!マクドナルドが始めた「バイト募集専用」のLINEアカウントの効果

応募者30%増!マクドナルドが始めた「バイト募集専用」のLINEアカウントの効果

日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルド株式会社 人事本部 フィールドHR部 マネージャー 宮沢泰成氏

LINE公式アカウント」を活用し、新たなアルバイト募集の形に挑戦した日本マクドナルド株式会社(以下、マクドナルド)で、店舗を支えるクルー(マクドナルドで働くアルバイトスタッフ)の採用支援を担当する宮沢泰成氏(以下、宮沢氏)に、導入目的や成果などについて話を伺いました。

目的
  • アルバイトへの応募数を増やしたい
  • マクドナルドでのアルバイトに興味を持ってもらいたい
施策
  • アルバイト募集専用の「LINE公式アカウント」を開設
  • 「LINE公式アカウント」を活用し、有人オペレーター対応によるアルバイト応募受付を開始
効果
  • アカウント開設から半年未満で2,000件近くの応募数を記録
  • 波及効果を含め、全体でのアルバイト応募数は30%増加

新たなアルバイト募集のチャネルとしてLINEを導入

マクドナルドは、1955年に世界1号店を開店以来、現在は世界100カ国以上で約37,000店舗を展開しています。日本では1971年に1号店を開店し、今では国内に約2900店舗あり、年間で延べ約14億人のユーザーが利用しています。世界のマクドナルドの中でもニ番目に店舗数が多い、非常に大きなマーケットとなります。

そんな日本のマクドナルドを支えるクルーの数は、全国で約14万人。学生や主婦、フリーターやシニアなど、さまざまな人がクルーとして働いていますが、最も多いのは学生です。そのため、3月に入ると卒業や就職で多くの退職が発生し、年間で約半数のクルーが入れ替わります。年間7万人にものぼるクルーの新規採用を、どのように行うのか。

「実は採用で一番多いのがクルーとして働いている方からの紹介で、これが6割ほどです。残りの4割が、店舗への直接の応募や、コンタクトセンター経由の応募になります。コンタクトセンターへの応募を募るチャネルとして、一番大きいのがアプリです。マクドナルドのアプリはダウンロード数が約4,800万件もあり、アプリ内に求人のバナーを掲載することで、多くの方へリーチすることができます。他にも、ポスターやステッカー、トレイマットなど、店頭のマーチャンダイジングも常に行っています。

とはいえ、全体として働き手が減少している中で、これだけの人数を採用することは決して容易ではありません。どうやったら振り向いていただけるのかということを常に考えていますし、新しいチャネルを増やしていくことも非常に大事なことだと捉えています。そんな中で、LINEは日本国内で8,200万人(2019年9月末時点)に利用されているコミュニケーションアプリであり、とても大きな可能性を秘めていると感じました。また、ナショナルチェーンでLINEを使って求人を行った事例はなかったので、PR面でも効果的ではないかという期待感がありました。その結果、アルバイト募集の新たなチャネルとしてLINEを導入することになりました」

宮沢泰成氏

いざ導入開始!トーク経由での応募数の純増のほかにも予想外の効果が…?

そして、マクドナルドのアルバイト募集専用LINE公式アカウントが2018年2月に開設されました。アカウントを友だち追加し、リッチメニュー上の応募ボタンを押すと、まずはチャットボットが立ち上がります。アルバイトに応募することを確認して、希望する店舗を入力するとオペレーターにつながり、トークで名前、連絡先、顔写真を送ると、履歴書不要で応募が完了する仕組みです。

応募ステップ

ポスターやステッカーなどを使用して、主に店頭でLINE公式アカウントの告知を行った結果、開設から約5カ月間で友だち数は約7万人にも上りました。そして、トークからのアルバイト応募数は約2,000件。想定以上の効果があったと、宮沢氏は明かします。

アルバイト・パート募集中

「実はLINEアカウントを開設した結果、クルーへの応募数が全体で30%増えました。直接トーク経由の応募には至らなくても、リッチメニュー経由でホームページのエントリーフォームへ遷移し、そこから応募してくださる方が圧倒的に増えているのでしょう。おそらく、LINEで友だちになったものの、応募への気持ちがそこまで温まっていない方が、リッチメニュー経由でホームページにアクセスしてコンテンツを閲覧することで応募への意思が固まり、ホームページのエントリーフォームから応募する…といった流れが、LINEを導入したことによって新たにできたのではないかと考えています。アルバイト応募のツールだけではなく、ホームページへの集客チャネルとして機能するということは、予想していなかった効果でした」

LINEならではの親しみやすいコミュニケーションのために、オペレーターの対応にも工夫を

宮沢泰成氏

また、トーク経由の応募の要となるオペレーターの対応については、こんな工夫を行ったと宮沢氏はいいます。

「LINEでの対応を始める前に、マクドナルドにおけるコンタクトセンターの一貫性のある対応はどうあるべきかを議論し、ペルソナを設計しました。あるオペレーターさんだけ、急にスタンプで対応をし始めたら変ですよね。複数のオペレーターさんが同じトーン&マナーで対応できるよう、コンタクトセンターのペルソナを定めました」

「他にも、LINEスタンプの代わりに使える、クルーのユニフォームを着用した画像を何パターンか作成しました。LINEでの対応で雰囲気を和ませる効果があると考え作成しましたが、慣れないコミュニケーションへの戸惑いからか最初はあまり使われていなかったので、積極的に使ってもらうように促しました。スタンプ風画像を使って顔写真の送信例を紹介することで、実際に顔写真を送ってもらえるケースも多くなっているように感じます」

トーク画面

手軽に相談できる利点を生かし、さらなる応募数の拡大へ

今回のLINE導入によって得られた結果を踏まえ、今後の課題も見えてきたようです。

「トーク経由での応募のシェアは、全体の応募数からするとまだまだ可能性があると思っています。トークを使って応募してくださる方をもっと増やしていきたいです。エントリーフォームに入力しておしまい、というホームページからの応募と違い、LINEではチャットでリアルタイムに相談をしながら応募することができるので、クルーとして働くことに不安を抱えている応募者の後押しができるのではないかと思っています。現状、トークからの応募者は高校生・大学生が圧倒的に多いのですが、勤務時間や職場環境に不安を抱えていることの多い主婦の方などにももっと使っていただけるよう広めていきたいと考えています」

「Fun place to go(マクドナルドに行けば何か楽しいことがある)」という理念のもと、これまでにない新しい取り組みにも積極的なマクドナルドで始まった、アルバイト募集専門の「LINE公式アカウント」。

お客さまとのコミュニケーションツールの一つとして、活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。

(公開:2018年9月)


※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです