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LINEミニアプリ

LINEミニアプリ導入後、月間で約1万人が会員登録!ロイヤルカスタマーを集める中川政七商店のLINE活用

株式会社中川政七商店

2022.11.25

株式会社中川政七商店 BCSプロジェクトマネージャー 中田勇樹氏

「日本の工芸を元気にする!」というビジョンの元、日本の工芸をベースにした生活雑貨の企画・製造・販売を手掛ける株式会社中川政七商店(以下、中川政七商店)は、2022年6月からLINEミニアプリのデジタル会員証を導入しました。それにより、自社の会員登録率のアップ、LINE公式アカウントの友だち数増加やブロック率の低下など、さまざまな活用メリットをもたらしたLINEミニアプリの導入の経緯や取り組み内容について、同社の中田勇樹氏(以下、中田氏)に話を聞きました。

目的
  • 「接心好感」(せっしんこうかん)という接客ポリシーを大切にしながら、顧客接点のさらなる強化と利便性のあるデジタルサービスをユーザーに提供したい
施策
  • 2022年6月に「デジタル会員証」機能を持つLINEミニアプリを導入
  • LINEミニアプリではデジタル会員証の発行のほか、購入履歴の確認やECサイトへのアクセスなどの機能を提供
  • 自社のLINE公式アカウントを友だち追加したユーザーに、ステップ配信で会員登録を促す
効果
  • 店舗購入した非会員ユーザーの会員登録率がLINEミニアプリ導入前後で3倍にアップ(5→15%)
  • LINEミニアプリの導入から3ヵ月で友だち数が11万人となり、3万人弱の会員登録につながる
  • LINE経由のECサイト売り上げが3倍になり、LINEミニアプリに対する社内外の評価も上々

LINEミニアプリの導入で、店舗におけるユーザーの利便性が向上

奈良県奈良市に本社を構える中川政七商店は、1716年に麻織物の卸問屋として創業しました。現在は製造小売業として、手績み手織りの麻織物を中心に、日本全国の豊かな素材・技術・風習を活かしたオリジナルの生活雑貨を幅広く展開しています。

商品の画像

中川政七商店の商品ラインナップ

同社は、全国に約60の直営店を展開。「接心好感」(せっしんこうかん)を接客のポリシーに掲げ、「お客さまの心に接し、心地よいブランド体験を提供することを何よりも大切にしている」と中田氏は話します。

 

「弊社の接客は、目の前の商品を購入いただくことよりも、商品やお店、ブランド、会社自体を好きになってもらうことを重視しています。ですから、店舗スタッフにはつねづね“無理に商品を売る必要はない”と伝えています。まず、ブランドのファンになってもらう。その上で商品を購入いただいたほうが、お客さまと弊社の双方にとって幸せだという考え方です」

店内の画像

中川政七商店 渋谷店の内観

そんな接客のポリシーを掲げる同社は、顧客接点のさらなる強化を目的として2017年にLINE公式アカウントを開設。以降、ユーザーとのコミュニケーションツールの柱として、メルマガと併用してきました。

 

「以前は店舗ごとにLINE公式アカウントを開設していたのですが、本格的に運用するとなるとどうしても工数がかかります。多忙な店舗スタッフには対面の接客に力を入れてほしいと考えて、ブランドでひとつのLINE公式アカウントに集約しました。現在、アカウント運用は本部が全て担当しています」

 

そして、2022年6月には「デジタル会員証」機能を持つLINEミニアプリを導入。その狙いについて、中田氏は次のように振り返ります。

 

「最大の目的は、『顧客体験の改善』です。もともと弊社では、ECサイトと実店舗の会員IDを別々に管理していたのですが、2020年に統合しました。以降、店舗でデジタル会員証を呈示いただく際には、WebブラウザからECサイトにログインしてマイページを開く仕様になり、多くのお客さまから『手間がかかる』とご意見をいただいていました。それが今回、LINEミニアプリでデジタル会員証を導入したことで、ワンタップで会員バーコードの提示が可能になりました」

図版

また、同社ではLINEミニアプリを導入する前に、ネイティブアプリも検討したといいます。

 

「ネイティブアプリを開発し、お客さまにインストールを促すには大きなコストを要します。しかし、LINEミニアプリなら国内の月間利用者数9300万人(2022年9月末時点)を擁するLINE上でさまざまなサービスを提供できますし、LINEアプリ自体が削除されることも考えにくい。社内で協議した結果、LINEミニアプリが最適という結論に至りました」

会員登録率は10%アップ、LINE公式アカウントのメッセージ開封率は20%アップ

中川政七商店が運用するLINEミニアプリは、株式会社ecbeingが開発しました。デジタル会員証の発行のほか、購入履歴の確認やECサイトへのアクセスなどユーザーにとって利便性の高い機能を備えています。LINEミニアプリの導入にあたって、中川政七商店はKPIとして「会員登録率」を主に注視しています。

 

「商品の購入時、まだ会員になっていない方にはLINEミニアプリの利用をお勧めします。お客さまはQRコードを読み込んで認証ボタンを押せば、LINEミニアプリのデジタル会員証(会員バーコード)が発行され、同時に弊社のLINE公式アカウントをスムーズに友だち追加いただけます。会計時にデジタル会員証を提示すれば、商品の購入ポイントを貯められるという仕組みです」

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その後、ユーザーに年齢、性別、メールアドレスなどの基本情報をLINEミニアプリ内で入力すると会員登録が完了し、貯めたポイントを利用できるようになります。「未会員」→「友だち追加」→「本会員登録」と段階的に誘導することで、店舗購入した非会員ユーザーの会員登録率は3倍にアップ(5→15%)したそうです(LINEミニアプリ導入前後3ヵ月の比較、中川政七商店調べ)。

 

「新たに友だち追加いただいたお客さまには、外部ツールを利用したステップ配信で会員登録を促しています。配信条件は試行錯誤している最中で、直近では、友だち追加の翌日にアンケート配信をするというものを検討しています。会員登録したお客さまにだけアンケートの回答権を付与し、回答するとポイントをもらえるという仕組みです。またアンケートの設問内容も工夫して、LINE経由で店頭購入に至った割合を測定できればと考えています」

図版

同社では、LINEミニアプリの導入から3ヵ月で友だち数が11万人になり、3万人弱の会員登録につながりました。しかも、導入前と比べてLINE公式アカウントのメッセージの開封率は約20%アップし、ブロック率は18%もダウンしています(数値は中川政七商店調べ)。こうした数値から、「LINEミニアプリを通じて、より深いつながりとなるお客さま(ロイヤルカスタマー)と友だちになることができている」と中田氏は分析します。

 

「その要因としては、やはり会員になるメリットをスタッフがきちんと理解した上で、お客さまにLINEミニアプリの利用を勧められているからだと思います。

 

具体的には、『商品の購入ポイントを貯めるだけでなく使えるようになること』『誕生月の割引クーポンが使い放題になること』『商品入荷の情報などをLINEで最も早くお届けできること』などです。

 

特に、最後のメリットは中川政七商店をご愛顧くださるお客さまにとっては重要で、LINEという即時性の高いコミュニケーションアプリだからこそ、提供できる価値だと考えています」

LINEを使ったコミュニケーションで、さらなる「接心好感」の実践をめざす

LINEミニアプリの導入から約5ヵ月が経過し、社内外から寄せられる声や反響について中田氏は次のように語ります。

 

「既存のお客さまにアンケートを取ると、『会員登録がすごく簡単になった』『デジタル会員証を提示しやすくなった』とお褒めの言葉をたくさんいただきます。店舗スタッフの評判も上々で、『以前のデジタル会員証の時より、オペレーションが格段に楽になった』という声が多く上がっています。

 

LINEミニアプリの導入後、LINE経由のECサイト売り上げが3倍になったことにも驚いていますが、何よりも店舗におけるお客さまの利便性を向上できた点が大きいと思っています」(数値は中川政七商店調べ)

 

「今後もLINEを軸として、顧客体験を向上させていきたい」と意気込む中田氏。具体的には次のような活用方法を考えているそうです。

 

「LINEミニアプリは、開発次第で高い“拡張性”を持ち得ると考えています。例えば、商品バーコードをスマホのカメラで読み込むことで、ECサイトに遷移して詳しい商品説明を表示する。また、LINEとレコメンドエンジンを連携させ、お客さまの購買履歴や行動履歴などに合う最適な商品を提案できれば、私どもが重視する店舗での顧客体験強化にもつながっていくはずです。

 

また、LINE公式アカウントのメッセージの配信頻度も一人ひとりに合わせて最適化されるようにしたいです。最初はお客さま自身で頻度を選んでいただき、ゆくゆくはメッセージの開封やクリックデータなどを踏まえて、より心地よいと感じる配信頻度で自動的にメッセージが届くようにする。LINEであれば我々が大切にしている“接心好感”の接客がオンライン上でも実践できるはずなので、今後も有効な活用方法を探っていきます」

 

 

(公開:2022年11月/取材・文:相澤良晃)

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※実績は中川政七商店調べ