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LINEミニアプリ

LINEミニアプリで店舗顧客を囲い込み!新規会員数とEC売上をアップさせたパルのLINE活用

株式会社パル

2020.06.30

(写真左から)
株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部 部長 堀田覚氏
LINE株式会社 B2B新規事業開発チーム 兼 ビジネス開発チーム 兼清俊太郎

株式会社パル(以下、パル)は50以上のアパレルブランドおよび生活雑貨ブランドなどを手がけ、国内1,000店舗以上を出店しています。同社は2020年2月にLINEミニアプリを導入し、“300円アイテム”を中心に取り揃える生活雑貨ショップ「3COINS」における店頭オペレーションを強化して、アプリの新規会員獲得に取り組みました。同社・堀田覚氏(以下、堀田氏)と、LINEミニアプリの提案・導入を担当したLINE・兼清俊太郎(以下、兼清)に、取り組みの内容や成果について話を聞きました。

目的
  • 新規ユーザーの登録が伸び悩んでいた自社アプリ 「PAL CLOSET」の会員数を増やしたい
施策
  • 2020年2月からLINEミニアプリをリリースし、QRコードを読み取るだけでデジタル会員証を発行
  • LINEミニアプリ起動時、PAL CLOSETのLINE公式アカウントに自動で友だち追加される機能を実装
  • LINEミニアプリを活用した会員証の使用率が高い店舗のオペレーションをマニュアル化して他店に展開
効果
  • 2020年3月以降、新型コロナウイルスの拡大で営業自粛となった店舗が多い中、PAL CLOSETの新規会員数は前月比(LINEミニアプリのリリース前)に比べて倍増
  • 「3COINS」では、新規会員の8割がネイティブアプリではなくLINEミニアプリを選択
  • 店頭起点でLINE公式アカウントの友だち数・ターゲットリーチ数が3倍増加し、ブロック率も減少
  • LINEミニアプリの導入後、LINE経由のECサイト売上が前年比5倍に伸長

実店舗は認知・プロモーションの起点となる

パルはファッションアイテムを取り扱うECサイト「PAL CLOSET」を運営しており、同名の自社アプリを2018年6月にローンチしています。これまで、商品購入時にパルグループの店舗とECサイト双方で使える共通ポイントが得られる「会員証」機能をフックに、アプリのダウンロード訴求を行ってきました。

パルの自社アプリ「PAL CLOSET」では、会員証機能のほか、
新着アイテムや会員限定セールの情報、クーポンなどを配信している

同社でデジタルプロモーションを統括する堀田覚氏は、自社アプリ開発の狙いについて次のように話します。

 

「小売業を営む会社にとって、実店舗は認知・プロモーションの起点となります。各店舗に立ち寄っていただいたお客さまがブランドを気に入って、再来店してくださる。そうした行動を喚起する点で、自社アプリや会員証機能は一定の効果を生んだと思います」(堀田氏)

堀田氏の写真

株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部 部長 堀田覚氏

しかし、店内が混雑することもある実店舗では、スタッフがお客さまに自社アプリのダウンロード方法を案内する時間はなかなか割けません。また、「スマホにダウンロードするアプリ数をあまり増やしたくない」というお客さまの意見もあり、2019年の夏以降、アプリの新規会員数が伸び悩んでいました。

 

そうした状況を打破するために、パルは2020年2月から「LINEミニアプリ」の活用を開始しました。

わずか5秒で会員証を発行! 店舗を起点に顧客とのオンライン接点を獲得

LINEミニアプリは、企業のWebアプリケーションをLINE上で提供できる新たなサービスです。ユーザーはアプリをダウンロードすることなく、LINE上でアプリの機能が利用できます。LINEミニアプリの開発会社であるクラスメソッドが個別開発を行い、パルは同サービスを先行導入してさまざまな試みを行ってきました。

 

「当社のミニアプリは、店頭POPなどで掲出されたQRコードをお客さまのスマホで読み込んでいただいた後、認証画面から『権限を許可』することですぐに会員証(バーコード)を提示できるようになります。それと同時に、『PAL CLOSET』のLINE公式アカウントが自動的に友だち追加されます。

 

LINEミニアプリの会員証を提示することでポイントが付与されるほか※、購入いただいた商品の明細(電子レシート)を受け取ることもできます。電子レシート内の商品リンクやLINEのホーム画面のサービス一覧、LINE公式アカウントなどから、『PAL CLOSET』のECサイトの利用もできます」(堀田氏)

  • LINEミニアプリでは会員登録をせずにポイントを貯めることができるが、ポイントを利用するには「PAL CLOSET」への本登録が必要

今回、パルのLINEミニアプリ導入をサポートしたLINEの兼清は、同サービスの特長について次のように説明します。

 

「パルさまの場合、ネイティブアプリを案内することで取りこぼしていた店頭顧客に、LINEミニアプリで会員証を発行し、顧客とのオンライン接点を獲得したいという要望がありました。従来、LINE公式アカウントのリッチメニュー経由でも会員証の発行は可能でしたが、『(友だち追加の)QRコード読み取り→LINE公式アカウントを友だち追加→リッチメニューから会員証を探す→会員証画面に遷移』と、店頭の体験においては手数が多いのが難点です。一方、LINEミニアプリはQRコードを読み取り後の認証画面の1タップで、会員証の発行と同時に友だち追加が完了します。個人情報の入力なども一切不要です。

 

店頭に掲出したPOPにも記載いただきましたが、QRコードの読み取りから会員証の提示まで“わずか5秒”と非常にクイックです。これまで4〜5分を要していたネイティブアプリの案内と比べ、大幅に時間が短縮され、会員証を案内するスタッフの負担も軽減した、と店長さまから聞いています」(兼清)

兼清の写真

LINE株式会社 B2B新規事業開発チーム 兼 ビジネス開発チーム 兼清俊太郎

また、パルのようにLINEミニアプリとLINE公式アカウントを同時に活用する取り組みでは、さらなる効果が期待できます。

 

「通常、『商品の購入』と『その後の情報提供』という2つのチャネルは分断されがちです。しかし、8,400万人(2020年3月末時点)というユーザー規模と、高いアクティブ率を誇るLINEであれば、分断されることはありません。

 

LINEミニアプリであれば、店頭におけるサービス提供に加え、LINE公式アカウントの友だち追加も同時に実現することができるので、オフラインを起点に店頭顧客とのオンライン接点も獲得できます。その後、LINE公式アカウントを通じた継続的なコミュニケーションで、ユーザーとの中長期にわたる関係性の構築が可能です」(兼清)

LINEミニアプリの導入後、アプリの新規会員数が倍増

2020年2月に導入したLINEミニアプリは、パルグループの中でも“300円アイテム”を中心に取り揃える生活雑貨ショップ「3COINS」の店舗でオペレーションを強化しました。その成果について堀田氏は「想定以上だった」と評価します。

 

「取り組みに当たっては、新規会員数をKPIに設定しました。2020年3月以降、新型コロナウイルスの拡大を受けて多くの店舗が営業自粛となったにもかかわらず、PAL CLOSETの新規会員数は前月比(LINEミニアプリのリリース前)と比べて倍増。しかも、3COINSの店舗に限定すれば、新規会員の8割がネイティブアプリではなくLINEミニアプリで登録いただいています。PAL CLOSETの会員数増加に伴い、LINE公式アカウントの友だち数・ターゲットリーチ数も、取り組み開始からわずか1カ月で約3倍に増加しました。反面、ブロック数は下がっており、店頭のロイヤルティーの高いお客さまにLINEミニアプリを利用いただけていると考えています。

 

また、課題としていたECサイト『PAL CLOSET』への誘導についても、LINEミニアプリの導入後、友だち数が増加したことでメッセージ経由のECサイトの売上が前年比5倍となりました」(堀田氏)

店内POPの写真

3COINSで掲出された、LINEミニアプリの登録を促すPOP。
「QRから5秒でポイントたまる」というコピーを入れている

LINEミニアプリの導入後、店舗のスタッフからは「案内オペレーションがシンプルになった」「LINEという安心感がありお勧めしやすい」といった声が上がっています。同時に、会員証提示率が特に高かった店舗のオペレーションをマニュアル化して他店舗に展開することで、LINEミニアプリの一層の利用促進を目指しているといいます。

LINEミニアプリを使って、“新しい生活様式”にも対応

LINEの兼清は、パルの取り組みにおける成功要因について次のように話します。

 

「私は、さまざまな小売業の企業さまとお話しさせていただくのですが、実店舗とECサイトの部門が分断されて別々のゴールが設定されるがゆえ、オフライン・オンライン横断型の施策が進みにくいケースがしばしば見受けられます。

 

パルさまは、実店舗とEC、それぞれの部門が『PAL CLOSETの会員数を増やす』という共通のゴールを設定し、サービス導入に伴い店頭オペレーションを再設計し、目標数値を店舗にも可視化し、成功モデルを横展開されています。そういった部門間を超えた取り組みを継続できるのが、同社の強みだと考えています」(兼清)

インタビュー風景

堀田氏は、小売業を取り巻く世の中の情勢を踏まえ、LINEミニアプリをはじめとするLINEの法人向けサービスの活用について次のように語ります。

 

「新型コロナウイルスの感染が拡大した後、“新しい生活様式”においては接客スタイルにも大きな変化がありました。そのため、LINEミニアプリの利用にかかる手軽さは、時代に合致していると思います。

 

自社開発したネイティブアプリについては、当社ブランドのファンの皆さまにとってよりリッチな体験を提供できるよう今後も運用を続けます。並行して、LINEミニアプリはライトユーザーの獲得手段としてさらなる効果を期待するとともに、LINEの各種サービスを併用した取り組みも検討していきます」(堀田氏)

 

(公開:2020年7月/取材・文:安田博勇、写真:上間力也)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです