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EC売り上げの約3割がLINE経由!LINE公式アカウントを軸にしたSABONのマーケティング戦略とは

株式会社SABON Japan

株式会社SABON Japan
EC&Digital Marketing Manager 西 裕美子氏

天然由来素材を使ったボディケア、ヘアケアアイテムなどを展開する株式会社SABON Japan(以下、SABON)は、2019年にLINE公式アカウントを開設。LINEを“CRMの要”と位置づけ、自社の会員情報とユーザーのLINEアカウントを連動させたOne to Oneコミュニケーションに注力しています。LINEを活用したファン化の取り組みやECの売り上げ増加につなげる秘訣について、同社EC&Digital Marketing Managerの西 裕美子氏(以下、西氏)に話を聞きました。

目的
  • 「会員情報の一元管理」と「One to Oneコミュニケーション」を実現したい
施策
  • SABON会員サイトの本会員登録の前段階として、SABONの会員情報とユーザーのLINEアカウントの連携(仮会員化)を推進
  • 会員情報とLINEアカウントを連携したユーザー(仮会員)へ、購買履歴を元にしたメッセージのセグメント配信を実施
  • リッチメニューに掲載するコンテンツを充実させ、ユーザーに各サービスの利用を推進
効果
  • LINE公式アカウント経由の売り上げはメール経由の約5倍、ROAS(費用対効果)は、約1,000%を記録
  • EC全体の売り上げのうち、LINE経由が約30%を占める
  • メッセージ配信した日のオンライン接客経由の売り上げは、平時と比べて約3倍を記録
  • LINE公式アカウント経由の売り上げの約50%が、リッチメニューからの流入
     

会員情報とLINEアカウントを連携させ、効果的なセグメント配信を実現

SABONは、1997年にイスラエルで誕生したナチュラルコスメブランドです。日本初上陸は2008年で、東京・表参道に1号店がオープン。以降、死海由来の塩を用いたボディースクラブや植物オイルを贅沢に取り入れたボディーソープなど、天然由来素材を使ったオリジナル商品が20~30代の女性を中心に人気を集め、着実に売り上げを伸ばしてきました。現在、都市部を中心に全国約50の直営店を展開しています。

 

SABONでは、これまでユーザーの店頭体験をマーケティング戦略の柱に据えてきました。「世界観あふれる、ぬくもりある店頭体験」をコンセプトに掲げ、ウオータースタンドを設置した体験販売を実施しているほか、店舗のビューティーアドバイザーが来店客の悩み相談に応えるなど、店舗起点でブランドの認知拡大や購買意欲の喚起に努めています。

一方で、近年はデジタルマーケティングにも注力してきました。その戦略の要となっているのが、LINE公式アカウントです。

 

「デジタルマーケティング戦略としては、『会員情報の一元管理』と『One to Oneコミュニケーションの実現』を目指しています。そのためのツールとして、LINE公式アカウントが最適だと判断しました。たとえば自社アプリだと、アプリをダウンロードしたり、会員登録のために個人情報を入力したりする手間が生じてしまいます。アプリ内で配信されたメッセージの確認にも、アプリを起動させなければなりません。お客さまの利便性を考えた場合、多くの方が日常的に使用しているLINEを活用しない手はないと考えました」

株式会社SABON Japan EC&Digital Marketing Manager 西 裕美子氏

SABONでは2019年4月からLINE公式アカウントを運用しています。その際にKPIとして掲げたのが「SABON会員サイトの本会員登録数」です。

 

「現在、各店舗に来店されたお客さまに対して、LINE公式アカウントの友だち追加とSABONの本会員登録をおすすめしています。しかし、本会員登録をするには、生年月日やメールアドレスの入力が必要となるため、まずは友だち追加後、数回のタップで完了する仮会員になっていただいています。

仮会員になっていただく際、SABONの会員情報とユーザーのLINEアカウントの連携が必要になるため、連携後はLINE公式アカウントを会員証として利用できるようになります。SABONからは仮会員の方の購買履歴を元に、メッセージのセグメント配信が行える仕組みです」

仮会員のユーザーには、後日、本会員化のベネフィットを訴求するメッセージを配信しています。たとえば、2021年5月から始まった「SABON ネイチャーマイレージクラブ」は、本会員だけが利用できるプログラムです。「買い物の際にエコバックを使う」「ラッピング不要を申し出る」などの環境へ配慮した購買行動をしたユーザーに対し、ハンドタオルやエコスプーンなどのオリジナル雑貨を特典として提供します。

 

「仮会員向けに『SABON ネイチャーマイレージクラブ』の案内を配信したところ、本会員登録率が約2倍に伸長しました。本会員になっていただくことで、お誕生日特典の配信など、データを活用してさらにお客さま一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションが取れるようになれます。会員情報や購買履歴をLINE公式アカウントで一元管理することにより、顧客ロイヤリティーを高めるための効率的かつ効果的なマーケティング施策を実施できるようになっています」

ECサイトの売り上げの約3割がLINE公式アカウントに

現在、SABONでは週に1回程度、LINE公式アカウントからメッセージを配信しています。メッセージ配信では、リッチメッセージを活用してブランドの世界観を訴求。クリエイティブの制作に使われるビジュアル素材は、本国イスラエルから支給され、SABON Japanでは商品を訴求するためにコピーを追加したり、配色を工夫したり、日本人に受け入れやすいような調整を加えているそうです。

 

「メッセージ配信によって、製品情報やお得な情報をきちんとお届けしたいという思いがあります。2021年8月現在、約146万人の友だちがいて、毎月約5万人ずつ増えています。その方々にブロックされないように配信頻度やタイミングに気を遣いながら、友だちにとって有意義な情報をお届けしたいですね」

ブランドの世界観を訴求しつつ、製品情報やお得な情報をユーザーに届ける

配信するメッセージの中でも特に購入へ結びついているのが、購買履歴に基づくセグメント配信です。たとえば、ECサイトのカートに商品を入れたまま購入せずに離脱した、いわゆる“カゴ落ち”したユーザーへのリマインド配信は、EC全体平均の15~20倍のコンバージョン数を記録しています。

 

「LINE公式アカウント経由の売り上げはメール経由の約5倍、ROAS(費用対効果)は、約1,000%にも上ります。EC全体の売り上げのうち、約30%がLINE経由で、欠かすことのできないチャネルになっています」

また、SABONのリッチメニューの活用にも特筆すべきものがあります。

 

「リッチメニューのデザインは新しい商品が出るたびに変更し、訴求内容が一目でユーザーに伝わるように工夫しています。さらに『最新情報・会員証』と『各種サービス』のタブを用意し、メニューが切り替わる仕様にしています。オンライン接客やバーチャルストアなど、この1年でリッチメニューを充実することで、さらなる売り上げアップを実現できました」

上部のタブによって表示メニューが切り替わるリッチメニュー

リッチメニューに導線を設けている「オンライン接客」は、ビューティーアドバイザーがチャット形式で商品の説明や活用法を詳しく説明してくれるサービスで、2021年1月に始まりました。同年4月にリリースしたバーチャルストア「SABON VIRTUAL STORE」はVR技術を活用したサービスで、実際に店舗を訪れたような感覚で購買体験ができます。これらのオンラインでも店頭のような購買体験ができるサービスは、コロナ禍によるユーザーニーズの高まりを受けて開始しました。時流に即した新サービスへの導線をリッチメニューに配置して視認性を高めることで、利用数の増加につなげています。

 

「バーチャルストア経由の売り上げは、ローンチから半年で2倍ほどになりました。また、メッセージ配信した日のオンライン接客経由の売り上げは、平時と比べて約3倍に跳ね上がります。商品だけでなく、配信内容やコンテンツについての質問もオンライン接客で受け付けており、興味・関心から購買へとつなげるコミュニケーションの場となっています。いまではLINE公式アカウント経由の売り上げの約50%が、リッチメニューからの流入によるものです」

2021年4月にリリースしたバーチャルストア「SABON VIRTUAL STORE」

ブランド独自の世界観を自由につくれるのがLINE公式アカウントの魅力

LINE公式アカウントの運用を開始してから、約2年半。あらためてその成果について、西氏は次のように話します。

 

「ほかのSNSでは、LINE公式アカウントほどの売り上げやECへの流入は実現できなかったと思います。たとえば、InstagramにはInstagramの、TwitterにはTwitter独自の世界観があり、そのトンマナにクリエイティブやメッセージが合わないと、なかなかエンゲージメントが上がりません。一方、LINEにはそうしたプラットフォーム独特の“色”や“縛り”のようなものがなく、LINE公式アカウント内で自由にブランドの世界観を構築できると感じています。そして、自社のブランドの世界感を気に入っていただいたお客さまと、密にコミュニケーションをとれるのがLINE公式アカウントの良さだと思います。

 

今後はメッセージのセグメント配信も強化しつつ、LINEのさまざまなサービスを活用して、ファンを増やしていきます。SABONのビジネスを拡大するうえで、LINEは欠かせないタッチポイントです」