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マーケドリブンで突き進む逆転発想の広告戦略、スマニューがLINE広告で挑むマジョリティーへの訴求

スマートニュース株式会社

スマートニュース株式会社 マーケティングマネージャ 網谷 隆志氏


※当事例は、MarkeZineに掲載された記事の転載となります。

5,000万ダウンロード(2019年10月時点)を突破したニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」は、マーケティング主導でコンテンツを生み出す広告戦略で新規ユーザーを獲得してきた。同社の広告戦略とそれを支えた「LINE広告」の活用方法について、マーケティングマネージャの網谷隆志氏に話を伺った。

ニュースの定義を広げてユーザー層は拡大傾向

ーースマートニュースのマーケティングと「LINE広告」の運用について伺います。まずは網谷さんの業務領域について教えてください。


網谷:我々マーケティングチームのミッションは、スマートニュースのアプリユーザーを増やすことです。私はマーケティングマネージャとしてオンライン施策からテレビCMまですべてのマーケティング領域を横断して見ていますが、特に注力しているのがデジタルプロモーションです。

スマートニュース株式会社 マーケティングマネージャ 網谷 隆志氏

網谷:この2年間の成長を支えてきたのは2018年3月に開始した「クーポンチャンネル」で、全国4万店舗以上(2020年6月時点)のレストランやコンビニなどで利用できるクーポン情報を集めた専門チャンネルです。政治や経済、スポーツや芸能情報などのニュースだけではなく、スマートニュースはユーザーにとって有意義なコンテンツすべての中から、良質な情報を配信するアプリを目指しています。クーポンチャンネルのようにニュースとの接点を増やす新たなコンテンツを立ち上げて新規ユーザー獲得を狙う際、デジタルでのプロモーションを重要な手段として認識しています。


ーーターゲットユーザーとしては、どのような層を狙っているのでしょうか?


網谷:クーポンを開始するまでは、政治経済などのニュースを閲覧する頻度が高い比較的年齢の高い男性が中心でした。しかし、クーポンを開始してからターゲットを広げ、若年層や女性ユーザーの増加によって年代は拡大傾向にあり、現在のユーザー属性は日本の人口構成に近くなっています。

マジョリティーへの訴求と相性がいいLINE広告

ーーLINEが幅広い年齢で使われていることを考慮すると、LINE広告はスマートニュースが狙っているターゲットに重なると言えそうです。LINE広告を含むデジタル広告全体の戦略について教えてください。


網谷:LINE広告以外にも、FacebookやTwitterなど主要メディアに対しては一通り配信していますが、アドネットワークは積極的には展開していません。スマートニュースのコンテンツでは、クーポンなどで他社のブランドを扱うことがあり、ブランドセーフティーの観点を重視しています。広告配信でも掲載されるメディアは慎重に選びたいため、アドネットワークは拡大しづらいという背景があります。


広告配信については、メディアのユーザー属性に合わせて訴求内容を変えています。各種ニュースやクーポンチャンネル、アイドルグループの専門チャンネルなど、さまざまなコンテンツを発信しているため、若年層のユーザーが多いSNS広告ではアイドルグループの専門チャンネルを訴求し、ビジネス層が多いメディアではニュース情報を訴求するなど、メディアのユーザー属性と訴求するコンテンツ内容の親和性を重視しています。


ーーメディア選定についてはどんな基準がありますか?


網谷:「ターゲット人口×認知率×リーチ×CTR(クリック率)×CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)」という考え方をしています。たとえば、日本のスマートフォンユーザーを8,000万人と仮定し、これをターゲット人口とします。次に、8,000万人の中で認知を獲得できているユーザー割合を仮に70%とすると、ターゲットは5,600万人になります。この5,600万人のユーザーに対して、どのメディアを活用すれば100%カバーできるか。上記の計算式での「リーチ」を「メディア」と考えて選定しています。


もし、訴求するコンテンツのターゲット人口に若年層が多い場合、SNS広告なども考慮しますが、8,400万人(2020年3月末時点)という圧倒的なユーザー数を持つLINEはどんな場面でも選択肢に入ってきます。

LINEの国内における月間アクティブユーザー数と1日に1回以上利用するユーザーの割合

LINEの国内における月間アクティブユーザー数と1日に1回以上利用するユーザーの割合

網谷:また、新サービスの受け入れが早い順にユーザー層を5つ(イノベーター/アーリーアダプター/アーリーマジョリティー/レイトマジョリティー/ラガード)に分類するイノベーター理論に当てはめてみると、クーポンを開始するまでのスマートニュースのユーザー層はアーリーアダプターが中心でした。それが、クーポンのスタートによってマジョリティーを取り込むことができたと感じています。


急成長しているソーシャルメディアはマジョリティーにも届くメディアですが、頻繁に使っているユーザーはアーリーアダプターが多い印象です。一方、LINEはマジョリティーに強く、LINEでしかリーチできないユーザーも一定数存在します。レイトマジョリティー層も多いと見ているため、この層にリーチできるメディアとして重宝しています。また、テレビCMの効果で2年ほど前からスマートニュースの認知率が急上昇しましたが、興味深いことにLINE広告経由のアプリダウンロード数は認知率の上昇と比例するように伸びています。そのため、最近は以前よりもLINE広告を活用するようになりました。

マーケティングドリブンで配信する広告コンテンツ作成

ーーLINE広告はリーチが大きく、マジョリティーに訴求できるということですが、それ以外にはどのようなメリットがあるとお考えですか?


網谷:LINEは、広告に接触した際のユーザーの反応や行動が優れていると思います。ユーザーがLINEを使用する主な目的は家族や友人とのコミュニケーションで、LINE NEWSやタイムラインはコミュニケーションの隙間時間や余剰時間に閲覧されていると考えています。結果、LINE広告の配信面として広告を認識する際は比較的余裕のある状態だと推測され、自分に有益な情報だと感じればクリックなどのアクションにつながりやすいと思います。

LINE広告の配信面

LINE広告の配信面

網谷:また、他のSNS広告よりもクリエイティブが“枯れる”のが遅いとも感じています。つまり、同じクリエイティブで長く勝負できる実感を持っています。


ーークリエイティブはどのように運用しているのでしょうか?工夫されている点があれば教えてください。


網谷:クリエイティブの運用は代理店と共同で進めています。制作は代理店に依頼していますが、大枠の訴求内容や方向性は自社で決めています。特徴的なのは、広告効果を高めるために、どのようなプロダクトやコンテンツがあればいいのかという発想で進めていく点にあります。一般的には、既に存在するプロダクトやコンテンツを軸にテレビCMや広告配信を行いますが、我々はその逆。コンテンツやプロダクトを、マーケティングドリブンで開発しています。

“How to say”より“What to say”を考える

ーークリエイティブにおいてはどのようなこだわりがありますか?


網谷:デザインよりも、土台となる訴求を重視しています。たとえば、クーポン訴求でデザインにこだわり、背景色を変えるなどの細かい修正を繰り返しても、通常1%か2%ほどしかCTRは改善できません。それよりも、パートナー企業と協力して「限定クーポン」のような新たな訴求を生み出した方が大きな改善が期待できます。細かい検証も大切ですが、“How to say”より“What to say”に力を入れることを意識しています。このように、土台となる訴求について考えていくと、先ほどお話しした“マーケティングドリブン”でのプロダクトやコンテンツ開発にたどり着きます。


また、コンテンツサービスは大きくフロービジネスとストックビジネスの2種類に大別できます。フロービジネスは不動産情報や結婚式場情報など、数年に1回、一生に1回といった頻度で求められる情報を扱うサービスです。ユーザーは常に入れ替わるため、同一クリエイティブでも効果が極端に落ちることはありません。


対して、ストックビジネスはターゲットが固定化されているため、新たなユーザーを獲得するためには、これまで動かなかった人たちに、どんな訴求であれば動いてもらえるかを考えて、新しい訴求を作り続ける必要があります。スマートニュースはストックビジネスに当てはまるサービスのため、クリエイティブの背景色を変えるなどの細かな調整には限界があると感じています。

コンテンツベースでの訴求にマッチした配信を活用

ーーLINE広告の配信設定や効果面についてはいかがでしょうか?


網谷:ターゲティングという点では、LINEデモグラフィックデータ配信をメインで使っており、年齢、性別などのセグメントを設定しています。類似配信も使っていて、訴求コンテンツの既存ユーザーと近い属性のユーザーに配信しています。


LINEデモグラフィックデータ配信をメインで使う理由は、コンテンツベースでの訴求に合致していると考えているからです。アイドルグループのコンテンツなら10代~20代、クーポンであれば30代~40代の女性など、配信コンテンツに合わせてターゲティングができるので助かっています。


また、最近では「都道府県チャンネル」の訴求が成功事例の一つとして挙げられます。このチャンネルは元々、政治経済ニュースへの興味は低くても、自分が住んでいる地域のニュースやイベント情報に興味がある人をターゲットとして2019年にリリースしました。リリース当初は思うようにユーザー数が伸びませんでしたが、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、「地域情報の需要が高まっている」と感じてあらためて訴求を行いました。結果、それまでの3分の1程度のCPIで運用することができています。

オンラインメディアでのブランディングはより重要になる

ーーマーケティング戦略において、今後チャレンジしたいことは何でしょうか。その中で、LINE広告やLINEのサービスをどのように活用していきたいとお考えですか?


網谷:これまで、認知はテレビCM、獲得はデジタル広告と大まかに区別して運用していましたが、今後はオンラインメディアでのブランディングがさらに重要になると予測しています。テレビCMだけでは届かない層に訴求するため、デジタル広告ではどのような施策があるのかを考えていきたいです。その際、LINEが持つリーチ力が生かせるのではないかと期待しています。


LINE広告のプロダクトについても、四半期ごとにアップデートされて新しい機能が加わっています。今後、どんなものが出てくるのかという点でも期待しています。


(公開:2020年6月)