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「LINEで予約」と「LINEミニアプリ」を利用して、予約率が他企業平均の4〜10倍!ウィズコロナにおける居酒屋のLINE活用

株式会社スパイスワークス

2022.03.31

株式会社スパイスワークス 飲食事業部 木村武蔵氏

飲食店の企画・運営、店舗開発などを手がける株式会社スパイスワークス(以下、スパイスワークス)は、2021年から直営店でLINE公式アカウントを開設しました。その数カ月後の2021年秋には、店内オーダー機能を持つ「ダイニー」のLINEミニアプリと、LINE上で簡単に来店予約ができる「LINEで予約」を導入しています。複数サービスの導入に至った経緯や得られた成果、効果的な運用方法などについて、スパイスワークス 飲食事業部 木村武蔵氏(以下、木村氏)に話を聞きました。

目的
  • 飲食店ユーザーと密にコミュニケーションをとり、ファンづくりやリピートを促進したい
施策
  • 2021年夏に直営約50店舗でLINE公式アカウントを開設して、各種メッセージを配信
  • 自社が運営する牡蠣ビストロ 貝殻荘 飯田橋サクラテラス店に「ダイニー」のLINEミニアプリを導入
  • 既存のシステムに加えて、LINE上で店舗の予約が完結する「LINEで予約」を追加導入
効果
  • 注文の約7割がLINEミニアプリで入るため、業務の効率化を実現。また、LINEミニアプリの導入後1カ月で1,000人以上の新規友だち追加があった
  • 「LINEで予約」を使った再来店を促すメッセージをLINE公式アカウントで配信したところ、他の「LINEで予約」導入企業と比べて4~10倍の予約率を記録
プロフィール

株式会社スパイスワークス 飲食事業部 木村武蔵氏

コミュニケーション活性化とリピーター獲得のためにLINE公式アカウントを開設

2006年創業のスパイスワークスは、飲食店の業態開発・運営、店舗設計から、「のれん街」などの横丁系飲食施設の企画・プロデュースまで、幅広く飲食事業を展開しています。

 

同社はこれまで、主にSNSやグルメサイトを活用して集客を行うなど、不特定多数に情報を発信して新規ユーザーの増加を狙う戦略を取ってきました。しかし、「近年はそうしたマスマーケティングに限界を感じるようになってきた」と、同社の木村氏は課題感をにじませます。

 

「はじめて飲食店を利用したお客さまのうち、再び来店するお客さまの割合は一般的に4割程度と言われます。2回目に来てくれたお客さまのうち8割が3回目以降も来店し、『常連』になるという統計データが飲食業界にはあります。

 

新規のお客さまを集めることはもちろん大切ですが、若年層の飲食店離れや人口減少が進むこれからの時代は、いかに既存客をつなぎとめ常連=ファンを増やすかが、飲食店経営のカギになると、コロナ禍以前から考えていました」

 

そこで同社が着目したのが、月間利用者数9,000万人(2021年12月末時点)を擁するLINEです。飲食店ユーザーと密にコミュニケーションをとり、リピート回数を増やすことを目的として、2021年夏に直営約50店舗でLINE公式アカウントを開設しました。以降、月1回程度の頻度で、新メニューのお知らせや割引クーポン配布などのメッセージ配信を行っています。

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「現在(※)は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、LINE公式アカウントの配信頻度は控えめにしています。ただ、メッセージの配信直後は来客数や予約数が確実に増加するので、コロナ禍が落ち着いたら週1~2回程度、継続的に配信しようと考えています。現在は配信するクリエイティブのデザインや、来店時の特典内容を変えるなどしながら、より効果的な運用方法を探っている段階です」

  • 本取材は2022年1月中旬に実施

LINEミニアプリで取得したデータをもとに、接客オペレーションを柔軟に変える

さらに、スパイスワークスはLINE公式アカウント開設から数カ月後の2021年10月に、店内オーダーシステム「ダイニー」のLINEミニアプリを、自社が運営する牡蠣ビストロ 貝殻荘 飯田橋サクラテラス店(以下、貝殻荘 飯田橋サクラテラス店)に導入しました。

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牡蠣を中心とした旬の魚介類を提供する居酒屋
「牡蠣ビストロ 貝殻荘 飯田橋サクラテラス店」(東京都千代田区)

ダイニーはテーブルなどに掲示されているQRコードを読み込むことで、ユーザーが持つスマホからメニューの注文が可能になるサービスです。

 

「注文の約7割がLINEミニアプリで入るため、スタッフが注文を取る工数を削減できます。また、一人ひとりの来店回数や注文履歴などの喫食データが蓄積されるため、お客さまによって接客のテンションやおすすめするメニューを変えられるようになったのも大きな効果だと感じています」

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また、ユーザーがLINEミニアプリを立ち上げる際、店舗のLINE公式アカウントをスムーズに友だち追加できる仕組みを整えました(※友だち追加はユーザーの任意選択)。貝殻荘 飯田橋サクラテラス店では、LINEミニアプリの導入後1カ月で1,000人以上の新規友だち追加があり、その後も順調に増え続けているそうです。

 

「印刷にしろ、手書きにしろ、メニュー表の改定は飲食店にとって大きな負担ですが、ダイニーによって解消されました。また、LINE公式アカウントでメッセージ配信すると即効性のある集客も可能なので、LINEミニアプリと併用することで、数量が限られる旬の食材も提供しやすくなりました」

 

LINEミニアプリの導入でオペレーションの業務効率が向上したため、店舗スタッフは空いたお皿をすぐ下げたり、追加の飲み物を勧めたりと、より細やかな気配りができるようになったと言います。しかし、「店舗運営にあたっては、効率性だけを求めているわけではない」と、木村氏は力説します。

 

「一部のお客さまからは『店員が注文を取りに来てくれないため、店内オーダーは冷たい感じがする』というご意見を、ごく稀にいただきます。また、常連のお客さまの中には、店舗スタッフと話すのが楽しみで通っている方も少なくありません。

 

その対策として、あえて手書きのメニューを残したりするほか、LINE起点でお客さまとのコミュニケーションを増やす取り組みを行っています」

 

具体的には、 インセンティブを受け取るための画像をLINE公式アカウントで配信し、それをきっかけに来店してスタッフに話しかけてくれるユーザーが増えました。デジタルサービスを導入しても人の“温もり”を意識的に残すのが、同店のLINE活用のポイントです。

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「LINEで予約」を用いて、リピーター獲得効果に期待

スパイスワークスでは、LINE上で店舗の予約が完結する「LINEで予約」も利用しています。同社ではこれまで別の予約システムを利用していましたが、さらなる利用者数アップを目指して「LINEで予約」の追加導入に踏み切ったといいます。

 

「以前は、配信メッセージにURLリンクを入れ、既存の予約システムの専用ページに遷移してから予約してもらう方法でした。しかし、遷移する際に一定数のユーザーが離脱していたのです。その点、『LINEで予約』は別のブラウザが立ち上がらず、LINE内で簡単かつスピーディーに予約ができるので、とてもスマートなUIだと感じています」

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先述した貝殻荘 飯田橋サクラテラス店では、「LINEで予約」を使った再来店を促すメッセージをLINE公式アカウントで配信したところ、他の「LINEで予約」導入企業と比べて4~10倍の予約率を記録しました。

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「現在、LINE経由の予約は全体の40~50%ほどです。まだサービスを導入してから間もなく、『LINEで予約』について認知していないお客さまも多い中、上々の数字です。今後、さらに利用を促進して、LINE経由の予約を70%まで伸ばしたいと思います。『LINEで予約』で簡単に予約できることが周知されれば、リピーター増加につながるのではないかと期待しています」

LINEを活用して新しい居酒屋体験の提供をめざす

「ダイニー」のLINEミニアプリと、LINEで予約の導入から約6カ月、木村氏は「想像よりもかなり運用が簡単だった」と振り返ります。

 

「飲食業界は、デジタルツールの運用に通じている人がまだまだ少ないという印象です。私自身も苦手意識があったのですが、実際にLINEの各種サービスを運用してみたところ、拍子抜けするほど簡単でした。誰でもすぐ使いこなせるようになると思います」

 

今後は、LINE公式アカウントの友だち数のさらなる増加を目指すとともに、ダイニーのLINEミニアプリで取得したデータを活用した(※)セグメント配信にも力を入れていくそうです。

  • LINEアカウントと紐づいたユーザー行動データの取得には利用者の許諾が必須となります

「ダイニーのLINEミニアプリによって、ユーザーの注文メニューや支払い金額が詳細にわかるようになりました。そうしたデータを、メニュー開発や仕入れの参考にするだけではなく、今後、お客さま一人ひとりに向けた最適なメッセージ配信へとつなげていきたいです。

 

飲食店における“おもてなし”は、以前はスタッフの経験や感覚に頼っていた部分も大きかった。しかし、LINEの各種サービスを導入したことで、精緻なデータを店舗運営に生かせる地盤が整いつつあると感じています」

 

ウィズコロナ時代を見据え、「苦境の中でも、多くのお客さまに喜んでもらえる魅力的なお店づくりをしていきたい」と木村氏は総括します。

 

「ダイニーという非接触型の店内オーダーシステムも、スパイスワークスの魅力の一つとして定着させていきたいですね。同時に、『LINEで予約』を活用して店舗に足を運んでくれるお客さまを増やし、一度来店されたお客さまを逃がさないようにコミュニケーションを深める。今後、LINE公式アカウント上で、ゲーム性のある企画やより自然な会話ができるチャットボットを提供するなどして、お客さまに楽しんでいただきながら集客力アップを目指したいと思います」

 

 

(公開:2022年3月/取材・文:相澤良晃)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです

※実績はスバイスワークス調べ