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自社ポイント付与でID連携数2.6倍!ZOZOTOWNの『CFM戦略』を推進するLINE活用

株式会社ZOZO

株式会社ZOZO マーケティング本部 プロモーション部 浄慶 奈々氏

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZO(以下、ZOZO)では、ユーザーと友だちのような関係性を築く「CFM(Customer Friendship Management)戦略」を推進し、LINE公式アカウントを通じてユーザーとOne to Oneでつながり続ける関係構築を目指してきました。同社のマーケティング本部 プロモーション部の浄慶奈々氏(以下、浄慶氏)に、LINEを活用したCFM戦略について話を伺いました。

目的
  • CFM(Customer Friendship Management)戦略に基づき、ユーザーとOne to Oneのつながりを構築したい
  • ユーザー一人ひとりに最適化されたメッセージ配信で、ZOZOTOWNへの訪問・購入を促し、LTV(1人あたりの年間購入金額)を向上したい
施策
  • ZOZOTOWNのUX設計を改善し、2019年10月末から自社ポイントを付与して会員情報とLINEアカウントのID連携を促進する施策を実施
  • 「ユーザー行動」と「商品情報の更新」データを軸に、LINE公式アカウントからパーソナライズされたメッセージを配信
効果
  • ID連携者数が2019年10月末から2.6倍(2020年7月時点)に増加
  • ID連携していないユーザーに比べ、ID連携をしたユーザーのLTV(1人あたりの年間購入金額)が高い傾向に

ユーザーと継続的に「友だち」関係を築ける基盤を

日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」は、1,300店以上のショップ、7,900以上のブランドの取り扱いがあり、常時83万点以上の商品アイテム、毎日平均3,000点以上の新着商品を掲載(2020年6月末時点)。老若男女問わず、多くのユーザーに利用されています。

 

ZOZOTOWNの運営にあたり、ZOZOでは従来型のCRM(顧客関係管理)戦略に代わる「CFM(Customer Friendship Management)戦略」を推進していると同社のマーケティング本部 プロモーション部の浄慶氏は説明します。

 

「従来のECビジネスにおける『CRM』は、顧客の属性や購入履歴などの数値を分析してプロモーションを行い、優良顧客を判断して囲い込もうとする傾向がありました。一方、当社ではユーザーと友だちのように近しい関係性を築くことを目指した『CFM戦略』を推進しています。この戦略の背景には、ユーザーの行動や変化を見逃さず、その変化の裏側にある気持ちを想像して、一人ひとりに合ったZOZOTOWNならではの気配り、思いやりを創造することを目指すという私たちのミッションがあります」

 

ZOZOでは、商品の訴求やセールイベントなどの情報を配信するSNSとは別に、ユーザーとのコミュニケーションツールとして、これまでもメールやアプリのプッシュ通知を活用してきました。昨今は、よりユーザーに近しいチャネルで関係を構築するため、LINE公式アカウントの活用にも注力しています。

株式会社ZOZO マーケティング本部 プロモーション部 浄慶奈々氏

株式会社ZOZO マーケティング本部 プロモーション部 浄慶奈々氏

「LINE公式アカウントの活用には『自分のことを理解してくれている、本当の友だちのような存在としてつながり、One to One コミュニケーションを実現したい』という長期的なビジョンがあります。双方向のコミュニケーションを通じてユーザーの課題を解決するのは、LINEのような生活に浸透しているプラットフォームでしか実現できません。現在は、そのビジョンに向けてパーソナライズされたメッセージを配信できる環境を整え、配信効果の精度向上を目指しています」

ユーザーとの関係構築に欠かせないID連携施策

ZOZOではLINE公式アカウントの運用において、ユーザーとのフレンドリーな関係構築を目的に、特に注力している施策が三点あります。

 

一点目は、社内で保有する会員情報(ZOZO ID)とユーザーのLINEアカウントを紐づけるID連携の促進。二点目は「ユーザー行動」と「商品情報の更新」データを活用するパーソナライズされたメッセージの配信。三点目が、ブロック抑制のための施策です。

 

「ID連携をしてくれたユーザーにはパーソナライズされたメッセージの配信が可能となるため、一人ひとりに合わせた訴求が可能となります。そのため、ID連携をしていないユーザーに比べてZOZOTOWNへの訪問率・購入率を向上させることができるという結果が過去の実績から明らかになっています。ここに勝機を見出して、2019年10月末よりインセンティブとしてZOZOTOWNで利用できるZOZOポイントを付与するID連携施策に注力しています。ID連携者を増やすとともに、ユーザー一人ひとりにあわせた配信の最適化を進めることで、訪問率・購入率のさらなる向上を目指しています」

 

一点目のID連携促進施策の鍵となるのは、ユーザーがID連携をしたくなるようなユーザー視点のシンプルな導線設計です。

 

ZOZOでは、ZOZOTOWN内の商品ページと購入完了ページ、そしてメルマガにID連携キャンペーンのバナーを設置しました。さらに、LINE公式アカウントのプロフィール画面にもID連携をしていないユーザーに向けてキャンペーンバナーを掲載しています。ID連携が完了すると、ZOZOポイントが即時付与される仕組みです。

ID連携の導線の仕組み

最も流入が多いのは、購入前の商品ページに設計したバナーからだと浄慶氏は説明します。購入完了ページだけにバナーを掲載していた時期もありましたが、商品ページに掲載することで、購入を悩むユーザーの目に留まり、ID連携数の増加に貢献しました。

ID連携を訴求する実際のキャンペーンバナー

また、大型セールのティザーページでID連携のバナーを掲載して訴求を行ったり、ID連携をしていないユーザーのみを対象としたメッセージ配信で訴求をしたりといった施策も行っています。

 

「現在はポイント付与をインセンティブにしていますが、今後はLINE公式アカウント自体の利便性を訴求し、ユーザーに自発的に連携してもらえるような取り組みを検討していきたいです」

ZOZOTOWNでの行動データを活用し、緻密に配信シナリオを設計

ユーザーがID連携をすることによって、LINE公式アカウントで「ユーザーの行動データ」と「商品情報の更新」を活用した「パーソナライズされたメッセージの配信」が可能になります。

 

「配信の軸は、『ユーザー行動』×『商品情報の更新』を中心としています。『ユーザー行動』は、商品のお気に入り登録やカートに商品を追加した情報です。『商品情報の更新』は、その商品の価格の変動や再入荷など、商品情報に変動があったタイミングを指します。これらの掛け合わせによるパターンを用いて、それぞれのユーザーに適した訴求を行っています」

 

たとえば、「カートに商品を入れたままページを離脱した」というユーザー行動に対して、商品情報の更新タイミングをきっかけに「カートに入れた商品が、残り1点になりました」といったメッセージが届くという仕組みです。

LINE公式アカウントから配信されるパーソナライズされたメッセージの一例

同社ではこうしたユーザー行動を踏まえたメッセージ設計を行い、個人に最適な内容を最適なタイミングで配信することで、サイト訪問やCVの向上につなげています。

 

「現在は、ZOZOTOWNのセール情報など、従来マス向けに発信していた内容についても過去に反応したユーザー/していないユーザーなどのいくつかの軸でセグメントし、最適な配信を模索しています」

 

しかし、ユーザーに有益でないメッセージだと感じられてしまうと、ブロックの可能性も上がります。そこで施策の三点目として、ブロックを抑制するため、さまざまなテストを通じてパーソナライズの精度を上げるとともに、ユーザーの利便性の向上にも取り組んでいると浄慶氏は話します。

ID連携数は2.6倍!今後は「個別の問題解決」を目指して

ID連携施策の結果、ID連携数は2019年10月末から2.6倍(2020年7月時点)まで飛躍的に向上しました。LTV(1人あたりの年間購入金額)がどの程度上昇したかの指標も重視していますが、過去の分析からはID連携しているユーザーの方が、ID連携をしていないユーザーと比べて高くなる傾向が出ているそうです。

 

「LINEは今、生活者にとって最も身近なコミュニケーションツールです。ZOZOTOWNでは、再入荷や在庫数など『商品情報の更新』がメッセージ配信において重要なタイミングで、送ったメッセージがリアルタイムで開封されているかも注視しています。届けたいタイミングに、ユーザーに届く。LINEによるコミュニケーション基盤の上で、ユーザーと個別に、継続的につながり続けることに価値を感じています」

今後は、より個別に、よりフレンドリーに、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを実現していくため、チャットbotの導入や画像検索機能の導入などを検討しています。

 

「目指すは、一人ひとりの課題を拾って、そのまま解決につなげられる双方向コミュニケーションの構築です。ユーザーが友だちに買い物の相談をするように、ZOZOTOWNのLINE公式アカウントを利用してもらうことを目指していきたいです」

 

(公開:2020年9月/取材・文:塚田智恵美)