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インタビュー 2018.11.07

2週間で友だち数7,000人!福岡市×LINE「粗大ごみ収集受付サービス」の舞台裏

LINEの「Messaging API」とは、企業とユーザーの双方向コミュニケーションを可能にする機能です。Messaging API を使ってさまざまなウェブサービスとLINEを連携させ、LINEのトーク上で「チャットボット」を作成することができます。LINEは、2017年の「LINE BOT AWARDS」や、2018年の「LINE BOOT AWARDS 2018」といった、外部の企業や開発者によるチャットボットのアイデアを競うコンテストを開催するなど、チャットボットの活用を推進しています。

2018年9月には、福岡市がLINEなどと共同で取り組む「AIチャットボットを活用した粗大ごみ収集受付サービス(以下、粗大ごみ受付Bot)」の実証実験がスタートしました。日本初となるサービスが生まれた背景や取り組みについて紹介します。

「実現したときの価値」が市民にとって高いサービスからスタート

福岡市とLINEは、2016年に「情報発信強化に関する連携協定」を締結して以来、福岡市のLINE公式アカウントを開設して市の情報発信の充実を図ったり、市内における消費購買活動の活性化に取り組んだりなど、さまざまなプロジェクトに取り組んできました。そんな中、行政サービスの効率化と市民サービスの向上を目指して2018年9月にスタートしたのが、市民の皆さまがLINEで粗大ごみ収集を申し込めるサービス「粗大ごみ受付Bot」の実証実験でした。福岡市 企画調整部 Society 5.0担当の稲永麻子氏(以下、稲永氏)は、以下のように語っています。

稲永麻子氏

福岡市 企画調整部 Society 5.0担当 企画係長 稲永麻子氏

「福岡市では、AIを活用した新たな製品やサービスの創出を目指す『Fukuoka AI Community(福岡AIコミュニティ)』を運営しています。会員の皆さまに市の行政サービスをより使いやすくするアイデアを募集したところ、株式会社オルターブース、さくらインターネット株式会社、そしてLINEの3社によるチームから、LINEを活用して行政サービスを便利にするための提案をいただきました」(稲永氏)

提案の中には、住民票の申請や災害時の安否確認システムもありましたが、第1弾として粗大ごみ収集受付サービスに着手した理由は、市民に対して提供できる価値の大きさでした。

「行政サービスの受付をLINEで行うという提案は、ウェブサイトと比較してもわかりやすさと手軽さに非常に魅力を感じました。中でも、市のウェブサイトでアクセス数が多く、市民にとって日常的なサービスである粗大ごみ収集受付をLINEに置き換えることができれば市民の皆さんにとって価値が高いだろうと考え、まずは粗大ごみ収集受付サービスから着手することにしました」

LINE公式アカウント「福岡市粗大ごみ受付」

LINE公式アカウント「福岡市粗大ごみ受付」を友だち追加することで、スマートフォンからチャットによる会話で簡単に粗大ごみ収集の申し込みを行うことができます。

また、LINE株式会社 Developer Relationsチームの中嶋一樹(以下、中嶋)は、行政と民間の連携によるプロジェクトの意義について下記のように話します。

「福岡市の高島宗一郎市長も仰っていますが、福岡市とLINEのこの一連の取り組みは、両者にとってメリットのあるフレームワークです。福岡市としてはコストをかけずに新たな取り組みが実施でき、LINEとしてはLINEを使って世の中を便利にするための新しいアイデアを実証することができる。福岡市とLINEは、IT化によって人の生活を豊かにしていくという理念で共鳴しているパートナーであり、発注者・受注者という関係性ではなく、ワンチームとしてプロジェクトを進めているという一体感があります」(中嶋)

中嶋一樹

LINE株式会社 Developer Relationsチーム 中嶋一樹

約3カ月で実証実験開始!「ワンチーム」ならではのスピード感

また、今回のプロジェクトは、驚くほどのスピード感で進行することができました。

「最初に粗大ごみ受付Botのアイデアをご提案いただいたのは3月でしたが、本格的に動き出したのは6月です。実現に向けて検討を開始すると、都度LINEが技術的な解決策を提示してくれたことで、約3カ月という準備期間で9月から実証実験を開始できることになりました」(稲永氏)

そして9月に実証実験を開始してから、ほどなくして大きな反響があったといいます。

「実証実験が開始したことについては記者説明会を実施し、その後、市のFacebookやTwitterで告知を行いました。メディアも積極的に取り上げてくれたおかげで、サービス開始直後からどんどん友だちの数が増えていきました。あくまで実証実験ということで、利用者の数を増やそうという目的はなかったのですが、想定を大きく上回る反響がありました」(稲永氏)

実証実験を開始してから2週間後に行った取材日当日、友だち数は7,000人を突破。予想外の事態にも関わらず、システム面でのトラブルなども発生せず、市民の皆さまからも好意的な反応が多かったといいます。

「サービス利用者に実施しているアンケートの回答を見ても、90%を超える方が満足と回答してくれており、自由回答の記述もポジティブな回答が大半を占めています」(中嶋)

小椋潤氏

福岡市 企画調整部 Society 5.0担当 小椋潤氏

粗大ごみ受付Botからの申し込み数は、既にウェブサイトからの申し込み数を超え、全体の2割を占めている状況です。(9月取材当時時点)福岡市 企画調整部 Society 5.0担当 小椋潤氏は、「開始したばかりではありますが、早くも便利なサービスとして市民の皆さんに受け入れられていると感じています」と語ります。

しかし、既にウェブサイトからの受付数を超えてはいるものの、まだまだ電話からの受付数が圧倒的です。今後の展開について中嶋は「より使いやすいUXにするための改善を加えたりすることで、『粗大ごみを出すときはLINEで』と思ってもらえる状態を目指していきたいです」と話します。

市民に価値を感じてもらえることを第一に、今後もチャレンジを続ける

今回の粗大ごみ受付Botを皮切りに、これからもLINEとの連携でさまざまな行政サービスをより使いやすく、便利にするための取り組みは続いていきます。

「プッシュ通知ができるというLINEの最大の強みを生かして情報を届けられるサービスをつくっていきたいと思っています。例えば、子育て世代向けに、自分の条件に合う保育園の空き状況をLINEのプッシュメッセージで通知することができれば、自ら情報を探しに行く手間がなくなります。既に行政が持っているサービスを、LINEを使ってより便利な形で提供することで、さまざまな角度から市民の皆さんの生活が豊かになるようなアイデアを実現していきたいです」(中嶋)

福岡市としても、粗大ごみ収集の受付サービスや並行して進んでいるキャッシュレスのプロジェクト以外にも、LINEから受けているさまざまな提案を受け、稲永氏は「チャレンジする姿勢を大切にしている福岡市として、市民の皆さんに価値を感じてもらえそうな取り組みに挑戦していきたいと思っています」と語ってくれました。