広告審査 2020.10.26

【LINE広告】昨今の健康・美容商材のNG表現の傾向と行政の動向(1)

昨今、行政や消費者団体、事業者が多く加盟している業界団体等が、広告の健全化やその維持に、以前にも増して力をいれてきており、インターネット広告に向けられる目も年々厳しくなってきているようです。 こちらのコラムでは、世の中が広告の健全化に対して、どのような動きをとっているのか。またその背景などを含めて、少しずつご紹介していきたいと思います。

「広告=多少の大げさな表現は許容」という考えに潜む危険性

テレワーク導入や三密を避けるライフスタイル等、思いもかけぬ事態により私たちの生活は大きく変わりました。その影響で、今までネット通販をそれ程利用しなかった人も、オンラインで買う事にそれほど苦手意識を持たなくなってきたのではないでしょうか。人によっては、今までは全く興味なかったけど、これを機に体調が悪くならないよう予め健康食品を飲んでみようと新たに探し始める人もいるかもしれません。

 

「広告=多少の大げさな表現は許容」という考えに潜む危険性

 

消費者が自力で商品を探すとき、頼りにするのはその広告に記載されている内容かと思います。広告の世界ではある程度の誇張表現があっても、「消費者も「広告」が多少大げさなのは織り込み済みで見ている」という前提で許容とされるものが大部分のようです。しかし、使い方次第で身体的被害が生じる商材については、このような誇張を許容とする考えは通用しないとされています。これは、「明示・暗示を問わず」なので、具体的に述べていなくとも、周囲の表現や画像で消費者がどう解釈するか、という観点で判断されることが一般的なためです。

 

 

なぜ、身体に関する効果についてはこんなにルールが厳しいのか、他の領域に比べ行政側も厳しい姿勢で臨むのか、疑問を持っている人も多いかと思います。

 

なぜ、身体に関する効果についてはこんなにルールが厳しいのか

 

大部分の商品は、「消費者(=買う側)にとって良い商品」であることを第一に販売していると思いますが、中には消費者ではなく「自分たち(=製品を製造・販売している側)にとって都合の良い商品」である事を優先したものも存在します。仮にそのような商品を買ってしまっても、消費者が被るのは、「金銭的な被害」のみの場合が殆どかと思われます。

 

 

一方、健康・美容系の商材のように、使い方次第で身体的被害が生じる商材の場合は、消費者に誤解を与えてしまった場合、経済的被害だけではなく、健康被害も引き起こす領域となり得ます。そのため、行政側も、審査側も、その辺をとてもシビアに捉えることが多いと思います。特に、過剰摂取や飲み合わせによって健康被害が生じやすい食品の領域においては、行政側も「健康被害を及ぼす領域について誇張表現は認められない」という従来からの考え方を、事業者側にも行政の方針として明確に示すようになっており、SNS等で消費者へ健康食品等の誇大広告に関する注意喚起を行っているのも見かけます。

 

 

昨今の表示・広告に関する行政の姿勢

昔から、薬機法で問題のある表現には時事的なものが大きく反映される傾向がありますが、特に「機能性表示食品」制度が2015年に開始されて以降、「保健機能」でどこまで言えるかという境目が以前より明確になった事もあってか、「いわゆる健康食品」の広告を取り巻く状況は大きく変化したように思えます。

 

昨今の表示・広告に関する行政の姿勢

 

行政側は「機能性を謳う製品を販売する場合は機能性表示食品としての届出を出すように」という方針を事業者向けのセミナー等でもたびたび示しています。実際、多くのケースで黙認されがちだった医薬品的効果を匂わせるあいまいな表現や、トクホや機能性表示食品で謳っている保健機能と同等の表現や暗示についても、「いわゆる健康食品」ではNGと判断される事例や、そのような内容を含む措置命令が増えてきました。

 

 

一方、機能性表示食品では、消費者庁が今年3月に「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」(これ以降「事後チェック指針」と記載)を公表することで、不適切な根拠データの傾向やどのような表現が広告では謳えないのかといった方針を明確にしています。

 

 

大きな変化は、この事後チェック指針だけではありません。トクホや機能性表示食品に関しては、国が認めた業界団体により、それぞれの「公正競争規約」が策定される事となり、今年度中の運用開始を視野に入れ動き出しました。これらは「健康食品」領域で初めての公正競争規約です。これにより、機能性表示食品の事前相談や届出前の確認業務は、国が認めた業界団体が消費者庁に代わって行う事が可能になります。

 

 

これは、「トクホや機能性表示食品に関してそれぞれに権限のある業界団体が出来た」と同時に、「消費者庁等の行政側が、機能性表示食品に関する事業者の相談業務や届出の基本的な不備による差し戻し等から解放され、監視や指導などの調査に力をいれることが出来るようになった」事も意味します。

 

「いわゆる健康食品」の広告を取り巻く状況は大きく変化

 

近年まで、行政やそのような業界団体側も、チェックや事例保存が困難なインターネットへの監視や確認をそれほど積極的に行ってこなかったところもあったようです。しかし、インターネット広告由来の消費者被害や相談が増加している事もあり、インターネット広告も業界団体等を中心に、「消費者にも事業者にも健全なネット広告」という観点で様々な対策やルール作りなどを活発に行うようになってきました。ご存じのように、消費者庁や各都道府県だけでなく、市町村も措置命令を出す権限を持っており、都道府県や市町村による措置命令も徐々に増加しています。また、適格消費者団体(消費者契約法に基づき国から差止請求を認められている消費者団体)も、消費者に不利益(経済的被害・健康被害)をもたらす可能性のある広告等に対し目を光らせている状態です。

 

 

広告は変わり続けるものであり、ルールもそれに伴って変化していく事は皆さんもご存じの通りです。消費者庁が2009年に設立されてから、法律だけでなく、表示や広告を取り巻くルールの変化が特に顕著になってきたようにも思えます。引き続き、このようなルールの変化や業界の動きから取り残される事がないよう、このコラムで継続的にお伝えをし、皆さんと一緒に注意していければと思います。