セミナーレポート 2018.03.27

サイバーエージェントが考える、LINEを活用したフルファネルマーケティング

LINE Biz-Solutions Day 2018 Spring

LINEをフル活用したマーケティングとは CAが考えるフルファネルマーケティング

2月7日に開催した『LINE Biz-Solutions Day 2018 Spring』のセッション内容をご紹介します。

登壇者:
株式会社サイバーエージェント
 インターネット広告事業本部LAP局 局長 菊原 祐樹氏
 インターネット広告事業本部 アフィリエイト局 局長 手塚太一氏
 販促革命センター マネージャー 井原應成氏

株式会社AIメッセンジャー
 代表取締役社長 石川大輔氏

LINEのプロダクトは、認知から獲得、そしてその先のCRMまで、幅広いファネルで活用出来ます。サイバーエージェント様には、それぞれのプロダクトの各領域においてLINEと強いパートナーシップを結び、取り組んでいただいております。

LINE Ads Platform領域における菊原様、LINEポイントやLINEポイント ADの領域における手塚様、LINE公式アカウントやLINEビジネスコネクト、LINEスタンプの領域における井原様、LINE カスタマーコネクトというCRMやChat Bot領域における石川様の4名様にお話いただきました。

菊原氏:
「LINEをフル活用したマーケティング」ということで、一般的なマーケティングファネルに現在LINE社が提供しているサービスをマッピングするとこのような形になっているのではないかと思っています。こうしたソリューションをどのように活用すれば、LINEというマーケティングプラットフォームの力を最大限に引き出せるか」をテーマに、サイバーエージェントの取り組みをお話します。

CAが考えるLINEをフル活用したマーケティングとは?

ダイレクトレスポンス、ブランディング双方に使える「LINE Ads Platform」(菊原氏)

ダイレクトレスポンスとブランディングの双方に活用

「LINE Ads Platform」は、ダイレクトレスポンスを目的とした幅広い業種の企業様にご活用いただいているのではないかと思っております。通販、アプリ、金融、人材、美容系等様々な業界、業種にて活用できるプロダクトであると考えております。

また、昨年からブランディングを目的としたリーチ&フリークエンシーやFirst Viewといったプロダクトがリリースされており、ダイレクトレスポンス、ブランディング双方を目的とした活用が出来るプラットフォームとして進化してきていると思っております。

今後は公式アカウントとの連動で、より活用の幅が広がると考えています。公式アカウントの友だち獲得を目的としたCPF配信によって、LINEというプラットフォームのポテンシャルを更に引き出せると思っております。

このCPFモデルは公式アカウントやLINE@、ビジネスコネクトアカウント等のアカウントに対して「CPF(=Cost Per Friends)」つまり友だち追加単価で入札をし、「LINE Ads Platform」を通して配信していくものです。CPF配信がスタンプやポイントを活用した友だち獲得と異なる点は、ノンインセンティブのアプローチとなるので、友だちとなった後のユーザーのアクティブ度がより高くなることが期待される点です。

また、今後はダイナミッククリエイティブでの配信というところも、ユーザーのレスポンスをより高めるような取り組みとして出てくるのではないかと思っています。こちらに関しても今から準備をしつつ新しい価値を提供できるように進めていこうと考えております。

「LINEポイント アフィリエイト」でLINE独自のアフィリエイト活用(手塚氏)

LINEポイント アフィリエイトが選ばれる理由

企業にとって魅力的なことは、LINEポイント アフィリエイトを実施できるようになったことで、従来のいわゆるポイント媒体を知らなかった層に広くリーチすることができるようになったことです。配信数・獲得数共に大きく見込めることが一番大きな魅力です。

また、若年層リーチが広く取れるということで、F1 層、M1層を狙っていきたい企業に多く活用いただいています。新規率が高いところも、好評をいただいていると感じています。

アドフラウドに対する取り組み

ポイント媒体を実施するときに、いたずらのユーザーや不正ユーザーの問題はどうしても出てきてしまいます。それに対してLINE独自の取り組みは実施されていますが、弊社のグループ会社CAリワードが提供している“BOSATSU”という不正対策ツールとデータ連携を積極的に行うことで、今後新しく出てくる不正の対策やブラックリスト化しているユーザーに対しては広告を出さない等、よりクリーンな広告配信が出来るような対策を強化しています。

コンバージョンのアシストへ

過去の事例として、LINEポイントVIDEO視聴完了後にLINEポイント アフィリエイトへの導線設計を作りました。その結果、LINEポイント アフィリエイト単体実施よりも、動画と連携することで全体CV件数が拡大し、認知施策からの刈り取りに成功しました。

今後の取り組みたいこととしては、公式アカウントでファンを増やしていき、サービス理解や売上を上げていった後の刈取りのアシストのチャネルを作ることです。単にポイントで商材からコンバージョンさせるような方法以外の、新しいアフィリエイト活用方法や、LINE独自のアフィリエイト活用方法へ積極的に取り組みます。

ただ単にポイント目当てにコンバージョンしようというアプローチだけでなく、しっかりとユーザーに各企業の商材の理解を深めていただき、ファンになっていただいてから最後のコンバージョンまでのアシストとなる。それによって、「ポイント媒体ではあるけれどもLTVが高い」「今までリーチ出来なかった新規ユーザーを獲得する」ということを目指します。

「CA-Link」で実現できること(井原氏)

“販促革命センター”

我々はLINEの中で認知からCRMまで横断して出来る公式アカウントを軸に、様々な取り組みをしています。 “販促革命センター”という部署を設立しています。

元々ダイレクト領域でオンラインショップをお持ちのクライアント企業が多い中で、メーカーや小売り・流通の企業からも「LINEを活用してユーザーとコミュニケーションを取っていきたい」というニーズが非常に多くあったため、そこに革命を起こしていこうということで、革命センターという名前を付けています。

現在我々は国内でNo.1のLINE公式アカウント数を持っていて、1月時点で60社ほどあります。ナレッジも溜まっており、独自でモニタリングツールの開発をして、その分析結果からより効果を出しています。

ビジネスコネクトでは「CA-Link」というツールを持っています。企業のビジネスモデルに合わせて開発していき、様々な機能を作っています。

Dynamicリターゲティングメッセージ

LINE公式アカウントから送られるプッシュメッセージからオンラインショップに飛んだ際、商品を購入する過程で、カートに商品を入れたまま離脱してしまうユーザーがいます。「Dynamicリターゲティングメッセージ」は、カート落ちしたユーザーだけにプッシュでメッセージを送るというものです。これはID連携せずに送信出来るので、非常に大きい数が出ます。実際の効果は、CTR約50%、CVR約5.0%です。買い物かごに商品が残っていることを訴求することで、CTRもCVRも非常に高い結果が出ています。

Dynamicリターゲティングメッセージ/配信実績

メッセージサーチ

「メッセージサーチ」は、公式アカウントの中で検索をできるというものです。今までは商品や旅行などを探す際に様々なサイトに遷移をして検索をかけていたことが、全てLINE内で完結出来ます。

裏側は全部自動で、ボタンを押せばすぐに返ってきます。検索過程のデータをすべて保有しており、さらにLINEのUIDに紐づいています。例えば、検索データから渋谷に住んでいる方であるということが分かっているので、次は渋谷でお薦めのアルバイトとして訴求が出来ます。これも非常に効果が高く、カルーセルのCTR200%。ここまで来た方は、2つは押しているということになります。そしてCVRも150%と非常に高いです。

メッセージサーチ/配信実績

メッセージサーベイ

「メッセージサーベイ」は、アンケートに答えて下さいというところからスタートします。通常アンケートを取る場合Webページに遷移してポチポチ押して行かなければなりませんが、これをすべてLINEの中で回答できます。例えば、アルコールを訴求したい場合に、アンケートで取得した帰宅時間に合わせてビールのイメージとともに“今日も一日お疲れ様です”と送ると、より商品を想起させることができます。これはメーカー様などで出来る機能だと思います。

ここまではすべてID連携なしで出来る機能です。もちろんID連携をして出来るものもありますが、ID連携でデータ数を集めるのが難しいという企業が多く、ID連携をより伸ばす仕組みも作りました。

通常、ID連携をするときにIDとパスワードを入力する必要があるところを、IDとパスワードを入力せずに2タップでID連携できるという機能です。これはWeb上のログイン状態のページからLINEに遷移してID連携するというものです。それによって200%UPというところもかなり増えています。

ID連携/KWフィルイン機能

例えば誕生日メッセージサービス、会員限定ポイント2倍セール、あるいはお薦めの商品を出すなど、様々なコミュニケーションを実施しており、CVRが高く、ユーザーの反応が非常に良いということが分かっています。

また、有効友だちに対する一斉配信があります。ID連携をした場合、効果は非常に高いが数を取るのは難しいということで、どちらにもメリットとデメリットがあります。そこでLINEのIDFA配信や携帯番号と連携したカスタマーマッチを行った上で、ID連携を促していきます。

現在は紙のDM送付や電話番号でコミュニケーションを取るよりも、こうした形のコミュニケーションでコストを抑えて高確率でより現実的なコミュニケーション、CRM施策を行うことが多くなっています。

ID連携/よりマッピング領域を増やすために

「AI Messenger(エーアイメッセンジャー)」とカスタマーサポート(石川氏)

カスタマーサポートの未来を創る

我々はチャットを使って「カスタマーサポートの未来を創る」ということをビジョンにしています。すでにLINEがカスタマーコネクトというものを出して、Auto Reply、Manual Reply、LINE to Call、Call to LINEという機能でカスタマーサポートをしていきます。「AI Messenger」はAuto Replyの人工知能を活用した自動応答の部分と、Manual Replyの有人対応チャットのインターフェイスと管理画面をご提供しています。すでにCall to LINE、LINE to Callのアバイア(Avaya)さんとジェネシス(Genesys)さんとも「AI Messenger」のツール連携は完了しており、唯一国内ですべてをご提供できます。

問合せデータをマーケティングに活用する

「AI Messenger」の特徴は、独自でAIエンジンの開発からコンサルティング、マルチチャネルに対応したチャットボット、沖縄に24時間365日体制のチャットセンターを置き、全てをご提供出来ることです。「カスタマーサポートの未来を創る」上でひとつポイントになると思い、チャットセンターも自社で作りました。

カスタマーサポートはユーザーからの問合せ等、色々なデータが溜まっていきます。そのデータからビジネスコネクトのようなツールを活用して、マーケティングのプッシュメッセージに置き換えていくことが出来る。そのサイクルを大きく回していくことでコンバージョンを引き上げる取り組みが出来ます。

単純にカスタマーサポートという「受け」だけで終わるようなものではなく、それをいかにマーケティングに活用していくかということを考えているのですが、それが出来るのがLINEのプラットフォームだと思っています。

各領域間の連携が重要(菊原氏)

各領域での弊社の取り組みについてお話させていただきました。入口から出口のところまでを一気通貫でアプローチ出来るのは、多くのユーザーがいてこれだけ多岐に渡るマーケティングソリューションを保有しているLINEならではのことではないかなと思っております。

その中でそれらのポテンシャルを最大限に引き出し、適切に有効活用し続けられるよう、わたくしどもとしては常にベストなサービスを提供できているかどうかというところに日々向き合いながら取り組んでいます。

多様なマーケティング課題がある中で、課題に応じた、より有機的なそれぞれのソリューションの連携をこれからも追及しながらご提供していけたらと思っております。

  • 当日配信したLINE LIVEの一部セッションのアーカイブを公開しております。