LINEを徹底活用!東京電力におけるLINEビジネス最前線
2018年5月14日~16日にかけて開催した、アドバダイジングウィーク・アジアでの『LINE Meet-up Lounge』。5月14日のトークセッション『東京電力エナジーパートナー×LINEが実現する新たな顧客体験』について、レポートをお届けします。

登壇者:
東京電力エナジーパートナー株式会社 事業開発グループ 中川一政氏(写真右)
LINE株式会社 コーポレートビジネスグループ ストラテジックアカウントチーム 長谷川晋吾(写真左)
2018年3月1日よりLINE公式アカウントを開設している東京電力エナジーパートナー(以下、東京電力)。友だち数は順調に伸びており、現在2万7000人を超えています(6月11日時点)。中川氏は、LINE公式アカウントの導入に際して「社内理解を得るためのハードルが高かった」と明かしました。それでも導入した狙いとは…?活用方法や今後の展望について、長谷川が中川氏にインタビューをする形でトークセッションが展開しました。
電気料金の確認や各種手続きは“ボタンひとつ”で完結

セッション冒頭、長谷川から東京電力が導入しているLINEの機能についてお話させていただきました。現在、下記の2つの機能を導入しています。
LINE公式アカウント
LINE通知メッセージ
まずLINE公式アカウントですが、ユーザーが東京電力を友だちに追加することで、LINE上から電気の使用量や電気料金を確認できるほか、ガスの申し込みなどを行うことが可能です。東京電力のLINE公式アカウントには、様々な手続きの導線が集約しています。

中川氏は、LINE公式アカウントを導入してから現在までの状況について「まだまだ機能は少ないですが、日に200~300人くらいずつ友だちの数が増えています。お客さまからの期待がここに現れているのかなと思っています。また、ブロック数も平均に比べて非常に低いと聞いています。これは公共性の高い性格から、お客さまの信頼があるからではないかと考えています」と語りました。
新規友だち獲得にも繋がった “LINE通知メッセージ”
LINE通知メッセージは、2018年3月1日にリリースされた法人向けLINEアカウントの新機能です。LINEに登録されているユーザーの電話番号情報と企業に登録されている電話番号情報をマッチングさせることで、事前に友だち登録を行なっていないユーザーにもメッセージの送受信が可能になります。公共性の高い企業が発信する重要性や必要性の高いメッセージを、企業からユーザーへ通知する取り組みです。広告配信は禁止しており、例えば飛行機の遅延/欠航情報や宅配便の配送通知/受け取り確認といった公共性・重要性の高い内容に限られています。
東京電力は、このLINE通知メッセージ機能を電気料金のお知らせに活用しています。
「関東圏だけでも膨大な数の電話番号をお客さまからお預かりしています。その利用については社内理解を得るためのハードルも正直かなり高かったです。ですが、結局やってみるとお客さまからのネガティブなお問い合わせはほとんどありませんでした。むしろLINE通知メッセージを送った2割ほどのお客さまが友だち追加をしてくださっています。この結果には私たちも驚いています」と中川氏。

日本初“LINE Pay 請求書支払い”を導入
また東京電力は、LINE Payを通じて請求書支払いができるようになった初めての事例でもあります。まだまだ利用しているユーザーは少ないものの、決済方法を増やした理由について、中川氏はこれまでの歴史を振り返ります。「利便性向上のために、決済方法の多様化についてはずっと昔から取り組んできました。クレジットカードを導入するときも大変でした。しかし、そうやって決済事業者さんとはお互い成長してきたと思っています。当たり前を作っていくことが私たちのミッションだと思っていますので、LINE Payについても同じように盛り立てていければと思っています」と中川氏は語りました。

今後はさらにユーザーとの関係性を強化していきたい

こうしたユーザー情報の活用や新しい決済方法の導入を含め、東京電力がLINEを活用したコミュニケーションに取り組んでいるのは変わりたいという思いがあるからだといいます。
「これまで東京電力は年に数百万回のインバウンドのコールをいかに捌くか、ということで手一杯でした。しかしこれからはお客さまと会話をしていきたいと思っています。お知らせするだけでなく、お困りごとじゃないですか?とこちらから働きかけることによって、お客さまの気づきのきっかけになるような情報を豊かにしていければと思っています。公共性の高い私たちのキャラクターは崩さずに、お客さまにとってのコミュニケーションのハードルを下げていきたいです」(中川氏)
最後に、今後の展望について長谷川から問われた中川氏は、次のように答えてセッションを締めくくりました。
「お客さまとのコミュニケーション手段は、どんなにデジタルチャネルが進化しても、『デジタルチャネルのみ』になるべきではないと思っています。LINEさんとは、デジタルチャネルでの取り組みはもちろんですが、オフラインでのコミュニケーション充実の取り組みにもトライしたいですね。これからはお客さまからの問い合わせを待つのではなくて、こちらからお客さまに話しかけていって、よりエンゲージメントを高めていけたらと構想しています」
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