セミナーレポート 2018.12.26

LINEが仕掛けるSMB(中堅・中小企業)戦略~CEO出澤が明かす「3つの柱」とは?

2018年11月26日、LINE株式会社はSMB(Small and Medium Business:中堅・中小企業)向けの戦略発表会として「LINE SMB Conference 2018」を開催した。モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」やビジネス版LINEである「LINE WORKS」などの各種サービス、法人向けの「LINE公式アカウント」や運用型広告「LINE Ads Platform」の特徴や活用方法などが紹介された同カンファレンスの中から、キーノートセッションやプロダクト別活用セッションを中心にその模様をレポートする。

「CLOSING THE DISTANCE」の価値をSMB領域にも展開

キーノートセッションに登壇したLINE株式会社の代表取締役社長CEOの出澤剛は、SMB向けサービスに関する戦略を発表した。

LINEの現状については国内MAU7800万人以上(2018年9月時点)、毎日使っているユーザーの割合(DAU / MAU)は85%で、国内最大級のリーチメディア、コミュニケーションプラットフォームだと強調。法人向けのサービスに関しても2012年より取り組みを開始し、LINE@の認証済みアカウント数は37万を超え、これらのアカウントの友だち数は累計で約2億9000万にものぼると明かした。

LINE SMB Conference 2018

こうした状況の中、出澤はSMB向けの新たなソリューションとして「LINE Pay」「LINE WORKS」「LINE公式アカウント」という3つの柱を挙げる。

「LINE Payは、LINEのビジネスアカウントと連携することでユーザーにモバイル決済サービスを提供するとともに、さらにきめ細かなマーケティングを可能にします。また、LINE WORKSはビジネス版LINEとして従業員、顧客を含むトータルなコミュニケーションプラットフォームです。そして、LINE公式アカウントにはLINE@が統合され、シンプルな料金体系に変更。さらに、これまではメッセージの一斉配信がメインだった運用方法も、データを活用したセグメントが可能なマーケティングソリューションとして生まれ変わります」(出澤)

出澤は続けて、「これらの柱を通じて『CLOSING THE DISTANCE』というLINEの価値を、SMB領域にも広げていきたい」と抱負を述べた。

「LINE Pay」がSMBに決済革命をもたらす

続いて、各ソリューションのコンセプト詳細説明として、まずは「LINE Pay」についてLINE Pay 取締役COOの長福久弘が登壇。「LINE PayはQUICPay(クイックペイ)との提携によって、決済可能箇所が国内100万カ所を超えた」と口火を切った。また、ポイントプログラムとして、マイカラーによる0.5%〜2%に加え、1年間のコード決済に+3%を上乗せする(2019年7月末まで)優遇施策による3.5%~5%という高い還元率や、毎月末実施される「Payトク」キャンペーンなどにより、決済額は月ごとに拡大しているとの経過報告に合わせ、SMB向けのソリューションとして以下、3つのソリューションを紹介した。

長福 久弘

1つめが、「LINE Pay 店舗用アプリ」。これは、導入側のスマホにアプリをダウンロードするだけで、LINEのビジネスアカウントを持っていない店舗でも決済(レジ機能)とメッセージ配信が可能となるもの。長福は「設備投資が不要なため、小規模店舗に向いている」と説明する。

2つめは、「プリントQR」。決済用のQRコードをレジで掲示し、ユーザーがそれをスマホで読み取ることで決済が完了する。Wi-Fiをはじめ、機器の設置や専用アプリの導入は不要で、屋台や飲食店などでも利用できる。

3つめが「LINE Pay 据置端末」。従来のクレジットカードのカードリーダーとほぼ同じ動線で、金額を入力して端末にQRコードを表示し、ユーザーはそれをスマホで読み込むだけで決済が完了できる。

「この3つのソリューションにより、さまざまなSMBのニーズや課題に応じたサービスを提供していきたいと考えています。営業、サポートの新しい拠点としてLINE Pay北海道株式会社を設立して体制を強化するとともに、地域の加盟店を宣伝する『マーチャントPR(仮称)』など、新規顧客の集客や、店舗業務・経営支援も強化していきます。また、業務・経営支援の取り組みとして『毎日入金』も今後開始予定です。導入側からの入金申請に基づき、入金サイクルを日次にするサービスで、SMBのキャッシュフロー強化を支援する狙いがあります」(長福)

さらに、店舗の経理業務に関する支援では、クラウド会計サービス「freee」との協業もある。これは、SMBに特化した店舗経理のサービスをSaaS形式で提供するもので、長福は「最大3カ月分は無償でサービス利用可能なキャンペーンを実施する」と述べた。続けて、「国内店舗の約85%を占める中小規模事業者の支援なくして、日本のキャッシュレス化の実現はありえない」とし、今後も、LINE Payが店舗への来店促進や経営支援のプラットフォームとなるよう、サービスをブラッシュアップしたいと締めくくった。

「LINE WORKS」でSMBの「働き方改革」実現を

続いて、ワークスモバイルジャパン代表取締役社長の石黒豊が「LINE WORKS」の戦略について説明する。ビジネス版のLINEともいえるLINE WORKSは、有料版の契約数が27,000社を突破し、2018年2月から11月の9カ月で2.7倍の成長を遂げたビジネスチャットとなった。

石黒はSMB戦略の課題として、「グループウェアを導入していないSMBは61.2%を占めるとの数字もあり、国内企業の99.7%を占めるSMBのIT活用が進んでいない現状がある」と述べる。さらに、企業の人材不足は深刻で、限られたリソースの中で生産性を高めて売上を上げていくことが求められている。

こうした課題が顕在化している中、LINE WORKSを活用して成果を出しているSMBが増えている。たとえば、ある印刷会社では月間30時間~40時間ほどの残業削減を達成し、別の介護会社では待ち時間が大幅に削減され、仕事のスピードアップ、生産性向上につながった。

石黒 豊

「本日から、より多くの方に新しい働き方を実現していただくため、LINE WORKS無料版の提供を開始します。店舗や現場仕事のある会社、SMBなどに対して生産性向上や売上向上といった課題を解決し、さらに、普段使い慣れた使い勝手の良いツールという利便性を提供していきます。LINE WORKSによってSMBの働き方改革を実現していただきたい」(石黒)

中小企業のマーケティングの課題を解決する体制を整備していく

カンファレンスの最後では、LINE株式会社のマーケットグロース事業部 事業部長 川代宣雄が登壇。法人向けLINEアカウントや運用型広告「LINE Ads Platform」など、SMB領域におけるLINEソリューションの特徴や活用方法などを紹介した。

マーケティングの顧客獲得から育成までのフルファネルを担うLINEの法人向けサービス群である「LINE Biz-Solutions」は、運用型広告の「LINE Ads Platform」と、店舗での販促を担う「LINE Sales Promotion」、LINE公式アカウントからユーザーとコミュニケーションを行う「LINE Account Connect」のメニューから構成されている。

「LINE公式アカウントは2012年に開始され、友だち登録によってメッセージを一斉配信する機能に加えて2014年には『LINE ビジネスコネクト』を開始、LINEアカウントと企業が持つ顧客情報を連携させることで、よりきめ細かな『One-to-One』コミュニケーションが可能になりました。そして、2017年の『LINE カスタマーコネクト』により、チャットボットなどのコールセンター業務を効率化するソリューションが生まれ、多くの企業に活用していただいています。今後は、従来の『LINE公式アカウント』『LINE@』を統合し、新たな料金体系とサービスでSMBのマーケティングとコミュニケーションを支援していきます」(川代)

川代 宣雄

たとえば、LINE Ads Platformでは、新たにローンチされる「Smart Channel」への露出を開始する。これは、LINEのトークリスト上部を配信面として活用することで、「インプレッションの高い配信面を用意することで、大量の広告在庫を提供可能になる」と説明する。また、独自のアルゴリズムでより高精度なエリアターゲティングを可能にする「Geo Targeting」により、エリア特化型マーケティングも可能になる。

こうしたサービスに加え、SMB領域に特化した支援組織としてマーケットグロース事業部を全国に展開することで、川代は「SMBが気軽にデータを活用できる、パフォーマンス重視の広告プラットフォームへと進化していく」と述べた。そして、代理店とのパートナーシップ強化によって「プロダクト全体でSMBのマーケティングの課題を解決し、効率化につなげていくエコシステムを確立していく」としてセッションを締めくくった。