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セミナーレポート 2019.01.11

LINE経由で35倍の売上!WILLERの高速バス事業におけるLINE活用術

11月30日、大阪では初となる法人向けカンファレンス「LINE Biz-Day in Osaka」が開催された。同カンファレンスから、WILLER株式会社の神徳昭裕氏が登壇したセッション『売上と体験価値を上げるためのLINE活用術~コストをかけず、2年で約35倍のLINE売上を達成~』の模様を紹介する。

顧客ニーズを突いたプレセール

WILLERは高速バス事業の「WILLER EXPRESS」、鉄道事業の「京都丹後鉄道」などのマーケティング事業を担う企業で、神徳氏は前職からLINE公式アカウントの運用を担当していた。当時はスタンプなどの施策を通して短期的に数字を伸ばす施策に尽力していたが、現在は主にリテンション(既存顧客との関係を維持していくためのマーケティング施策)として中長期の戦略に活用している。

LINEの導入目的

「現在WILLERでは、LINEをリピート率、リテンション率を上げるための施策として活用しています。今回はその中で、配信数とクリック率に関する施策と1to1配信の施策に分けてご紹介できればと思います」(神徳氏)

前提として、WILLERがLINE公式アカウントを開設したのは2016年8月のこと。導入初月のLINE経由での売上が、2018年10月では約35倍と急速な成長を遂げている。

「売上を伸ばすため、配信数、クリック率、成約率、単価の4つをKPIとして成果を測ってきました。ただ、弊社の場合、遷移先となるLPが成約率や単価の数値を左右する役割を担っています。そのため、LINEで重視しているのは配信数とクリック率です」(神徳氏)

「配信数」に関しては、配信先の母数を増やすため、新規獲得やブロックの阻止、解約数の減少、または配信頻度を増やすなどの手段が考えられる。中でも、WILLERは新規獲得、ブロック数、解約数の改善に注力した。結果的に最も効果が表れたのが、Webサイト上で毎週水曜日に行っているセールをLINE会員のみ火曜日から参加できるようにした「プレセール」の開催だった。通常のセールを1日早く動かすだけでオペレーションコストも少なく、ユーザーメリットもわかりやすい。ユーザーも定期的にチェックするようになり、解約率やブロック率を抑える結果にもつながった。

配信数を増やす施策

「さまざまなキャンペーンを試しましたが、継続的に利用いただけているのがプレセールです。単発のプレゼントキャンペーンなどの場合、短期的な数字は伸びますが、継続的な結果にはつながりづらい。プレセールは純粋に顧客から求められている施策を考え抜いた結果といえます」(神徳氏)

クリック率を伸ばすために必要な「顧客理解」

「クリック率」では、ターゲット理解(誰を意識するか)、コンテンツ編成(いつ何を訴求するのか)、クリエイティブ方針(どのように、どんなクリエイティブにするか)の3つに注力して施策を展開。

具体的にはターゲットを理解するため、アンケート調査で集めた定性的な情報と、サイト側で保持している定量的な利用実績、ユーザーインタビューなどを統合的に分析し、ユーザータイプを4つに分けてそれぞれに合致した施策を検討した。例えば、ライブやコンサートで高速バスを利用するユーザーには、一般的に予約を取ると思われるタイミングの少し前に配信を行い、サービスを想起してもらうなどの施策を行った。

WILLER株式会社の神徳昭裕氏

「コンテンツ編成では、リードタイムを参考に訴求テーマとタイミングを考えました。例えば、1月にライブ目的で移動する人は平均30日前に予約を始めます。その場合、30日前よりも2週間ほど前からプロモーションを始めたり、配信を行うなどの計画を立てていました」(神徳氏)

クリエイティブの方針も、前述のタイプ分けを活用した。ユーザーに合わせた言葉遣いや表現を意識するだけでなく、社内でユーザー像に近い社員が制作を担当するなどして、ターゲットのインサイトに合わせた制作を行っている。

自動で継続的な関係を築く「1to1」配信

続いて、「1to1」配信についての施策が語られた。WILLERでは、短期的なセールスボリュームではなく、中長期的に利用してもらえるためにLINEを活用している。

「WILLERではユーザー数は伸びているものの、新規ユーザーの翌年リピート率が28%ほどと、サービスの継続率に課題を抱えていました。そこで、新規ユーザーのフォローアップ手段として、1to1配信を開始しました」(神徳氏)

1to1配信の目的

1to1配信は、販促やカート落ち対応の「プロモーション」と、コンビニ払い等のリマインドを行う「サポート」、リピート数向上やロイヤルユーザーの利用回数減対策を直接的に行う「フォローアップ」の3つの軸で実行。CRMと連携させつつ、自動で対応できる環境を構築した。

「Salesforceと1to1配信を連携させ、カスタマージャーニー、シナリオに基づくメッセージ配信を実施しました。結果、マンパワーでケアできない機会損失や、リピートの阻害要因に対して自動で対策できるようになりました」(神徳氏)

カスタマージャーニーに合わせた最適なメッセージ配信

ただし、LINEが担う役割にも限界がある。1to1配信も重要な施策だが、実際にバスを利用した時の顧客体験が主軸であり、その体験がいかに優れていたかが、サービスを提供する企業側として最も重要な要素であると神徳氏は考えている。

「LINEの役割はあくまで、『快適で安全な移動のサポート』です。顧客と継続的に関係を構築し、リピートやLTVを上げるためには、乗車中の体験が重要です。乗車中の体験向上を事業側で見つつ、我々はそれをサポートする役割を果たそうとしています」(神徳氏)

WILLERがLINE公式アカウントを開設してから2年間、当初から比べ35倍もの売上を達成したが、同社では今後も施策を広げつつ、より顧客にとって継続的に利用してもらえる事業の構築を目指している。そのためには、さまざまなナレッジを積極的に取り込み、実践の中で得られた情報を自社の施策に繋げていくことが大切だと神徳氏。最後に「是非、この場を含め、さまざまなナレッジを共有し、各々の事業の成果へとつなげて欲しい」と語った。