セミナーレポート 2019.01.11

新たなコミュニケーションチャネルの確立!AIボットと有人チャットによるLINEのハイブリッド活用法

11月30日、大阪では初となる法人向けカンファレンス「LINE Biz-Day in Osaka」が開催された。同カンファレンスから、株式会社QTnetの田中雄一郎氏が登壇したセッション『AIボットと有人チャットによる、ハイブリッド型お客さまサポート~LINE カスタマーコネクトを活用した 新たなお客さま接点の創出~』の模様を紹介する。

Web検索後の入電が多数という課題

QTnetは九州電力グループの電気通信事業者で、BtoC事業では主に光インターネット『BBIQ(ビビック)』やMVNOの『QTmobile(キューティーモバイル)』などを提供している。サービスの性質上、ユーザーから毎日多くの問い合わせを受けるが、「Web検索後のコールセンター入電率の高さ」に課題を抱えていた。

サービスに不明点や問題が発生した際、ユーザーの大半はQTnetのWebサイト上に用意されているFAQから検索して自力で解決策を探す。しかし、アンケートの結果、ユーザーの多くがFAQを利用したにも関わらず、その後、コールセンターへ電話していることが判明した。

「ユーザーはFAQで求めている答えにたどり着けず、解決策を探るためコールセンターへ電話していることがわかりました。FAQの改善はもちろんですが、それ以外にもユーザーが知りたい情報によりアクセスしやすい環境を整える必要があると考えました」(田中氏)

オンラインを活用した顧客対応への期待

ここから、新たなカスタマーサポート体制の検討が始まる。市場調査を行ったところ、ユーザーはWebでの顧客対応に期待を寄せていることが判明した。

ユーザーのコンタクトニーズとは?

「当時の調査では、オンライン対応に対する未来の利用意向が、実経験に比べ2.6倍ほどあることがわかりました。ここから、チャットベースでのカスタマーサポート導入を検討し始めました」(田中氏)

結果、QTnetは自社のLINE公式アカウントにおいて「LINE Chat API」の導入を決定する。LINEが有する月間7,800万人の利用者、性別や年齢を問わない幅広いユーザー層が決め手になったという。当初、社内では「本当にLINEによるサポートは必要とされているのか」「導入後、ユーザーは利用してくれるのか」という疑問の声が上がったため、田中氏はLINEでのサポートやアカウント登録に対する意向調査を実施した。

結果、80%強のユーザーが利用の意向を示し、LINEという手段がユーザーにマッチしていることが定量的にも証明されたことで、いよいよ導入への動きを本格化させた。

AIボットと有人チャットのハイブリッド対応。シームレスな問い合わせを実現

実際に導入したサービスの仕組みについて、田中氏は以下のように説明する。

「LINE上にチャット対応が可能な窓口アカウントを開設し、その裏側にAIを用いたボットを設置しました。AIボットによる24時間365日の対応を可能とし、AIで疑問が解決できない場合は、シームレスに有人オペレーターに切り替える仕組みをつくり、ワンストップの対応を実現しました」(田中氏)

QTnetのユーザーインターフェース
QTnetのユーザーインターフェース

実際に完成したUIが上記の画像。画像1枚目左側のリッチメニューには、アクセスの多いページへの誘導や、有人への切り替えアイコンなどを用意した。右側はユーザーからの問い合わせに対して回答候補を表示している様子で、横にスワイプすると該当のFAQを探し出せるように設計してある。

画像2枚目の右側は、有人オペレーションへの切り替えの様子。ユーザーの疑問がチャットボットで解決に至らなかった場合、有人対応が必要かを尋ね、ユーザーからの応答により有人窓口へと切り替える。

「LINEは会話の履歴がトーク画面に残るため、過去に問い合わせた内容をさかのぼることも可能です。普段からユーザーが使い慣れたトーク画面のUIで手軽に疑問を解決できるため、今後もより多くのユーザーへの普及を期待しています」(田中氏)

導入後、LINEを通しての問い合わせは月を追うごとに増加傾向にあり、LINE公式アカウントへの友だち登録もおよそ5,000名を獲得し、年度末には7,000名まで伸びる予想を立てている。

「問い合わせ件数,友だち登録数も順調に増加しており、有用なコミュニケーションチャネルとして確立しつつあると考えています」(田中氏)

日常生活だけでなく、有事の際もユーザーに寄りそうチャネルへ

今後の施策や方針について、田中氏は3つの可能性について言及する。1つ目は「LINE Call API」を用いたコールセンターとの連携だ。

「現在、弊社は次世代コールセンター構想を掲げ、さまざまな手法の検討を進めています。音声でもシームレスな問い合わせを実現し、顧客満足度向上に寄与できればと考えています」(田中氏)

2つ目は、社内のナレッジ共有に、アーカイブされた問い合わせ情報を生かすというアイデア。ユーザーから寄せられた問い合わせと回答の内容を集積し、Webサイトや社内マニュアルに反映させていくことで、どのチャネルからの問い合わせに対しても、正確かつ統一された応対でサービス品質を担保することができる。

プッシュ通知の活用方法

3つ目は、有事の際の活用。インフラとなる通信を取り扱う事業者として、有事対応は重要な要素となる。田中氏はその重要性を認識した上で、LINEの可能性を示唆する。

「8月に一部の地域でサービスの支障が発生した際、コールセンターへの入電と共にLINE経由の問い合わせ件数とLINEの友だち登録件数が著しく増加しました。つまり、有事の際にLINEが有用であると証明されたことになります。今後、導入予定のプッシュ通知で天災等を事前に通知したり、障害が発生した場合に初期メニューに詳細を載せたりといった活用方法も考えられます」(田中氏)

もはやインフラとも呼べるほどに浸透しているLINEの「身近さ」を有効活用し、QTnetでは日々の疑問解決から災害時の連絡まで、人々の生活に寄り添った活用を見据えている。サービスの向上は、すべての企業にとって重要なミッションだが、LINEを活用した問い合わせ応対は、新たな形のサービス改善として今後、他社へも広がっていくかもしれない。

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