セミナーレポート 2019.02.22

事前登録150万人!ダウンロードランキング1位を獲得した「THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR」のLINE活用術

LINE株式会社は20181128日、ゲーム業界におけるLINE活用法を紹介する「LINE Biz-Solutions Seminar for ゲーム業界」を開催した。

 

セミナーでは第一部でゲームのマーケティング・プロモーションに活用できるLINEの法人向けサービスの紹介を行い、第二部では実際にLINEを活用しているネットマーブルジャパン株式会社の藤原哲哉氏(以下、藤原氏)が登壇し、LINE公式アカウント、スポンサードスタンプ、LINE Ads Platformを活用した取り組みについて紹介した。本記事では、藤原氏が登壇したセッションの模様をレポートする。

ネットマーブルジャパン株式会社 マーケティング室 マーケティングAチーム チーム長 藤原 哲哉氏

ネットマーブルジャパン株式会社 マーケティング室 マーケティングAチーム チーム長 藤原 哲哉氏

ユーザーの変化とマーケティング手法の変化

ユーザー別の個別戦略が重要視される中、藤原氏もスマホゲームにおけるユーザーの変化を強く実感している。

 

「ユーザーの可処分時間の奪い合いが激しさを増しています。たとえば、メルカリなどのショッピングアプリにユーザーが滞在する時間が長くなってきており、ゲームアプリ以外で時間を消費するようになった印象を受けます」(藤原氏)

 

ユーザーが複数のアプリをスマートフォンにインストールする状況で、藤原氏はプロモーションを手掛けるゲームについて、多くのユーザーがメインで遊びたいと思えるファーストタイトルになることを目指していると話す。

「たとえゲームの完成度が高くても、ローンチ直後で人気チャートに入っていないと埋もれてしまうことがあります。そのため、我々はローンチ初期の人気チャート1位を獲得することだけを考え、王道なプロモーションをダイナミックに実施することを意識しています」(藤原氏)

 

しかし、王道的なプロモーション手法の1つであるテレビCMWeb動画は、以前のような効果が得られなくなっている。

 

「以前は人気YouTuberさんにプロモーション動画を作ってもらい、多くのユーザー獲得につながった施策もありました。しかし、Web動画の反響も以前のような効果が実感できない状況です。テレビCMにも同様のことが言えます。今は他のメディアに訪れるユーザーのことも考え、広告出稿におけるフリークエンシーとコンタクトポイントの最大化が鍵だと考えています」(藤原氏)

 

そのため、他社が実施していない領域にも果敢にチャレンジし、常にユーザーマインドを意識した施策を展開していく必要がある。

 

「2017年にリリースした『リネージュ2レボリューション』の例になりますが、ほぼすべての媒体を買い取り、大規模に広告を出稿することで、他社が入ってこられない状況を意図的につくりました。多くのユーザーが目にする環境を整えることで、配信後、すぐに日本のApp Storeトップセールスランキング1位のゲームタイトルとなりました。我々は日本のほかにも北米、中国、台湾、タイ、インドネシア、トルコとグローバルでゲームを提供しているため、日本で1位のタイトルとなった実績は、他国でのマーケティングでも武器となります。日本で多くのマーケティングコストをかけたとしても、グローバルで挑戦したときに成果が出せるのです」(藤原氏)

「THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR」のLINEプロモーション事例

ネットマーブルジャパンがリリースしている「THE KING OF FIGHTERS ALLSTAR」は、対戦格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」シリーズのキャラクターが登場するアクションRPGゲームだ。

THE KING OF FIGHTERS

しかし、「THE KING OF FIGHTERS」は1994年から続いている対戦格闘ゲームで、ファン層も30~40代の男性が中心。ゲームのユーザーイメージが定着していることに加え、対戦格闘ゲームというジャンル自体もヘビーゲーマー向けと思われやすかった。

 

新たなファン層を開拓するためには、対戦格闘ゲームというイメージを払拭し、簡単な操作で誰もが楽しめる爽快なアクションRPGであることを訴求する必要があった。そこで、LINEのプラットフォームを活用したマーケティングを行ったという。

 

「同時期にリリースされたゲームの中でダウンロード数1位を獲得することを目標にした際、まず対戦格闘ゲームのイメージを刷新しなければいけないと考えました。そこで、幅広いユーザーを抱えているLINEというプラットフォームを活用し、ゲームの存在と今までとは異なるジャンルだということを多くの人に認知してもらうための施策を行いました」(藤原氏)

 

具体的にはLINE公式アカウントの開設、ゲームの事前登録期とリリース期の2段階に分けて行ったスポンサードスタンプの配布、そしてLINE Ads Platformでの広告配信を活用し、事前登録期からリリース期、立ち上げ期から成熟期まで、フェーズ別の課題に対して施策を展開していった。

フェーズ別の課題
実施した施策

結果として、事前登録期のスポンサードスタンプ配布後、約1カ月弱で150万人以上の事前登録者数を達成。また、リリース期に再度スポンサードスタンプを配布し、約40万人のアクティブユーザー獲得に成功した。

 

「驚いたのが、スポンサードスタンプ経由で入ってきたユーザーの継続率が、他の経路で獲得したユーザーと比較して数%から数十%ほど高かったことです。いい意味で予想外でした。また、休眠ユーザーへ向けたアプローチ・告知も効果がありました。LINE公式アカウントから月4回メッセージを配信していますが、他の施策と比較して目に見えて復帰率が高かったです。ユーザーを呼び戻すということに関して、エンゲージメント広告よりも効果的だと感じています。動線が効果的なLINE Ads Platformも事前登録者数の増加、カスタマージャーニーの一助となりました」(藤原氏)

今後はLINEのインタラクティブなコミュニケーションに期待

実際に複数のLINEサービスを使い、どのように感じたのか。藤原氏は告知をする、認知させるという目的において、LINEはとても優れたプラットフォームだと語る。

 

「LINEは多様な属性のユーザーがいて、多くのコミュニティーが集合する巨大なプラットフォームです。スポット的な施策はもちろん、一方的な告知になってしまったとしても、ユーザーの態度変容はしっかり見られます。とはいえ、これからユーザーとインタラクティブなコミュニケーションをどう築いていくか、という課題もあります。LINEとの取り組みによって、この課題を解決していきたいと思っています。例えば、ユーザーが集まって知らない人とも交流したり、ユーザーがコミュニティーをつくれる場をLINEが提供してくれたら、ビッグデータと掛け合わせることでさらに可能性が広がるのではないでしょうか」(藤原氏)