セミナーレポート 2019.04.02

花王、サッポロビールがLINE活用を決めた理由│両社が考えるリデザインの評価と戦略とは?

2月20日、東京ミッドタウンで「LINE Biz-Solutions Day 2019」が開催された。同カンファレンスにて行われたセッション「花王・サッポロビールが考える、LINE公式アカウントの『リデザイン』と今後の活用展望」には、「リデザイン」を機にLINE公式アカウントを開設した花王株式会社(以下、花王)の鈴木愛子氏(以下、鈴木氏)とサッポロビール株式会社(以下、サッポロビール)の堀内亜依氏(堀内氏)が登壇し、自社のLINE活用の展望を語った。

▼リデザインについて

リデザインによる価格改定がLINE導入のきっかけに

リデザインの内容について、モデレーターを務めたLINE株式会社の望月恵太は「価格、アカウントの統一、ターゲティング配信の強化がリデザインの大きな変更点です」と説明する。

リデザインの内容について、モデレーターを務めたLINE株式会社の望月恵太は「価格、アカウントの統一、ターゲティング配信の強化がリデザインの大きな変更点です」と説明する。

リデザインにより、LINE公式アカウントの月額費用は1万5000円〜となり、メッセージ配信通数あたりの従量課金制に大幅変更。また、複数あったアカウント体系が1つに統一されるほか、One to Oneコミュニケーションを実現すべくターゲティング配信を強化していく

LINE公式アカウントの導入を検討する企業にとって、特に大きなポイントとなったのが価格変更だ。実は花王もサッポロビールも、これまでLINE公式アカウントに興味がありながら導入に踏み切れなかった理由のひとつに「価格」を挙げている。この点について「費用対効果を試すためにトライアルで始めたかったものの、これまでのLINE公式アカウントは安易に手を出せる価格ではありませんでした」(鈴木氏)、「まずは本部で小規模展開し、やがて事業部に拡大していく形で進めたかったのですが、スモールスタートするには価格のハードルが高かったのです」(サッポロビール 堀内氏)と口をそろえる。

LINE株式会社 ビジネス開発本部次世代営業開発部クライアントソリューションチーム マネージャー 望月 恵太 / 花王株式会社 マーケティング創発部門コンシューマーリレーション開発部 部長 鈴木 愛子氏 / サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 マーケティングインテリジェンスグループ マネージャー 堀内 亜依氏

(写真左から)LINE株式会社 ビジネス開発本部次世代営業開発部クライアントソリューションチーム マネージャー 望月 恵太 / 花王株式会社 マーケティング創発部門コンシューマーリレーション開発部 部長 鈴木 愛子氏 / サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 マーケティングインテリジェンスグループ マネージャー 堀内 亜依氏

それでも、実は両社ともLINEを活用したマーケティング施策にはかねてから関心を寄せていた。理由は、LINEが持つ圧倒的なユーザー数と、ユーザーの日常生活に浸透しているという2つの点にある。

「新たにLINE公式アカウントを開くことで、これまでのチャネルとは違う新しい顧客層との接点を持つことができます。」(鈴木氏)

「メーカーのようなBtoBtoCでは、なかなか購入者のオフラインでの行動ログが得られませんでしたが、LINEを活用すれば工夫次第でこれまで捉えにくかった顧客の行動データを取得し、自社のCRMデータをより充実させることができます。また、One to Oneでのタイムリーなコミュニケーションを自社アプリで実現しようとしても、そもそもダウンロードして継続的に使い続けてもらう価値を提供すること自体が難しい状況でした。しかし、LINEであれば既に顧客のスマートフォンにダウンロードされているのが当たり前の状況なので、プッシュ通知の活用など選択肢は広がります」(堀内氏)

LINE公式アカウントを「ブランド別」に持つか「企業」として持つか

リデザインを機にLINE公式アカウントを開設し、同じBtoBtoCの業態として顧客接点の創出における課題感を共有する両社だが、ブランド別にアカウントを複数開設するか、ブランドを横断した企業アカウントを一つ開設するか、その選択は異なる結果となった。

サッポロビールは企業アカウントのみを開設したが、その理由について堀内氏は「自社のデータと連携してセグメント配信をすることで、一つのアカウントでも顧客に合わせたコミュニケーションを展開することができると考えています。また、アルコールは購入頻度の高い商材でもありますので、あえて普段ご購入いただかない商品ブランドのメッセージを送ることで、お客様に新たな出会いを提供していく狙いもあります」と説明する。

サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 マーケティングインテリジェンスグループ マネージャー 堀内 亜依氏

サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 マーケティングインテリジェンスグループ マネージャー 堀内 亜依氏

一方、ブランド別に複数のアカウントを開設した花王では、「商品特性によってターゲット層が異なるため、まずはブランドごとにLINE公式アカウントを開くことにしました」と鈴木氏。

花王株式会社 マーケティング創発部門コンシューマーリレーション開発部 部長 鈴木 愛子氏

花王株式会社 マーケティング創発部門コンシューマーリレーション開発部 部長 鈴木 愛子氏

しかし、単純にブランドで切り分けただけではなく、「たとえば洗濯洗剤や台所用洗剤などは、ブランドごとに情報を発信するより、1つの商品カテゴリーとしてメッセージを出していった方がユーザーにとって便利な可能性もあります。常にお客様目線で考え、ブランド担当者と話し合いながら進めていきます」と語る。

今後の LINE公式アカウント活用の展望

LINE公式アカウントを開設し、いよいよ本格的な活用を開始していく両社。今後のLINE活用における戦略について、それぞれどのように考えているのか。

特定保健用食品の飲料ブランド「ヘルシア」と、敏感肌用スキンケアシリーズのブランド「キュレル」の2ブランドでLINE公式アカウントを開設した花王では、「まずはアカウントを開設し、進めながら詳細な戦略を組み立てていく」とし、下記3つの目的を持って運用していくという。

(1)新たな顧客接点の開拓
(2)新しく出会った顧客像の理解促進
(3)双方向での信頼関係の構築


それぞれのアカウントでキャンペーンの展開や情報発信を行っていくが、特にヘルシアのように毎日継続して飲み続けてもらうことが重要な飲料の場合、「LINEのように毎日の生活の動線上で使われるアプリでアプローチを行っていくことで、継続的な購買が促しやすいのではないかと考えています。LINEマイレージ*も活用していく予定です」と鈴木氏は期待を寄せている。

  • LINEマイレージ:「集めて応募」キャンペーンを LINE上で実施できる、LINEの販促キャンペーンプラットフォーム。

花王のLINE活用展望

サッポロビールも、LINE公式アカウントの開設と併せて、 LINEの販促キャンペーンのプラットフォームである「LINE Sales Promotion」の活用に意欲的だ。2019年2月には、人気の新ジャンル「サッポロ 麦とホップ」、新しく発売されたビール「ヱビス プレミアムエール」のLINEサンプリング*も実施し、反応は上々だという。

  • LINEサンプリング:店舗への集客から商品のサンプリングまでをワンストップで提供する、 LINEの販促キャンペーンプラットフォーム。

「各施策やメッセージにはタグを仕込んだURLを発行して自社サイトに誘導していますが、Google Analyticsで確認したところ、LINEのメッセージで配信したURLは開封率が40%を超え、平均セッション時間も3分近いという結果に驚きました」(堀内氏)

LINE公式アカウントの友だち獲得においては、サッポロビールは今のところは短期間で大量の友だち獲得が可能なLINEスタンプは活用しない方針だ。LINEサンプリングやクローズドなキャンペーンを展開することで自社の商品に関心のある友だちを獲得し、LINEの行動ログや、LINE Beaconを活用してオフライン行動ログを収集していく。得られたデータとほかのマーケティング施策で集めたデータを合わせて分析し、今後のユーザーコミュニケーションや施策づくりに生かしていく方針だという。

LINEを「顧客理解ができるプラットフォーム」と考えている堀内氏は、「最終的には LINEにおけるコミュニケーションをOne to Oneに近しい形に近づけていきたいです」と期待を語る。

サッポロビールのLINE活用展望

花王、サッポロビールが今後 LINEに期待することとは?

最後に両社は、今後 LINEでの施策を展開していくにあたり、 LINEに期待することを語った。

「LINEユーザーに向けたマーケティング施策を展開していく上で、 LINEユーザーをより深く理解していくためのアドバイスを期待しています」(鈴木氏)

「One to Oneのプラットフォームであるのに、広告商品となると仕組みの上でも金額感においてもまだまだマス向けのものが多いので、スモールマスに向けても使いやすいキャンペーンがあると嬉しいです」(堀内氏)

これに対し、モデレーターを務めたLINEの望月は、「LINEサンプリングなどでトライしていただきやすい価格体系を用意することは検討しています。また、スモールマスに向けての商品のニーズは確実にあると思いますので、これを機に社内でも検討していきたいです。リデザインにより、購買データやLINEのファミリーサービスのデータ、サードパーティーデータなど、データを横断的に活用する土壌が整ってきましたので、今後はLINEユーザーの理解という点においてもお手伝いできることがますます増えていくのではないかと思います」と語り、セッションを締めくくった。

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