Technology Partnerに見る、新しい顧客体験を生み出すLINE活用とは
デジタルシフトが進む現在、自社のビジネス成長に関する課題の解決手段を、テクノロジーに求める企業や店舗が増えています。そのようなニーズを受け、LINEが提供する各種APIを活用して、LINE公式アカウントをはじめとするLINEの広告プロダクトの導入における企業の技術支援を行うのが、「LINE Biz-Solutions Partner Program*」で認定するTechnology Partnerです。
「LINE Biz-Solutions Partner Program」は、LINEが提供する各種法人向けサービスの拡販および機能追加・改善をより積極的に推進することを目的に導入された、「LINE Account Connect」、「LINE Ads Platform」、「LINE Sales Promotion」の各プロダクトにおいて、広告代理店やサービスデベロッパーを認定・表彰するプログラムです。
本記事では、2019年9月11日に東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された中堅・中小企業向けのイベント「LINE Biz-Day for SMB*」に登壇したTechnology Partner 3社の発表内容をもとに、LINEを活用して生み出される新しい顧客体験について紹介します。
SMB=Small to Medium Business
LINEで中堅・中小企業のビジネスを変えるTechnology Partner
「LINE Biz-Day for SMB」では、LINEを活用して独自のサービスを提供するTechnology Partner3社が登壇しました。

Webアプリの構築基盤「anybot」を提供するエボラニ株式会社(以下、エボラニ)、チャットコマースソリューション「Zeals(ジールス)」を提供する株式会社ZEALS(以下、ZEALS)、そしてソーシャルログイン/ID連携サービス「ソーシャルPLUS」を提供する株式会社フィードフォース(以下、フィードフォース)の3社が提供するソリューションは、いずれもLINEのAPIを活用して開発されています。
LINEでTechnology Partnerとのアライアンス推進を担当する高木祥吾は、セッションの冒頭、「LINEを使った未来のテクノロジーや可能性を示したい」とコメント。以下、3社の事例とLINE活用のポイントを整理します。

LINE内で予約受付からリピート促進まで担えるWebアプリを作成
エボラニの「anybot」は、LINEの運用における、さまざまな業界の多岐にわたるニーズに応えるために、豊富な機能を持つチャットボットやLINE内で動作するLIFF(LINE Front-end Framework)を含むWebアプリをつくることが可能です。チャットボットによる接客の自動化、ユーザーデータの自動分類によるCRMの強化、さらに予約管理や決済機能も提供するなど、店舗業務にかかる一連のプロセスを効率化することができます。

anybotは複雑なコーディングによる開発は不要で、自由にAPIを連携できるのがポイントです。導入事例として紹介された外食企業の株式会社5iveGroup(ファイブグループ)では、「月最大3万件の電話対応や予約の一元化に課題があったほか、既存のツールはUXが悪く、浸透していなかった」という悩みを抱えていました。
しかし、anybotの導入後は、ユーザーからの電話が入るとLINE上でチャットボットがコミュニケーションを行い、予約管理システムに誘導できるようになりました。また、予約の自動リマインド、決済・POS連携、さらにクーポン発行による再来店の促進まで一貫して行えるシステムを開発し、スタッフにかかる負荷が大幅に削減されただけでなく、利用するユーザーからも「わかりやすい」と好評を得ています。
「なんといっても馴染み深く、使いやすいLINEを使って業務フローを整備できたことが大きな成果です。これにより顧客体験、従業員体験ともに大きく向上しました」(宋氏)
「LINE Front-end Framework(LIFF)」

ブラウザの遷移によるユーザー離脱を防止するため、
外部サイトをLINE上で立ち上げることができる。
LINE Front-end Framework(LIFF)に関する記事:
LINE Pay対応で購買体験に革命をもたらすチャットコマース
ZEALSの「ジールス*」は、チャットボットでユーザーとコミュニケーションを取りながら、試供品の申し込みや会員登録などの行動を促すチャットコマースソリューションです。また、スマホ決済サービス「LINE Pay」にも対応し、LINEを使ったコミュニケーションを通じた商品訴求から、購入・決済まで一連のプロセスを完了できます。
旧サービス名は「fanp」

ジールスの導入事例として挙げられたメンズスキンケア会社の株式会社バルクオムは、LINE公式アカウント上で提供する「肌診断」コンテンツを通じて、ユーザーの肌の悩みに答えながら商品訴求を行います。結果的にCVR(商品購入率)は2.7倍となり、同時に運用していたLINE Ads PlatformのCPA(顧客獲得単価)は257%も改善したそうです。
清水氏は本事例の3つの成功ポイントとして、「コミュニケーションの質が向上したこと」「LINE限定のキャンペーンを受けた、口コミ数のアップ」のほか、とりわけ「LINE Pay対応による購入の簡易さ」を強調します。
「消費財でもサブスクリプションビジネスが進む中、商品購入にかかるハードルを大幅に下げるには今後、LINE Payとの連携が大きな役割を果たすでしょう」(清水氏)
「LINE Pay API」

LINE公式アカウントにLINE Pay APIを組み合わせることで、
ユーザーにキャッシュレスサービスを提供できる。
LINE Pay APIに関する記事:
LINEを使った認証システムで、One to Oneコミュニケーションを促進
フィードフォースの「ソーシャルPLUS」は、ユーザーが持つソーシャルメディアのアカウントを使ってアプリやWebサイトにログインする、ソーシャルログイン機能を提供しています。新規サービスの登録時にメールアドレスなどの個人情報の入力が省略できるため、企業や店舗がユーザーとのつながりを構築しやすくなるのが最大のメリットです。

LINEとソーシャルPLUSを組み合わせると、例えば店舗の会員証を発行する際、レジ横にあるQRコードをスマートフォンで読み込むと、LINEの認証画面が表示されます。ユーザーが自分のLINEアカウント情報に関する権限を許可すると、すぐに会員証が発行される仕組みです。
また、LINEの認証を経たユーザーは自動で企業や店舗のLINE公式アカウントに友だち追加されるようになっているため、ソーシャルPLUSを導入したある店舗では、LINE公式アカウントの開設後、わずか3カ月で友だち数が10万人を超えた事例も存在するといいます。
「LINEを使った認証システムのメリットは、友だちになった顧客とOne to Oneのコミュニケーションが可能になることです。パーソナライズされたメッセージを配信できるほか、連携している店舗の会員IDをもとに、きめ細かなカスタマーサポートも実現できます」(西川氏)
「LINEログイン」

自社のアプリやWeb サイトの会員情報とLINE公式アカウントを連携させ、ユーザーの利便性向上を図ることができる。
LINEログインに関する記事:
最後にテクノロジーパートナー3社はそれぞれ、今後の展望を下記のように語ります。

「世界に認められるソリューションを開発し、町の店長さんにも良心的な価格で良質のサービスを提供します」(エボラニ 宋氏)
「『ECからCC(チャットコマース)へ』という、新しい産業革命を日本発で実現したい」(ZEALS 清水氏)
「成功事例を発表し、大手企業のプロジェクトで培ったソリューションを中堅・中小企業の皆さまに展開します」(フィードフォース 西川氏)
対象となる企業の規模を問わず、各社が語ったビジョンの実現に向けてLINE活用の幅は今後も広がっていくはずです。
(取材・文:岩崎史絵、写真:高橋枝里)
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