セミナーレポート 2019.11.14

「福岡から新たな価値を」行政・市民・企業と共に目指すLINEの取り組み

法人向けサービスとして「LINE公式アカウント」がリリースされて約7年、福岡にLINEの営業拠点が設置されて約1年が経過した。これまで、LINEの法人向けサービスが福岡の地でどのように成長を遂げてきたのか――。2019年11月6日、福岡では初開催となった「LINE Biz-Day in Fukuoka」の模様とともに紹介する。

セミナー会場と受付の様子。当日は多くの来場客で賑わった。

セミナー会場外には、カフェブースと商談スペースも設置された

国内有数のプラットフォームへ成長したLINEの現在地

現在、LINEは月間利用者数8,200万人、そのうち86%のユーザーが毎日利用する(どちらも2019年9月時点)という、国内でも有数のコミュニケーションプラットフォームへ成長した。セミナー冒頭に登壇したLINE株式会社 執行役員 広告ビジネス事業担当の池端由基は、LINEのユーザーは人口分布に近い数値で全国に存在し、情報感度の高い首都圏だけでなく、地方でも有用なコミュニケーションツールだと強調する。

このプラットフォームをさらに進化させるため、LINEではユーザー視点を軸にしたさまざまなサービスを展開してきた。また、人々の生活をさらに豊かにするため、AIやFinTech、OMO(Online Merges with Offline)領域にも積極的な投資を続けている。それがAIアシスタントのLINE Clovaやキャッシュレス決済のLINE Pay、デジタルチラシのLINEチラシとして世にリリースされている。

LINE株式会社 執行役員 広告ビジネス事業担当 池端 由基

「これらの取り組みは、全て我々のコーポレートミッションである『CLOSING THE DISTANCE』につながっています。人々の生活を豊かにすることに投資を続け、人と人、情報、サービス、企業、ブランドなど、さまざまな距離をより近づける未来を目指しています」(池端)

なぜ福岡なのか?LINEが注力する理由

では、「なぜ福岡なのか」。LINE Fukuoka株式会社 取締役COO の鈴木優輔は、地理的な背景と福岡の自治体・市民・企業の特性という観点から疑問に応える。地理的にはアジアの玄関口として、台湾やインドネシアのユーザーが多いLINEが海外拠点と連携を取る上で重要な意味合いを持つ。また、教育機関の充実によって西日本中から優秀な若者が集まるだけでなく、産学連携などによるIT分野での功績が目立ち、企業もデジタルシフトに積極的な姿勢を見せている。


代表的な具体例として挙げられるのが、福岡市の取り組みだ。福岡市とLINE、LINE Fukuokaは2018年8月「地域共働事業に関する包括連携協定」を締結。行政(福岡市)、企業・団体、市民との共創により、LINEの技術を活用して「豊かで便利な未来志向のまち=Smart City」の実現を目指している。

事実、2017年に開設された福岡市のLINE公式アカウントの友だち数は163万人を超え、登録したユーザーに「必要な情報だけが届く」という利便性を提供している。具体的には居住地を登録しただけで「ごみを出す日」にLINEで通知が届くほか、「福岡市粗大ごみ受付」という別アカウントでは粗大ごみの申請から支払いまでがLINE公式アカウントで完結したりなど、生活に寄り添うサービスで満足度は高い。

「LINE Fukuokaは2013年11月の設立後、順調に成長を続け、設立当初180人だった従業員数は現在約1,000人にまで増加しました。福岡で私たちが成長拡大している要素には、共創できる場所・自治体、市民、企業があるからです。これからも市民の方に必要とされるソリューションを、自治体や企業と協働していくことが重要だと考えています。LINE Fukuokaは、地域に根差したソリューションを大切にして、皆さまとのコミュニケーションを深めていくつもりです」(鈴木)

LINE Fukuoka株式会社 取締役COO 鈴木 優輔

地域に根付いた顧客コミュニケーションとは

では、LINEで実現する「地域に根付いた顧客コミュニケーション」とは。株式会社エフ・ジェイエンターテインメントワークスの宮崎喜彦氏(以下、宮崎氏)と嘉穂無線ホールディングス株式会社の古江滋氏(以下、古江氏)が、実例を紹介する。

株式会社エフ・ジェイエンターテインメントワークス 宮崎 喜彦氏(左)、嘉穂無線ホールディングス株式会社 古江 滋氏(右)

株式会社エフ・ジェイエンターテインメントワークスが運営するショッピングモール「木の葉モール橋本」は、客層の7~8割が地元ユーザーのリピートで成り立っており、地元の人に喜んでもらうためのイベントを開催するなど、地域のコミュニティーとしての場づくりに励んでいる。一方、嘉穂無線ホールディングス株式会社は北部九州でホームセンター「グッデイ」を展開。店内のDIYスペースでワークショップイベントを開催するなど、「学べるホームセンター」として人気を集めている。


どちらも、メインの顧客層は地元住民であり、これまでDMや折り込みチラシなどのアナログな手法で集客を行い、ユーザーとのコミュニケーションを図ってきた。しかし、木の葉モールでは販促費とイベント開催費用の兼ね合いから、グッデイでは効果が曖昧で数値化できず、単価も増えている折り込みチラシの代替としてLINE公式アカウントを導入した。


「限定特典やイベント告知、情報の先行配信などで友だち数を増やしてきました。現在、友だち数は子育て世代の30代女性を中心に41,000人、来店するユーザーの13%がLINEで情報を入手しているというデータがあるほど利用されています。今後はフードコートでの事前注文・決済・呼出がLINEで完結できるシステムの実証実験を始めています」(宮崎氏)

「当初は旗艦店と新店の5店舗でLINE公式アカウントを導入し、イベントやキャンペーン情報を配信して16,000人の友だちを獲得しました。WEBサイトのトラフィックがLINEの配信日時は倍増したり、ある店舗でLINEクーポンを実施した際は、売り上げのうちクーポン経由が28%を占め、友だちのうち34%が該当店舗で買い物をしたという結果も出ています」(古江氏)

LINEの法人向けサービスの今後と企業の活用事例

ほか、LINE株式会社 広告事業本部 西日本事業部 事業部長の松岡亮太と、SPセールスチーム マネージャーの橋本久嗣がLINE公式アカウントやLINE Ads Platform、LINEチラシなどのサービスやローンチ予定の新機能などについて紹介した。

LINE株式会社 広告事業本部 西日本事業部 事業部長 松岡亮太(左)、SPセールスチーム マネージャー 橋本 久嗣(右)

また、イベント後半には九州に本社を構える各企業担当者が登壇し、自社のLINE活用法について発表した。詳細は下記の個別取材記事にて紹介している。

今後もLINEとLINE Fukuokaは、行政と市民、企業とともに福岡から新しい価値を創造していく。


※本記事内で紹介した各種数値は、すべてセミナー開催時点のものです。


(写真:国松あずさ)