セミナーレポート 2020.08.28

「LINE CX DAY」を開催!アフターコロナの世界で、LINEが構築する新たな顧客体験とは

スマートフォンをはじめとするデジタル端末の普及はもちろん、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によりオフラインでの活動が制限され、さまざまなサービスのデジタルシフトが急速に進んでいる。そんな中、ますます重要視されるデジタル上でのCX(顧客体験)をテーマに、LINEは2020年6月29日にオンラインイベント「LINE CX DAY」を開催。同イベントの基調講演と2つのセッションをピックアップしてレポートする。

基調講演「LINEで実現するLIFE Marketing」

池端の写真

LINE株式会社 執行役員/広告ビジネス事業担当

池端由基

澤入の写真

LINE株式会社 OMO販促事業推進室 SP Planningチーム マネージャー

澤入隼人

高木の写真

LINE株式会社 プラットフォーム事業開発室 マネージャー

高木祥吾

コロナ禍における、ライフインフラとしてのLINEの取り組み

冒頭、LINEの池端由基(以下、池端)は「この数カ月、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、LINEは“ライフインフラ”としてさまざまな施策を実行してきた」と語った。

 

具体例として挙げたのは、厚生労働省からの要請で開設されたLINE公式アカウント「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」だ。国内の感染状況や予防法などの情報を受け取れるだけでなく、AIチャットボットが新型コロナウイルスに関する質問に24時間いつでも答えてくれる。

 

また、帰国者の健康状態をフォローアップするためのアカウントも紹介。保健所の職員が質問票の入力や架電をせずに、LINEで簡単に帰国者の健康状態を確認できる。そのほか、学生支援緊急給付金をLINEから申請できる文部科学省のLINE公式アカウント、バス・電車の混雑状況を通知する西日本鉄道のLINE公式アカウントなどの事例を紹介した。

 

「国内で8,400万人(2020年6月時点)の月間利用者を擁するLINEのプラットフォームでは、CXを向上させるためのAPIやAI技術などを保有しています。そして、課題解決やアイデアを形にするサポートをしてくれる64社(2020年6月末時点)のTechnology Partnerがいる。ぜひ、皆さまが提供しているサービスのCXをLINEでさらに向上させてください」(池端)

プレゼン中の池端

オフラインにおける価値を一層高めるLINEのOMO施策

続いて登壇したLINEの澤入隼人(以下、澤入)は、「LINEはLife on LINEという考え方のもと、オフラインとオンラインとつなぐ入り口を目指してきました」と切り出し、「OMOと販促」をテーマにプレゼンテーションを行った。

プレゼン中の澤入

その事例として、福岡県福岡市にあるショッピングモール「木の葉モール橋本」と共同で取り組んだ、モバイルオーダーサービスを紹介。フードコートでの店舗検討、事前注文、LINE Payを使った決済、注文したフードの受け取り通知などを、すべてLINE公式アカウント内で完結することで、店舗内の混雑解消を実現した。

 

「モバイルオーダー時に、LINE公式アカウントと友だちになることができるため、各店舗とユーザーをつなぐことができます。ユーザーが求めているのは、生活の中での課題解決やユーザー体験のアップデートであって、OMOはあくまで手段にすぎません」(澤入)

また、コロナ禍において「人とのつながりの大切さ」がクローズアップされる中、LINE公式アカウントを中心とした企業とユーザーとのコミュニケーション機能を一層強化すると強調した。

 

「パートナーとの協業を一層強化し、さまざまなソリューションとの連携を図りながら販促サービスも進化させていきます。アフターコロナの世界でもユーザー体験をアップデートし、LINEのプラットフォームとテクノロジーを活用してオフラインにおける価値をさらに高めていきたいと思います」(澤入)

LINEマーケットプレイスで、APIを活用した多様なソリューションを提供

基調講演の最後に登場したLINEの高木祥吾(以下、高木)は「CXを実現するLINEのソリューションとTechnology Partnerとの取り組み」について語った。

 

「LINEのユーザーIDと企業が保有するデータを連携させることで、よりパーソナライズされたOne to Oneコミュニケーションを実現することができます。これまで、さまざまな企業や自治体が、LINEが外部に提供するテクノロジーやAPIを活用することで、ユーザーとの距離を縮めてきました」(高木)

プレゼン中の高木

例えば、LINE上で住民票の申請が行える東京都渋谷区のLINE公式アカウントは、LINEのTechnology Partnerである株式会社Bot Expressが機能実装を行った。また、千葉県柏市の小中学校における出欠や遅刻連絡ができる連絡システム「つながる連絡」は、同じくTechnology Partnerであるエースチャイルド株式会社による実装案件だった。

図版

また、LINEのAPI利用をさらに活性化する取り組みとして、2020年3月に構想が発表された「LINEマーケットプレイス」についても言及した。

 

「LINEマーケットプレイスでは、LINEのAPIを活用したアプリを掲載する予定です。ソリューション選びはもちろん、アプリの利用開始までをオンラインで完結できるため、企業のAPI活用にかかるハードルを下げられると考えています。また、LINE公式アカウントの運用に長けたパートナーによる運用サポートパックも、LINEマーケットプレイス経由で提供する予定です」(高木)

 

プレゼンテーションの最後には、デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるLINEの有用性を高める取り組みとして、クラウドサービスで高い実績を上げているAWS(アマゾンウェブサービス)との連携が発表された。今後は両サービスが持つ強みを最大限に生かし、クライアント企業のアプリケーション開発およびDX実現を支援する「LINE DX Program with AWS」の提供を行うという。

「Cookieレス時代を見据えた LINEプラットフォームにおける統合マーケティングの実践」

吉田さんの写真

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社

ソリューションサービス本部 副本部長 吉田潤氏

前川さんの写真

株式会社電通 プラットフォーマーデータ部 部長

前川駿氏

泉さんの写真

LINE株式会社 B2B事業戦略室 クロスプラットフォーム推進チーム

マネージャー 泉貴文

Cookieに依存しない広告配信をLINEで実現

Cookieをはじめとするサードパーティーデータの利用が制限されていく中で、各社が独自に保有するファーストパーティーデータの重要性が増している。LINEは8,400万人のユーザーデータを保有しているため、ポストCookie時代でも効果的な広告サービスの提供が可能となる。LINEの泉貴文(以下、泉)は、現在、LINEが推し進めるクロスプラットフォームの構想について次のように説明した。

 

「LINEはさまざまな広告サービスを提供していますが、これまでサービス間のデータ連携はなされていませんでした。しかし、クロスプラットフォームが実現すればすべての広告サービスが1つのIDに紐付き、より横断的なデータ活用が可能になります」(泉)

プレゼン中の泉

では、具体的にどのような効果が期待できるのか。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の吉田潤氏(以下、吉田氏)が、Talk Head Viewとテレビの広告接触者の調査結果を基に解説した。

 

「調査対象の57%がTalk Head Viewとテレビの両方に接触していました。Talk Head Viewだけに接触し動画広告を再生した人の割合は1.3%でしたが、両方に接触した人は1.9%が再生しています。わずか0.6%の差ですが、1,000万人にリーチしたとすると、6万という大きな違いが生まれます」(吉田氏)

また、広告のクリック率についてはTalk Head Viewとテレビの両方に接触すると2倍の差が見られたことからも、吉田氏は「テレビの出稿タイミングとTalk Head Viewとの関連性をより細かく分析することで、今後、より効果的な広告を運用できる」と展望を語った。

プレゼン中の吉田さん

LINEを活用した、ライフタイムバリューを上げる販促施策

続いて、株式会社電通の前川駿氏(以下、前川氏)がアサヒビール株式会社の新商品「アサヒ ザ・リッチ」の販促施策を事例として、購買層ファネルのLINE活用についてプレゼンテーションを行った。

 

「アサヒビールが保有するファーストパーティーデータに基づき、LINEを利用して商品をお試しいただけそうな22万5,000人に販促サンプリングを実施したところ、当選者の90%以上が店舗で商品を引き換えていました。また、そこから商品を購入した人の割合は30.9%でした」(前川氏)

図版

また、LINEとテレビCMとの相乗効果分析について、「LINEの販促施策はテレビCMが浸透しているグループに対して、より購買率の改善が見られた」と言及する前川氏は、次のように話をまとめた。

 

「これからの販促プロモーションは、ユーザー1人ひとりの購買情報に基づきライフタイムバリューを上げていくことが大切です。“ブランディング”は商品価値を上げる施策で、“販促”は商品を実際に販売するための施策。LINEのプラットフォームを活用してユーザーの体験価値を上げることに注力していけば、本来相容れなかったブランディングと販売の両施策を融合できると思います」(前川氏)

プレゼン中の前川さん

「パートナーと実行するLINEのOMO型販促」

高橋さんの写真

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 販促革命センター 統括

高橋篤氏

窪田さんの写真

株式会社博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォームビジネス局

窪田充氏

江田の写真

LINE株式会社 OMO販促事業推進室 室長

江田達哉

Sales Promotion APIにより販促施策の拡張性が向上

LINEはこれまで、LINEセールスプロモーションのサービスにおいてキャンペーンやサンプリングといった店舗販促プランを汎用パッケージ化して提供してきた。しかし、「昨今、メーカー各社からの要望にある変化が見られる」とLINEの江田達哉(以下、江田)は語る。

 

「これまで販促ソリューションをパッケージ化することで手頃な価格で提供してきましたが、『ユーザーのニーズに応えてカスタマイズすれば、より販促効果を上げられる』という声をメーカーさまからいただくようになりました。そこで提供を開始したのがSales Promotion APIです」(江田)

プレゼン中の江田

LINEの認定を受けたパートナー企業は、Sales Promotion APIを利用することで、LINEを活用した独自のキャンペーンを開発・販売することが可能となった。博報堂DYメディアパートナーズもそうしたパートナー企業の1社で、同社はSales Promotion API扱う専門部隊として「SP EXPERT’S」を新設。「LINEのプラットフォーム上でありとあらゆる販促ソリューションを開発し、さまざまなメーカー様に提供している」と窪田充氏(以下、窪田氏)は話す。

 

これまでSP EXPERT’Sが担当した事例として、アサヒ飲料株式会社の「WONDA」でユーザー同士が貯めたポイントを競う「ランキングマイレージ」を活用した販促キャンペーンなど、4社の活用事例が紹介された。

「Sales Promotion APIを活用して私たちパートナー企業が汎用性の高い販促フレームをつくり、企画とセットでメーカーさまに提供していくことで、これまでにない新しい販促体験を生み出せると考えています」(窪田氏)

プレゼン中の窪田さん

LINEを活用したOMO型販促は広告枠ではなくサービスである

セッションの後半で、「Sales Promotion APIを使うことでどんな世界が広がるのか?」という江田の質問に窪田氏と高橋篤氏(以下、高橋氏)はそれぞれ回答した。

 

「購買行動を、まるでゲームに課金するようなワクワクする体験に変えられると思います。また、買い物がブランド体験の入り口として、企業とユーザーの新たな関係性を育むことになる。買い物そのものがコミュニケーションのツールになりえるのではないしょうか」(窪田氏)

 

「ビーコンやQRコードなどを活用することで、『買い場に近い場所』での販促やコミュニケーションのあり方が変わると思います。具体的には、小売流通とメーカーが共同で行うデジタル販促や、『店頭でLINEを開く方がお得だ』というユーザーの購買体験のあり方における変化などです」(高橋氏)

プレゼン中の高橋さん

そして最後に、サツドラ(サッポロドラッグストアー)でLINE Beaconを活用した「LINE POP Media(仮)」の実証実験の様子が紹介された。

 

「LINE Beaconを活用した販促施策より、ユーザーは店内限定のクーポンを受け取ることができます。実証実験の結果、店頭で受け取ったメッセージに気付かないユーザーもいるなどの課題が明らかになったので、今後、ポスターやサイネージなどの掲示物を通して店舗内でLINEを開いてもらえるように訴求していきたいと考えています」(高橋氏)

 

高橋氏の発言にあった「LINE POP Media(仮)」が実現すれば、LINEがこれまで提供している販促ソリューションと合わせて、店外告知から購買、再来店まで一貫した広告施策が可能になる。

図版

「LINEを活用したOMO型販促は、もはや広告枠ではなくサービス。その世界観をSales Partner、Technology Partnerのみなさんと推進していきたい」という江田の言葉で本セッションは締めくくられた。

 

LINEのプラットフォームとAPI、そしてTechnology Partnerの存在でアップデートされる顧客体験が、アフターコロナの世界でどのような広がりを見せるか、今後も注目したい。

 

 

(取材・文:相澤良晃、写真:山﨑美津留)