サービス情報 2019.06.26

テレビとデジタルの広告予算配分の最適解!「STADIA×LINE広告」の連携ソリューションとは?

(写真左から)
株式会社電通デジタル プラットフォーム部門 ソーシャルメディア部 LINEグループ 中西 りさ氏
株式会社電通デジタル プラットフォーム部門 ソーシャルメディア部 LINEグループ マネージャー 千葉 久暢氏
LINE株式会社 クライアントソリューション第2チーム マネージャー 小木曽 文章
LINE株式会社 アドリサーチチーム マネージャー 半田 剛一

広告業界でテレビとデジタルの差は埋まりつつあるものの、依然としてテレビの影響力は強く、その予算配分に悩みを抱える広告主は多いかもしれない。テレビとデジタルを、どのように組み合わせればよいのか――。そんな疑問に最適解を見出そうとするのが、STADIAとLINE広告(旧LINE Ads Platform)の連携による新ソリューションだ。


株式会社電通デジタル(以下、電通デジタル)と株式会社電通(以下、電通)が持つテレビの視聴データを活用できるSTADIAと、LINEが持つユーザーデータと組み合わせることで新たな広告価値を創出する本ソリューションの詳細について、各担当者に話を聞いた。

デジタル広告がテレビ広告に肉迫

2019年2月に電通が発表した「2018年 日本の広告費」によると、インターネット広告費は5年連続の二桁成長となる総額1兆7,589億円(前年比116.5%)に上った。一方、4大媒体と呼ばれる広告のなかでも影響力・リーチ力ともにトップの地上波テレビ広告費は1兆7,848億円で、前年比98.2%。結果を見れば「インターネット広告は、いまやテレビ広告と肩を並べる存在になった」と見ることができる。


こうした中、広告を出稿するマーケターを悩ませるのが「テレビか、それともデジタルか、その組み合わせ方はどうすればよいのか」という広告出稿戦略だ。老若男女が視聴するテレビは、不特定多数の視聴者に対して幅広くブランドを告知することができる。ただ、若年層を中心に“テレビ離れ”が進んでおり、テレビ広告だけではリーチできない層が増えている。デジタル広告はテレビを見ない若い世代に対して有効な媒体だ。


それぞれ一長一短あるだけに、どのように広告戦略を立てていくかが広告主の最大の関心かもしれない。そんな疑問を解決するのが、電通が提供する「STADIA」と「LINE広告」を組み合わせた新ソリューションだ。

「マス広告の可視化」電通が提供するSTADIAとは?

テレビという絶大な影響力を持つマス媒体の視聴データと、国内ユーザー8,300万人(2019年12月末時点)というデジタル分野のマス媒体であるLINEのデータを活用し、広告配信を伴いながら広告主が知りたい本当の広告効果を基に統合マーケティングの改善施策を導くーー。テレビの視聴データについては、前述の通り電通が提供する「STADIA」から取得している。では、「STADIA」とはどんなサービスなのか。


「STADIA」はテレビCMやデジタル広告への接触に伴うウェブサイト送客や会員登録といった行動喚起、また認知醸成や興味喚起といった態度変容の効果検証と改善施策を導くツールで、テレビ実視聴ログデータに基づき、個々の視聴者に向けてデジタル広告配信が行える統合マーケティングプラットフォームである。では、どのような方法で「マス広告の可視化」を実現するのか。


「これまで、オンライン上の大手プラットフォームでの配信は、テレビ実視聴ログデータを使ったターゲティングはできても、広告接触による心理変容やクロスメディアにおけるリーチへの貢献度を可視化することが難しいという課題がありました。今回、LINE社と協力してSTADIAの保有するTVCM接触データと、LINE社が持つ広告接触データを突合し、広告効果測定調査をLINEリサーチで行うことで、実ログに基づくリーチ計測とブランドリフト効果の可視化を実現しました」(電通デジタル 千葉氏)

「STADIA」について語る電通デジタルの千葉氏(左)と中西氏(右)

「STADIA」について語る電通デジタルの千葉氏(左)と中西氏(右)

また、連携する外部サービスにLINE広告を選んだ理由についてこう語る。


「サービスとしてのLINEは、リーチ規模が大きいだけでなく、世代や地域の偏りが少なく、デジタル広告のマスメディアといえる存在だと考えています。また、実ログデータに基づく配信を行おうとすると母数が限られボリュームが出せない問題がありましたが、LINE広告には質の高い類似拡張機能があるため、この機能を活用することでボリュームを出しながら特定のターゲットに対する配信をすることが可能になりました」(電通デジタル 中西氏)


今回の「STADIA」と「LINE広告」の連携のように、テレビCMとデジタル広告の融合が進むことにより、視聴者側にも広告主側にも変化が訪れる。


「視聴者側の視点で考えれば、普段の生活導線の中で、デバイスに依存せず自分が欲している情報に自然に接し、何度も同じ広告を見るという不快感が軽減されていくのではないでしょうか。広告主側として考えた場合、今までデジタルはターゲティングメディアとして高速でPDCAを回していましたが、TVCMと統合してクロスメディア、クロスフリークエンシーの検証が行えたことで、TVCMプランニングも含めたプランニングの精緻化が進んでいく可能性があると感じています」(電通デジタル 千葉氏)

ソリューション開発背景にあった広告主の課題

続いて、LINEの運用型広告「LINE広告」について掘り下げていく。まず、LINEの広告プロダクトのセールスを担当する小木曽は、今回の新ソリューションの意義について下記のように語る。


「STADIAとLINE広告を組み合わせれば、ターゲットとする層に広告を配信し、なおかつテレビ広告を視聴した層とLINE広告に接触した層、または両方に接触した/しなかった層をさまざまな角度で比較・分析して効果を検証できます」(LINE小木曽)

サービスについて語るLINEの小木曽(写真右)
サービスについて語るLINEの小木曽(写真右)

特筆すべきは、これまで捉えきれなかった「テレビを観ていない層」の嗜好や変化もトラッキングできること。これまで、広告業界では「テレビ広告の訴求は限界があるのではないか」「若い層に届いていないのではないか」という漠然とした疑問があったが、このソリューションを活用することで、広くテレビとデジタルの今のリアルな実態を検証することができる。


「また、『デジタルに触れていない層』がテレビ広告を経由することで、認知度や購買意欲にどんな変化があるのかも分析できるようになります。まさに、デジタルとテレビの境目が融和することで、これまで知り得なかった広告主さまの疑問に総合的に答えることができるソリューションです」(小木曽)

広告主の課題解決に役立つ理由

このソリューションによって、具体的にどんなことが分かるのか。先行ユーザーである消費財メーカーA社は、テレビとLINE広告の両方で広告を展開し、ブランドリフト効果について検証した。詳細について語ってくれたLINEのアドリサーチチーム・半田剛一の解説とともに紹介する。

A社では2018年秋、同一の動画コンテンツでテレビ広告とLINE広告への広告出稿を展開した。キャンペーン終了後、LINEリサーチでアンケートを取り、ブランドリフトの実態調査を実施。アンケートの対象は、STADIAのデータを元に「テレビ広告/LINE広告の接触者」と「非接触者」に分けられる。


※詳細はこちら(MarkeZine掲載記事)

  • アンケート対象詳細
  1. テレビ広告だけに接触した層
  2. LINE広告だけに接触した層
  3. 両方に接触した層
  4. 両方に接触しなかった層

「結果、ブランドリフトは(1)テレビ広告、(2)LINE広告、(3)両方の3層すべてで向上していたことが分かりました。購入意向になると、(2)のLINE広告だけに接触した層が最も高かったものの、ブランドの好意度は(3)テレビ広告とLINE広告の両方に接触した層が最もリフト値が高くなりました。これにより、テレビ広告とLINE広告、両方をうまく活用することで、ブランドリフト効果を最大化できることがわかりました」(半田)

検証結果について語るLINEの半田

検証結果について語るLINEの半田(写真左)


当然ながら、結果は扱う商材の特性やターゲット層によって変化すると考えられる。とはいえ、STADIAデータとLINE広告のデータを組み合わせることで、「どの広告に接触した人に、どれだけの心理的変化があったか」を数値化できたことは、広告主にとっても大きな意味を持つ。


「テレビをあまり見ない若年層にリーチするため、デジタルへの投資を増やしたい企業の場合、この結果を元に最適な予算配分やデジタル改善施策を考えることができます。一方、これまでデジタル広告に注力してきた企業も、テレビ広告に興味を持つきっかけになるかもしれません」(半田)


A社の場合、テレビ広告もデジタル広告もブランドリフトに効果があることがわかった。調査ではさらに、テレビ広告とデジタル広告について「それぞれ何回接触させれば、効果を最大化できるのか」という検証も行っている。

他社調査にはないメリット

実は既存の調査会社でも、似たような調査サービスを提供しているところがある。こうした既存調査に比べ、LINEリサーチはLINEユーザーという圧倒的な規模のパネルを持っているため、その分析結果の精度が非常に高い。


LINEリサーチ サービスページ

加えて、既存調査会社の持つ調査パネルは長年にわたって構築されており、調査慣れした回答者も目立つが、LINEリサーチではスマホを日常的に使っている「普通」の感性を持つユーザーが数多くいるため、調査結果も一般的な感覚値と差異がない。


「アンケート調査もLINEプラットフォームを使って行うため、調査開始から分析までスピーディーに進めることができます。また、単にスピードが速いだけでなく、専門のアナリストが目的に合わせ、サンプリングユーザーの設計から設問設計、ウェイトバック、分析を行うので、安心してお任せいただけます」(半田)

LINEリサーチの半田

では、広告配信対象となるサンプリングは、正しく抽出されているのか。LINE広告では、ターゲットとなる層を最大化して広告効果を高めるための拡張配信を行っている。ターゲット層の属性を基に似た属性を持つユーザーをターゲティングし、広告配信を行う機能だ。これが機能していなければ、当然ながら分析結果の信頼性は揺らぐ。


「実は今回、A社の施策において、LINE広告の拡張配信精度についても検証しました。種としたのは、STADIAにある『テレビをあまり観ない層(ライトビューワー層)』です。アンケートによってテレビ視聴時間やA社のテレビ広告認知度を尋ねたところ、種となったSTADIAのライトビューワー層と、拡張配信でセグメントされた層が非常に似ていることが判明し、拡張配信の精度が高いことが実証できました」(半田)


STADIAとLINE広告の連携による新ソリューションは、こうしたサンプリングや調査の信頼性が担保されたうえで提供されている。デジタルとテレビの融合が進むなか、このソリューションが悩める広告主の課題解決の一助となることを期待したい。