新機能で進化するLINE公式アカウントのユーザーコミュニケーション
LINEが提供する法人向けアカウントにおける「Redesign(以下、リデザイン)」の核となる、LINE公式アカウントの新プラットフォームが、2019年4月18日にリリースされました。以降、企業や店舗とユーザーのコミュニケーションを進化させるため、メッセージ機能にさまざまな新機能が加わっています。本記事では、LINE公式アカウントの現状や新たなメッセージ機能、そして今後の展望などについて、以下のメンバーに話を聞きました。

LINE株式会社
執行役員 兼
プロダクトマネジメント本部 事業本部長
二木祥平

LINE株式会社
アカウントセールスプランニング室 室長
小川隆行

LINE株式会社
アカウントプロダクトマネジメント室 マネジャー
門田勘太朗
新料金プラン提供開始後、約400アカウントが新規開設
――はじめに「リデザイン」をスタートさせた経緯について教えてください。
小川 これまでLINEには「LINE公式アカウント」「ビジネスコネクトアカウント」「カスタマーコネクトアカウント」「API型公式アカウント」「LINE@」と、5種類の法人向けアカウントがありました。それぞれ料金体系や機能が異なり、「わかりにくい」「使いづらい」といった声があったため、ユーザー利用を促進する商品設計を目指して、これらのアカウントを「LINE公式アカウント」に統合して、機能の充実を目指すのがリデザインの概要です。
実はこのリデザイン構想は数年前から存在していましたが、大規模なサービス改定が予想されたため、社内で慎重に議論を重ねてきました。営業、事業企画、開発サイドも含めて各部門で意思統一がとれたことで、2017年夏頃から本格的に取り組みをスタートし、2018年に新たな料金プランの提供を開始し、その後2019年4月18日には新プラットフォームでの「LINE公式アカウント」を正式にリリースしました。

主に事業企画サイドとして、LINE公式アカウントに携わる
――リデザインにおける、主な変更ポイントについて教えてください。
門田 アカウントの統合に伴って料金体系の一本化も行いました。新料金プランでのLINE公式アカウントは無料から始められる「従量課金制」を採用しました。企業や店舗それぞれの用途や目的に合わせて、フレキシブルな利用が可能です。

主に企画サイドとしてLINE公式アカウントに携わる
小川 規模が大きい企業についていえば、新料金プランの提供を開始した2018年12月以降の約半年間で約400アカウントを新規に開設いただきました。旧料金プランのLINE公式アカウントの増加ペースと比較しても、利用促進が進んでいるのは明らかです。
新規開設いただいた中には、大手の消費財メーカーや飲料メーカーなどもあり、今後、いかに利便性の高いサービスを提供した上で、これらの企業と成功事例をつくっていけるかも課題となります。
二木 LINE公式アカウントの料金体系が従量課金制となり、今後は「1通1通のメッセージの価値」を意識する企業や店舗が増えていくと考えています。そのため、よりユーザー一人ひとりの興味や関心に合ったメッセージを届けると同時に、企業や店舗から送られるメッセージ効果を最大化し、配信にかかる手間の軽減を目指すため、メッセージ機能に改良を加えています。

LINE公式アカウントなどをはじめとした法人向けプロダクト全般を統括する
企業や店舗、ユーザーともに利便性を高める新機能
――LINE公式アカウントのメッセージ機能が進化すると、企業や店舗、そしてユーザーにはそれぞれどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
門田 私たちが目指す世界観は、ユーザーにとって最適な情報が最適なタイミングで届く状態です。また、メッセージの配信元である企業や店舗のコストパフォーマンスも改善するために、LINE公式アカウントの管理画面である「LINE OFFICIAL ACCOUNT MANAGER」に追加する新機能を企画しています。
機能① Event Tracking

「メッセ―ジが受け取られた回数」「メッセ―ジに埋め込まれたURLがクリックされた回数」「動画再生回数」などのデータを閲覧できるようになる分析機能。この機能で得られた分析結果を次の配信に生かすことで、配信内容の改善につなげられる。
「メッセージ作成のノウハウを蓄積するだけでなく、他のWeb広告などと比較した際のLINE公式アカウントにおけるメッセージ配信効果を事実ベースの数値として確認できます」(門田)
機能② A / Bテスト

メッセージの開封率やクリック率を大きく左右する「クリエイティブ」の改善に役立つ配信機能。クリエイティブを配信する友だちの範囲や配信日時を設定できるほか、管理画面で配信プレビューも確認できる。
「複数パターンのクリエイティブを作成して配信することで、ユーザーがどのクリエイティブに最も反応しているかを検証でき、メッセージの価値を高められます」(門田)
門田 さらに、上述した分析機能と配信機能を組み合わせて、メッセージに対する反応が良いユーザーのみに絞った「リターゲティング配信」も企画中です。また、今後、管理画面上にLINE広告(旧LINE Ads Platform)のCPF*(Cost Per Friends)の入札機能を加えるのに伴い、KPI管理の効率性を踏まえて、友だち獲得数を経路別に確認できるようにする予定です。
「LINE広告」のインフィード広告を通じて、ユーザーに友だち追加を促すメニュー。友だち追加数に応じて費用が発生する追加課金型のため、LINEスタンプを活用した施策よりも安価にプロモーションを行えるのが特徴
ビジネスでも、「LINEらしさ」を大切に
――LINE公式アカウントは今後どのような方向性で進化していくのでしょうか?
二木 普段、LINEでユーザー同士が対話しているように、LINE公式アカウント上で行われる企業や店舗とユーザーのやりとりも、一方通行ではない「コミュニケーション」や「人肌感」を大切にしたいと考えています。
管理画面の統計メニューの拡充や、通知一覧をタブに加えたりするなどしてユーザーのリアクションを追いやすいようにUI改善を加えたのも、「ユーザーとコミュニケーションを取っている」という実感を、企業や店舗の方に持っていただきたいからです。
また、LINEチャットで企業や店舗とユーザーが会話をする際、チャットにタグ付けができるので、今後、One to Oneの自然な会話から得られた情報をもとにセグメント配信を行うことができれば、今よりもっとLINE公式アカウントにも「LINEらしさ」が出てくるはずです。

あらかじめ管理画面で設定された回答メッセージを送信することで、自然な会話が成立する
―最後に、今後の展望について教えてください。

門田 LINE公式アカウントから送られてくるメッセージを見たユーザーが、広告であって広告でない、「友だち」とのコミュニケーションに近いと感じてもらえるような世界観を構築したいです。それを実現するため、今後も新たな機能の開発を進めていきます。
小川 規模を問わず、より多くの企業や店舗にLINE公式アカウントを使っていただきたいです。ユーザーと向き合う中で得られた気づきや情報を社内にフィードバックすることで、LINE公式アカウントの利便性を一層高めていきたいですね。
二木 既存の広告チャネルにはない強みが、LINEにはたくさんあります。中でも、「トークルーム」という、LINEを特徴づける最もコアな空間を最大限に活かして、LINE公式アカウントをユーザーにとって本当に便利なサービスへと育てていきたい。社内体制も“リデザイン”されて、これまでにないスピード感で新機能の実装が進んでいます。ぜひ、期待してください。
(取材・文:相澤良晃、写真:山﨑美津留)
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