リターゲティング広告の仕組みとは? 効果的な活用方法と運用のポイント
リターゲティング広告は、商品・サービスの購入や資料ダウンロードなど、アクションする確度の高いユーザーへ配信できるWeb 広告です。商品やサービスを販売しているWebサイトへ訪問履歴のあるユーザーに対して、一定期間後、訪問したWebサイトや商品・サービスに関連する広告を配信するため、コンバージョン率のアップが期待できます。このコラムでは、リターゲティング広告の仕組みや配信可能な媒体、利用するメリット・デメリットなどの基本的な項目について紹介します。
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目次
リターゲティング広告とは

リターゲティング広告はWeb広告の一種で、その名称「Re targeting」の通り、過去にWebサイトを訪問したことのあるユーザーに対して配信される広告です。
ユーザーがすでに知っている商品やサービスに関する広告が表示されるので、商品やサービスについて何も知らないユーザーに広告を表示するより、コンバージョン率が高くなる傾向があります。
リターゲティング広告の配信先は、Webサイトや動画配信サイト、アプリ、SNSなどさまざまです。
広告の出稿にかかる費用は、「クリックされた回数」や「広告が表示された回数」によって左右され、広告配信者は月にかける費用上限を設定できます。
リターゲティングとリマーケティングは本質的には同じ意味
リターゲティングと似た言葉に「リマーケティング」があります。字面は異なりますが、本質的には同じ意味です。
広告媒体によって名称が違うというだけなので、表現の違いについて気にする必要はありません。
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リターゲティング広告の仕組みについて

リターゲティング広告は、Webサイトへの訪問履歴があるユーザーに対して、一定期間後に再アプローチできます。その仕組みについて紹介します。
リターゲティング広告は、WebサイトのCookie(以下、クッキー)で訪問ユーザーをリスト化し、その情報を基に広告を配信します。クッキーとは、Webサイトに訪問したユーザーの情報を保存する仕組みを指します。一度ログインしたショッピングサイトを再訪問した際、ログイン状態が維持されていることがあります。これはWebサイトに保存されているクッキーが機能しているためです。
リターゲティング広告を実施する場合は、まず、リターゲティング広告を配信するために必要なクッキーを収集するため、あらかじめ自社のWebサイトに「タグ」を埋め込む必要があります。訪問ユーザーには、埋め込まれたタグによりクッキーが付与されます。それに基づきリスト化された情報を活用して、広告主はリターゲティング広告を配信できる仕組みです。
例:美容サイト訪問ユーザーへのリターゲティング広告配信までの流れ

美容サイトに訪問履歴のあるユーザーにリターゲティング広告が配信される流れを、以下の例をもとに説明します。
1.オールインワンジェルを販売する美容サイトに「タグ」を設定
2.ユーザーがオールインワンジェルを販売している美容サイトを訪問する
3.タグによりサイト訪問ユーザーにクッキーが付与される
4.ユーザーのクッキーがWebサイトに保存される
5.クッキーに基づきユーザーの情報をリスト化
6.リスト化された情報を活用して、リターゲティング広告を配信
ユーザーのクッキーには、「サイトを閲覧しただけで離脱した」「商品詳細ページまで訪問した」「カートに入れたが購入には至らなかった」「商品を購入した」など細かな行動情報が含まれます。
このような情報を基にユーザーをリスト化し、「商品詳細ページまで訪問したユーザーに、同一商品の広告を3日後に出す」などと設定して、リターゲティング広告を配信します。
リターゲティング広告のメリット

リターゲティング広告は、サイト訪問ユーザーが取った行動別に細かく分類した上で配信します。商品やサービスに対する温度感に合わせてユーザーが欲している情報を広告として出せるため、コンバージョン率アップが期待できます。
コンバージョン率が上がる一因としては、他社製品と比較・検討するために一度Webサイトを離脱したユーザーに広告を配信することで、離脱ユーザーを取り戻しやすいためとも考えられます。
配信ターゲットを絞り込める
リターゲティング広告はWebサイトのクッキーを基に配信ターゲットを絞り込めるため、一斉に広告を配信する場合より顧客獲得単価(CPA)の抑制が期待できます。
また、クッキーを基にすれば、「購入済ユーザーには配信しない」「カゴ落ちしたユーザーにだけ配信する」といった除外設定もできるため、広告の“無駄打ち”も防ぐことができます。
コンバージョン率が高い
リターゲティング広告は、商品やサービスについて認知しており、比較・検討にかかる情報収集もしくは実際に購入するためにWebサイトを訪れた経験のあるユーザーに対して配信されます。
すでに商品やサービスについてある程度把握しており、購入や資料ダウンロードなどアクションする確度の高いユーザーに対して広告が配信されるため、新規ユーザーや潜在ユーザーに向けて配信する広告より、コンバージョン率が高くなりやすいです。
比較・検討のため離脱したユーザーを取り戻しやすい
Webサイトへ訪問したユーザーには、即決して商品やサービスを購入するユーザーもいますが、他社製品と比較・検討するために一度Webサイトを離脱するユーザーもいます。
特に企業向けの商品やサービスは単価が高く、導入までのリードタイムが消費者向けのものより長くなるのが一般的です。そのため、リターゲティング広告はユーザーがWebサイトに訪問してから一定期間が経った後、自社製品を思い出してもらう際にも効果的です。
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リターゲティング広告のデメリット

リターゲティング広告は、ユーザーに商品やサービスを想起してもらうのに役立ちますが、Webサイト上に何度も同じ広告が表示されると、ユーザーの中には「わずらわしい」と感じる人がいるかもしれません。
リターゲティング広告が苦手とすることやデメリットについて紹介します。
ユーザーにマイナスイメージを持たれる可能性がある
Webサイトに何度も同じ広告が表示されると、不快に感じるユーザーもいます。実際、「広告 消す」「広告 ブロック」というワードでネット検索をするユーザーも多く、そのようなニーズに応えるため、広告をブロックするためのアプリが存在するほどです。
繰り返し表示される広告については、商品やサービスだけでなく、提供元の企業・店舗にもネガティブな印象を持たれかねないため、注意してください。
新規ユーザーや潜在ユーザーの取り込みには不向きである
リターゲティング広告はWebサイトへの訪問履歴のあるユーザーに対して配信されるため、潜在ユーザーや新規ユーザーの取り込みには向いていません。
潜在ユーザーや新規ユーザーの取り込みには、リターゲティングではないターゲティング設定のほか、SNS広告 、インフルエンサーとのタイアップ広告など別の手法を検討してください。
広告担当者の教育コストがかかる
リターケティング広告に限らずWeb広告全般に当てはまることですが、運用型広告の実施や改善は担当者の経験や知見に大きく左右されます。
運用型広告は純広告と異なり、ターゲティング・入札・クリエイティブについて常に見直しが求められるので、担当者がカバーすべき領域も自然と広がります。そのため、担当者の教育コストがかかり、外部のパートナーに運用を委託する際は別途コストが発生します。
また、テキストやクリエイティブなど広告そのものだけではなく、遷移先となるLPの品質など周辺施策の見直しも必須です。常にPDCAサイクルを回す必要があるため、自社での運用を行う場合も、パートナーに運用を委託する場合も、中長期で取り組む意識を持ってください。
リターゲティング広告の費用の目安について

リターゲティング広告の配信にかかる費用は、ターゲットの設定、想定するインプレッションやクリック数によって費用が異なります。
ここでは、どういったポイントで配信費用がかかるのかについて紹介します。
リターゲティング広告の配信でよくある課金方式は以下の2つです。
・クリック課金
・インプレッション課金
1日あたりにかける費用は、広告を配信する企業・店舗が上限予算を設定できるため、必要以上に予算をかけて広告を配信してしまう心配はありません。
課金方式:クリック課金とは
クリック課金は、広告がクリックされると料金が発生するシステムです。広告が表示されただけでは課金されません。
広告に興味のないユーザーはクリックしないため、表示されるだけで課金されるインプレッション課金よりも高い費用対効果が期待できます。
課金方式:インプレッション課金とは
インプレッション課金は、広告の表示回数によって料金が発生するシステムです。この方式では、クリックされたかどうかに関係なく課金されます。
広告を見たユーザーが商品やサービスを購入したかどうかに関係なく課金されるため、広告費用のコントロールしやすいものの、費用対効果が悪くなる可能性があります。
1日あたりの広告費用は上限を設定可能
リターゲティング広告は、1日あたりの広告費用の上限を設定することができます。これにより、予算を必要以上に消化してしまう恐れはありません。
予算の範囲内で運用できるため、最初は少額から運用を始めて、配信効果を確認しながら1日あたりにかける費用を徐々に増やしましょう。
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リターゲティング広告のフォーマットについて

リターゲティング広告の代表的なフォーマットについて紹介します。基本的には以下の3種類となります。
・Webサイト向けのバナー広告
・動画サイト向けの動画広告
・リスティング広告
Webサイト向けのバナー広告
バナー広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告を指します。画像だけでなく、動画を表示することもできます。動画広告はテキストや画像を使った広告に比べて情報量を多く盛り込め、ユーザーの印象に残りやすいという特長を持ちます。
動画サイト向けの動画広告
YouTubeなどの動画サイト向けの広告を指します。広告主のWebサイトを一度でも訪問したことがあるユーザーに対して再生される動画広告です。ユーザーの視聴実績に基づき、パーソナライズして動画広告を配信できるのも大きな特長です。
リスティング広告
リスティング広告は、検索結果に表示されるテキストタイプの広告を指します。表現方法がテキストのため、目にしたユーザーに「自分が抱えている課題が解決できそう」と考えてもらえるようなライティングスキルが求められます。
リターゲティング広告運用のポイント

リターゲティング広告の配信効果を上げるには、収集したクッキーを商品やサービスに対するユーザーの温度感に合わせて分類し、それぞれに適した広告を配信することが重要です。
ユーザーの離脱ポイントに応じて広告を配信
商品やサービスに対する温度感の高低は、ユーザーがWebサイトのどのページで離脱したかによって判断できます。
たとえば、Webサイトのトップページで離脱するユーザーは、商品の詳細ページまでたどり着いておらず、購入意欲が低いと考えられます。一方、商品詳細ページで離脱するユーザーは、他社製品との比較・検討のために離脱した可能性もあるため、トップページで離脱したユーザーよりも商品の購入意欲が高いと考えられます。
この2者に対して同じ内容の広告を配信すると、どちらか一方あるいはどちらにとっても「自分ゴト」化できない広告になる可能性があります。
リターゲティング広告配信時は、ユーザーの離脱ポイントやその時の心理を考えた上で広告を作成し、配信することが大切です。
リターゲティング広告の配信時期にも注意を払う
商品詳細ページまでたどり着いたものの、他社製品との比較・検討のために離脱したユーザーに対してリターゲティング広告を配信する場合、タイミングも重要です。
離脱直後にリターゲティング広告を配信すると「わずらわしい」と思われるかもしれません。しかし、サイト訪問から数日経過した頃なら、他社製品との比較・検討も済み、購入を検討するタイミングになっているでしょう。
ユーザーにとっての適切な配信時期については、一概に論じることはできません。自社で立てた仮説に基づき配信したリターゲティング広告の配信効果を計測し、得られたデータからベストな配信時期を決定しましょう。
配信効果の分析に使う指標は共通化する
リターケティング広告の分析に使用する指標は、各マーケティングツールで共通化しましょう。
単語は同じでもマーケティングツールによって測定方法が異なるケースもあります。例えば、同じ期間にコンバージョンした数であっても、
・コンバージョンした総数
・コンバージョンしたユーザー数
でコンバージョン数に違いが出ることがあります。
1人のユーザーが商品をリピート購入して合計2回を購入した際に、「総数」をカウントする場合は商品を2回購入してくれたので2コンバージョン、対して「ユーザー数」をカウントする場合は購入したユーザーは1人なので1コンバージョンとなります。
このように、同じ指標で比較しているが実は異なる数値だったということもよくあります。配信効果を振り返る際、どのような指標で表れる数値が必要なのか、その数値を計測するにはどのようにすればいいのかを検討しましょう。実際に広告を配信する前に検討できると、その後の運用改善がスムーズになるはずです。
LINE広告における「リターゲティング配信」

LINE広告にはさまざまな配信機能があり、「オーディエンス配信」の一部として「リターゲティング配信」が可能です。
豊富な利用ユーザーを生かして、配信量を確保
LINEは9,500万人(2023年3月末時点)の月間利用者を擁しています。例えば、LINE経由で商品を初回購入したユーザーに広告を配信する「リターゲティング配信」では、膨大なLINEユーザーから該当するユーザーを探し出して広告を配信するため、配信量の確保が期待できます。
また、他のSNSと比べてユーザー数が多いLINEに広告を配信できるLINE広告は、配信面がトークリスト、LINE NEWS、LINE VOOMなど多岐にわたります。そのため、インプレッションやクリック数のアップも期待できます。
クッキー規制が進む中、LINEを活用した広告配信がおすすめ
リターゲティング広告の実施にはクッキーが必須ですが、昨今は個人情報保護の観点からクッキーの利用制限が進んでおり、主要なWebブラウザではクッキーの発行に制限がかかりつつあります。クッキーの発行に制限がかかると、Webサイトを訪問したユーザー情報のリスト化ができず、リターゲティング広告の実施が難しくなります。
LINE広告では、広告配信を効率よく行うためのターゲティング設定として「オーディエンス」の作成・活用がおすすめです(詳しくはこちら)。
特に「LINE公式アカウントの友だちオーディエンス」を活用して広告を配信できるのは、LINE広告ならではの特徴です。ただし「ウェブトラフィックオーディエンス」については先述したクッキー規制を受けるので、注意が必要です。
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リターゲティング広告の積極活用でコンバージョン率アップを目指す
リターゲティング広告を活用することで、自社の商品やサービスに興味・関心のあるユーザーに効率良くアプローチすることが可能です。
他社製品との比較・検討のために一旦サイトを離脱したユーザーにも再アプローチが可能なため、コンバージョン率のアップが見込めます。
商品やサービスに対する温度感に合わせて広告の内容や遷移先を変更すれば、より配信効果を高められるでしょう。まずはリターゲティング広告に必要なデータ収集を行い、少額から運用を始めてみましょう。
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