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潜在顧客からファンへ――ヤッホーブルーイングが考える友だちの価値とは

株式会社ヤッホーブルーイング

2021.09.10

株式会社ヤッホーブルーイング
よなよなピースラボ(CRM設計・CXデザインユニット)
酒井 萌氏(写真右)、大野 茜氏(写真左)

「よなよなエール」をはじめとするクラフトビールの製造・販売を行う株式会社ヤッホーブルーイング(以下、ヤッホーブルーイング)は、ビールづくりだけでなく、顧客をブランドのファンと捉えたファンマーケティングでも注目を集めてきました。


以前からSNSを通じてファンとの関係を築いてきた同社は、2019年9月にLINE公式アカウントを開設。友だちを増やすために取り組んだ「LINE広告(友だち追加)」「LINEプロモーションスタンプ」や友だちとのコミュニケーション方法について、酒井萌氏(以下、酒井氏)と大野茜氏(以下、大野氏)に話を聞きました。

 

目的
  • メールマガジンに代わる新たなコミュニケーションツールを持ちたい
  • ブランドの潜在的な顧客とつながりを持ちたい
  • LINE公式アカウントの友だちを大幅に増やしたい
施策
  • メールマガジンに代わるツールとして、2019年9月にLINE公式アカウントを開設
  • メッセージはユーザーの熱狂度(※)に応じて内容を出し分けて配信
  • LINE公式アカウントの友だちを効率的に増やすため、「LINE広告(友だち追加広告)」を定期的に配信
  • 友だちを増やす施策として、低予算から実施が可能な従量課金制の「CPDスタンプ」を実施
効果
  • 他SNSと比較して幅広い年齢層のほか、まだ製品の飲用歴がないユーザーとコミュニケーションが可能に
  • メッセージ配信をきっかけにWebサイトを訪問するユーザーが増加し、クラフトビールに対する好感度も全般的に向上
  • 「LINE広告(友だち追加広告)」と「CPDスタンプ」により、友だち数が大幅に増加

※株式会社トライバルメディアハウスが提唱する「熱狂ブランドマーケティング」に基づいて算出した、ブランドに対する顧客の愛情の強さを表す指標

 

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ファンとの新たなコミュニケーション手段として、LINE公式アカウントを導入

1997年からクラフトビールの製造および販売を行うヤッホーブルーイングは、同社の人気製品「よなよなエール」をはじめ、「水曜日のネコ」「インドの青鬼」などユニークなネーミング、遊び心あるパッケージで、幅広いユーザー層から支持されています。

また、クラフトビールをより楽しんでもらうため、公式Webサイト「よなよなの里」では、ECだけでなくビールの楽しみ方やクラフトビールに関する豆知識、ビールを引き立たせるおすすめメニューなど多彩なコンテンツを掲載。さらに、ファンイベントの実施やクラフトビール体験に焦点を当てた情報発信なども積極的に行い、“顧客”から“ファン”へと熱量を高めていく活動に注力しています。

 

その戦略の下、ヤッホーブルーイングはファンに情報をダイレクトに届けるため、各種SNSの運用に注力してきました。コンテンツ制作チームが運用するTwitter、Facebook、Instagramのほか、ファンイベントを担当するチームはYouTubeやSpotifyを活用し、多角的に情報を発信してきました。これらに加え、CRM設計・CXデザインユニット「よなよなピースラボ」が2019年9月に導入したのがLINE公式アカウントです。

 

LINE公式アカウントを導入した目的について、よなよなピースラボに所属する酒井氏は「もともとはECを利用したことのある『よなよなの里』の会員向けに配信していたメールマガジンの代替手段として運用を開始しました」と振り返ります。

 

「当社では以前より既存会員に向けたメールマガジンを配信してきましたが、開封率の鈍化という課題に直面していました。メールマガジンに代わり、お客さまとしっかりつながることができるコミュニケーション手段を模索していたときに注目したのがLINE公式アカウントです。導入当初は既存会員の方や当社が運営するSNSのフォロワーの方などを中心にLINE公式アカウントの告知を行い、少しずつ友だちを増やしてきました」(酒井氏)
 

株式会社ヤッホーブルーイング よなよなピースラボ(CRM設計・CXデザインユニット)
酒井 萌氏

反応率の良さ、きめ細かなコミュニケーションの実現がLINEの魅力

LINE公式アカウントからのメッセージは週に一度、製品の紹介からクラフトビールの楽しみ方や豆知識まで、ユーザーが楽しめるコンテンツを中心に配信しています。運用に際しては、ユーザーの満足度や関心度を評価するため、メッセージの開封率やクリック率、ブロック率のほか、オンラインストアとの連携によって毎月の売り上げにどのくらい貢献したかを重視してきました。

ヤッホーブルーイングのLINE公式アカウントの配信画面

さらに、友だちにアンケートを取ることで、購買頻度やブランドへの好意度の指標としている「熱狂度」を測定。それぞれの結果を基に友だちをセグメントし、メッセージを出し分けてコミュニケーションをとっています。

 

酒井氏と同じく「よなよなピースラボ」に所属する大野氏は、LINE公式アカウントを次のように評価します。

 

「メールマガジンと比較してメッセージの開封率が高く、伝えたい情報をもれなく伝えられる点がLINE公式アカウントの強みです。年末に販売している福袋やオンラインのファンイベントなど、広く告知したい情報は一斉配信で案内します。一方で、地域ごとにメッセージを出し分けることができるので、公式ビアレストランなどの情報は該当地域に限定して配信しています。ユーザーに合わせたきめ細かいコミュニケーションが取れる点、クリエイティブの自由度が高く、製品を効果的に訴求できる点も評価しています」(大野氏)
 

株式会社ヤッホーブルーイング よなよなピースラボ(CRM設計・CXデザインユニット)
大野 茜氏

年に2回ほど行っている各SNSのユーザー調査によると、LINE公式アカウントの友だちは他SNSに比べて年齢層が幅広く、ヤッホーブルーイングのライトなファンから熱量の高いファン、または「商品を飲用していないが、クラフトビールに興味がある」という潜在層に至るまで多様性に富んでいることが判明しました。

 

こうした調査結果を踏まえ、他社のLINE活用事例も参考にしながら、「ビール愛好家が多い30代後半〜40代の男性をメインターゲットに、『よなよなの里』の既存会員だけでなく、新規ユーザーともつながりを強化することで、ファンになっていただくことができるのではないか」と仮説を立てます。そして2020年に入り、より多くの友だちを増やしていくために新たな施策を実施することにしました。

潜在的な顧客とつながるために、LINE広告(友だち追加)とCPDスタンプを実施

最初に取り組んだのは、LINE広告を活用してLINE公式アカウントの友だちを増やす「LINE広告(友だち追加)」です。2020年の3月と4月に、ターゲット層である30代後半〜40代男性を対象に広告を配信。その後は一時配信を停止したものの、定期的な広告配信の実施に切り替え、友だち数を増やしていきました。

 

当初はターゲットやペルソナに近いユーザーを対象に広告を配信していましたが、より幅広いユーザー層を増やすため類似配信の比率を調整したり、LINE公式アカウントのデータをLINE広告の配信に活用する「クロスターゲティング」で効率性とターゲティング精度を高めたりしながら、広告配信を最適化していきました。

 

配信に利用するクリエイティブは、ユーザーの「(ヤッホーブルーイングのビールを)飲んだことはないが、店頭で見たことがある」「パッケージが気になっていた」という声を参考に、缶のデザインが一目で視認できるように工夫しています。キーブランドである「よなよなエール」の缶パッケージは必ずクリエイティブに反映し、かねてからヤッホーブルーイングの製品に興味を持っていたユーザーの目を引くようにつくり込みました。
 

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実際の広告クリエイティブ

その結果、友だち数とともに、メッセージ配信をきっかけにWebサイトを訪問するユーザーも増加し、クラフトビールに対する好感度が全般的に向上しました。さらに、リッチメニューでオンラインストア限定の「クラフトビールはじめてセット」を訴求して購入を促しつつ、定期的にクラフトビールの楽しみ方を配信することで、将来ブランドのファンとなり得る友だちとのつながりを創出・強化することができました。

 

このつながりをさらに拡大・強固なものにするべく取り組んだのが、LINEプロモーションスタンプの「CPDスタンプ」です。CPDスタンプは、「ダウンロード数×ダウンロード単価」で実施できる従量課金制のため、低予算からスタンプ施策が実施できます。

 

酒井氏はCPDスタンプを実施した背景について、「以前から『LINEスタンプを配布してほしい』というご意見をファンの方から多数いただいていたため、そうした声に応えると共に、友だち数の拡大に期待していました。また、CPDスタンプは予算に合わせて柔軟に実施できるため、LINEプロモーションスタンプの効果を検証する施策としても実施しやすい点を評価しました」と説明します。

 

スタンプのクリエイティブに採用したのは、同社の人気製品「僕ビール君ビール」の缶に描かれているキャラクターのかえるくんです。

 

「製品のリニューアルから1周年のタイミングでさまざまなキャンペーンを企画していたので、そこに合わせる形で2021年4月27日にLINEスタンプを配布しました。ターゲットはこの製品のファンの方、そしてビールが好きという方々です。軽やかな『僕ビール君ビール』の製品イメージを損なわないように、缶のデザインを踏襲しつつ、ターゲット層に該当する社員にもヒアリングを重ねてスタンプの制作を進めました」(酒井氏)
 

ヤッホーブルーイングが配布したLINEスタンプ
※配布・利用期間は終了しています。

CPDスタンプの配布に当たり、ダウンロード上限数は5万人に設定。KPIはスタンプダウンロード後の平均的なブロック率を踏まえ、ターゲットリーチ(有効友だち)数を1万5,000人と仮定し、全体的な友だち登録単価と有効友だちの登録単価を定めました。

 

「LINEスタンプリリース後、反応を見てさらに1万ダウンロード上限数を上げました。定量的には目標数値を達成し、半月で一気に数万人もの友だちを増やすことができました。広告配信でも及ばないほどの友だち数を短期間で得られたので、その反応の大きさに驚きました」(酒井氏)。

 

また、LINEスタンプの配布によって嬉しい効果も得られました。

 

「普段メッセージ配信をしても、メッセージを受け取ったユーザーの声が届くことはなかなかありませんが、CPDスタンプを実施後は『すぐダウンロードしました』『早速使ってみました』とSNSでシェアしている方がとても多かったんです。それが個人的にはとても嬉しく、ファンの方、クラフトビールに興味がある方にしっかり届いたという実感がありました」(酒井氏)

将来的な“第2の自社サイト”としてLINEに期待

今後の展開として、ヤッホーブルーイングでは大きく2つの目標を掲げています。一つはLINEでのコミュニケーションをよりきめ細かく、ユーザーに寄り添ったものにしていくこと。もう一つは、ファンイベントの参加者から店頭での購入者まで、幅広いユーザーとLINE公式アカウントを通じてつながりを持ち、ユーザーの熱量を高めてファンとしてつながり続けていくことです。

 

「当社のユーザーの中でも、特に熱量の高いファンは、製品を他のユーザーに勧める推奨度が高く、ファンがファンを呼ぶというサイクルが見られます。LINE公式アカウントの友だち数が増えてきたので、今後はLINE公式アカウントをモバイルの公式サイトのような役割として使い、ファンとのコミュニケーションの基盤を固めていきたいと考えています。LINEギフトのようなサービスを活用してファンがファンを呼ぶ活動を促したり、将来的には『よなよなの里』とLINE公式アカウントとの連携を進めていったり、自社サイトのように活用していけるような構築を目指していけたらと思います」

 


(公開:2021年9月/取材・文:岩崎史絵)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
 

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