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国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」が、LINE公式アカウントで提供した新たな観戦体験

公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ

2022.09.29

公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
マーケティンググループ 湯川 伸介 氏

国内男子プロバスケットボールリーグ・B.LEAGUE(以下、Bリーグ)は、2016年11月にリーグ全体のLINE公式アカウントを開設し、現在の友だち数は580万人に達しています。

 

2022年5月に開催された年間チャンピオンを決める「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」では、「新規ファンの獲得」「来場時の体験価値向上」を目的に、LINE公式アカウントで複数施策を展開。施策の内容や成果について、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグのマーケティンググループ・湯川伸介氏(以下、湯川氏)に話を聞きました。

目的
  • Bリーグの試合を観戦したことがない新規のファンを増やしたい
  • 既存ユーザーに対する観戦体験の向上とともにリピートを促進したい
施策
  • 試合前にLINE公式アカウントの友だち限定で観戦ペアチケットのプレゼントキャンペーンを実施
  • 「観戦チャットボット」を作成し、LINE公式アカウント内でユーザーの属性・習熟度に合わせた観戦ガイドを提供
  • 試合会場で「記念チケット型NFT」や限定壁紙をプレゼント
効果
  • 観戦未体験の新規ファン獲得とともに、当日のインセンティブ提供で友だち数が増加
  • 来場者限定の企画については、観戦体験の価値向上が実現

B.LEAGUEのLINE公式アカウントが「友だち数580万人」に達するまで

Bリーグは 、2016年に開幕した国内男子のプロバスケットボールリーグです。6シーズン目を迎えた「B.LEAGUE 2021-22」(2021年9月30日〜2022年5月29日)には、上位B1が22クラブ・B2が14クラブの計36クラブが参加。2022年5月28、29日に東京体育館(東京・千駄ヶ谷)で開催された「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」(琉球ゴールデンキングスVS宇都宮ブレックス)では、宇都宮ブレックスが連勝して見事チャンピオンに輝きました。

 

リーグ全般の管理運営を担う公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグでは、設立当初からリーグの認知度向上、集客などの施策を展開してきましたが、その一環として2016年11月にLINE公式アカウントを開設しました。

 

「LINE公式アカウントの開設は私がB.LEAGUEに入社する以前のことですが、当時はまだバスケットボールがメディアに取り上げられることが非常に少ない時代でした。そうした背景から『メディアに取り上げられるのを待つ』のではなく、自分たちから積極的に発信し、メディア露出を増やしていく——。その施策としてオウンドメディアおよびソーシャルメディアの積極活用を推進するようになりました。開設当初は所属クラブが週替わりでLINE LIVEで配信を実施するなどしていたようです」

公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ マーケティンググループ 湯川 伸介 氏

LINE公式アカウントの開設翌年となる2017年には、新規の友だち数増加を狙ってLINEプロモーションスタンプを活用。人気クリエイターとコラボしたスタンプは1週間で300万ダウンロードを突破するなどの反響がありました。その後、2022年にも同様の施策を展開するなど継続した活用を続け、現在(2022年8月時点)、友だち数は580万人を超えています。

一大イベント「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」に向けたプレゼントキャンペーン

2022年5月には、Bリーグが開催する「日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22」の事前および当日において、LINE公式アカウントを活用した企画を展開しました。

 

年間チャンピオンを決める、日本生命FINALSはシーズンの中でも一大イベントに位置づけられます。大前提として、ここで一気に新規ファンを拡大したい、という思いがありました。同時に、来場者の観戦体験を向上するさまざまなコンテンツを実験的に試し、今後試行錯誤していく材料を発掘したいという目論みもありました」

 

事前に行われた企画の1つが、「友だち限定」で行われた日本生命FINALS観戦ペアチケットのプレゼントキャンペーンです。

友だち限定で配信したチケットプレゼントキャンペーンを告知するメッセージ配信

アンケート回答(全11設問)を応募条件に、抽選で8組16名が日本生命FINALSに招待されました。最終的には2万人を超える応募が集まったほか、「観戦チャットボット」を新規で作成してリッチメニューに導線を設置。ユーザーの属性・習熟度に合わせた観戦ガイドを提供しました。

リッチメニュー内の「観戦ガイドスタート」をタップし、トーク内で展開される質問に回答していくとユーザーに合わせたコンテンツがレコメンドされる

「数値を見ても分かる通り、観戦チケットプレゼントは大変好評でした。アンケート回答率は67%と想定以上に高く、回答の中には『プロバスケを観戦したことがない』、『すっかりご無沙汰になっている』という方も大勢いらっしゃいました。事実、音がうるさそうだから子ども連れには不向き、などを理由に観戦を控えるファミリー層もいらっしゃいます。しかし、一度でも観戦に来てもらえば、夢中になれる魅力があります。そのためにも、イメージを刷新するため観戦体験の改革にも着手しています」

日本生命FINALS当日は記念チケット型NFT・限定壁紙を配布

一方、日本生命FINALS当日の会場でも「さらなる友だち増加」「観戦体験向上」「CRMによるリピート促進」を目的に2つのキャンペーンを実施しました。

 

1つは、会場特別ブースでの「記念チケット型NFT」の発行です。日本生命FINALSで発行された記念チケット型NFTは、来場した人だけが入手できる限定版で、コレクター心をくすぐるのはもちろん、日本生命FINALS観戦を証明する記念品になりました。

「日本生命FINALS2日間の総来場者は1万3,528名でしたが、このうち9%(1,243人)が記念チケット型NFTにアクセスし、そのうち74%(915人)がNFTカードを受け取っています。東京体育館という大きな会場内に1箇所だけ設けた特別ブースであったこと、また、NFTの認知度から考えれば、かなりポジティブにとらえられる実証結果なのではないでしょうか。実際、白・黒・銀・金でレア度が異なる複数のNFTカードを“おみくじ”的に引いてもらうなど、当日のブースはかなり盛り上がったと実感しています。来場者は限定NFTカードが入手できる、我々はそれをきっかけにLINE公式アカウントの友だちになってもらえる、双方にとってメリットがある施策だったと思います」

 

もう1つ当日行われたキャンペーンが、来場者限定の壁紙プレゼントです。

 

Bリーグではハーフタイム中などに一般参加者による「フリースローチャレンジ」が実施されていますが、日本生命FINALSでは一般参加者のフリースローを来場者が鳴り物などで応援する企画を実施。応援の「お礼」としてバスケットコート上部のLEDビジョンにQRコードを掲出し、そこから限定壁紙をダウンロードしてもらいました。

コートの真上にあるLEDビジョンにQRコードを表示。ここからLINE公式アカウントを友だち追加すると、限定壁紙がダウンロードできる

「2日間合計のQR読み込み数は400人ほどでしたが、このうち30%近くが新規ユーザーだったため、新規の友だち数増加の一助となりました。来場されたコアなファンほど友だちになってもらえていない、QRコードの表示時間が短かったなど、改善の余地はありましたが、この実証はクラブへの展開を含め、今後に生かしていきたいです」

日本生命 B.LEAGUE FINALS 2021-22の各施策で得た経験・知見をクラブチームにも横展開していきたい

事前・当日の各施策で「新規ファンの獲得」「来場時の体験価値向上」を狙った湯川氏は、今回の取り組みに対する評価として「Bリーグ主導の取り組みとしては、十分に成功したと言える」と総括し、今後の展望を語ります。

 

「野球やサッカーのような他プロスポーツと同様、試合観戦以外でも『応援することが楽しい』『試合前後のイベントが楽しい』『会場に行くこと自体が楽しい』……といった付加価値がなければ、なかなかリピーター獲得は実現しません。

 

今回は日本生命FINALSという大規模イベントを通じ、お客さまの新規獲得・体験価値向上に貢献できそうないくつかの実証を試みました。しかも、取り組みはすべてLINEのプラットフォーム内で完結します。ほとんどの方がスマホにLINEアプリをインストールしていることから考えれば、誰でも企画に参加できるということです。今回得た経験・知見は、9月末から始まる新シーズン(B.LEAGUE 2022-23シーズン)のイベントにも反映させていきたいですし、各クラブにも情報共有・横展開していきたいと考えています」

 

(公開:2022年9月、取材・文/安田博勇、写真/小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです
※本記事内の実績は取材先調べによる数値です

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