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LINEプロモーションスタンプ

アサヒビールが示したLINEプロモーションスタンプの新たな価値

アサヒビール株式会社

2021.01.21

アサヒビール株式会社 マーケティング本部 デジタルマーケティング部 担当課長 枝川 高氏(写真右)

株式会社電通 第5ビジネスプロデュース部 統合マーケティング・プロデュース部 統合マーケティング・プロデューサー 大久利 太輔氏(写真左)

主力商品「アサヒスーパードライ」を中心としたアルコール飲料を製造・販売するアサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)は、2017年にLINE公式アカウントの運用を開始。2020年には友だち集めを目的にLINEプロモーションスタンプへ出稿しました。

 

スタンプ活用の背景やLINE公式アカウントの運用について、デジタルマーケティング部の枝川高氏(以下、枝川氏)と、同社のLINEプロモーションスタンプ出稿をサポートした株式会社電通の大久利太輔氏(以下、大久利氏)に話を聞きました。

目的
  • LINE公式アカウントの友だちを増やしたい
施策
  • LINEを活用したサンプリングやキャンペーン施策で、商品のファンであるユーザーをLINE公式アカウントの友だちとして誘導 
  • LINE公式アカウントの開設から3年が経過した2020年、新たな友だち獲得の施策としてLINEプロモーションスタンプに出稿
効果
  • スタンプ配布により100万人単位でターゲットリーチ(ブロックを除外した有効な友だち数)が増加 
  • スタンプの配布以降もブロック率を抑えたまま運用が継続できている

CRM戦略の課題解決を目的にLINE公式アカウントの運用を開始

アサヒビールでは長年、商品のプロモーション手段としてオフラインでの施策に注力してきました。広く知られているのは、対象商品に添付された応募シールなどをハガキに貼って応募すると、賞品が必ずもらえる・当たるといったキャンペーンです。同キャンペーンは今でも継続的に展開され好評を得ています。

 

一方、スマートフォンが普及した昨今、オフライン施策だけではユーザーと継続的な接点を持つためのCRM戦略に課題がありました。そこで開始した取り組みの一つが、LINE公式アカウントの運用でした。

 

2017年にアカウントを開設し、2018年から本格的な運用を開始。これまで、コンビニで無料引き換えクーポンが当たるサンプリング、対象商品の貼付シールに記載されたQRコードを読み込んで参加するポイントプログラムなどの施策を展開し、LINE公式アカウントの友だちを集めてきました。

 

「当社で扱っている商材はアルコール飲料です。購買ユーザーは成人に限られるため、導入前の検討段階では、LINEというプラットフォームがターゲット層と合致しているのか懸念がありました。しかし、実際のLINEのユーザー属性は20歳以上が9割ほど――、むしろ最適なメディアであると考えました。実際に運用を始めてからも、LINE公式アカウントは最も“お客さまの反応が良い”と感じています。メルマガやアプリからの情報発信は開封率や閲覧数を向上させることに苦労しましたが、LINE公式アカウントはメルマガやアプリと比較しても高い数値を維持しています」(枝川氏)

アサヒビール株式会社 マーケティング本部 デジタルマーケティング部 担当課長 枝川 高氏

ユーザーデータの基盤が整った段階でLINEプロモーションスタンプを活用

2020年には、初めてLINEプロモーションスタンプを実施。通常、LINE公式アカウント開設直後、運用の初期段階に友だちを増やす目的でLINEスタンプを配布する企業が多い中、アサヒビールの場合はアカウントの開設から既に3年が経過していました。

 

「一般論として、企業アカウントでのスタンプ配布は、一気にLINE公式アカウントの友だちを集めるための施策として行われるケースが大半を占めます。お客さまもスタンプ目的で友だちになるため、その後のコミュニケーション次第ですが、ブロック率は高まる傾向にあります。アサヒビールさんでも同様の懸念を持っていて、スタンプを積極的に活用することはありませんでした。むしろ、サンプリング施策や店頭キャンペーンなどを通し、ファンを確実にLINE公式アカウントへ誘導することを重視していたため、良好なブロック率を維持したまま運用できていたと思います」(大久利氏)

株式会社電通 第5ビジネスプロデュース部 統合マーケティング・プロデュース部
統合マーケティング・プロデューサー 大久利 太輔氏

そんな状況の中、LINEプロモーションスタンプの活用に踏み切ったのは、3年間の運用を通して蓄積してきたノウハウにより、スタンプで大規模に友だちを集めても、ユーザーに寄り添った情報を発信するための準備が整ってきたためと枝川氏。

 

「3年間のLINE公式アカウント運用で蓄積してきた情報をもとに、お客さまに寄り添った情報をお届けすることができるようなってきました。つまり、スタンプで大規模に友だちを集めたとしても、“お客さまに喜ばれないようなコミュニケーション”を回避することができるようになりました。この状況を受けて、初めてのスタンプ施策に踏み切りました」(枝川氏)

 

LINEの担当営業である植森翔も、アサヒビールのLINE公式アカウント運用とLINEプロモーションスタンプ出稿の背景について、以下のように振り返ります。

 

「アサヒビールさんのLINE公式アカウントでは、キャンペーンなどを通して着実にファンであるお客さまを誘導しつつ、その後の適切なメッセージ配信に注力されていました。そのため、ブロックを抑えながら運用を続けることができていたと思います。そんな中、2020年の4月頃にスタンプの話が持ち上がりました。ちょうど、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発出されようとしていた頃で、多くの人が今後について不安を抱えていた時期です」(植森)

LINE株式会社 クライアントソリューション第1チーム 植森 翔

企業色を薄め、コンセプトを重視した「“想いつながる”LINEスタンプ」

新型コロナウイルスの感染拡大という予期せぬ事態の中、アサヒビールは株式会社クオンの人気キャラクター「ベタックマ」とのコラボレーションで、「“想いつながる”LINEスタンプ」を2020年7月7日〜8月3日の期間限定で配信しました。

スタンプは「2種類×8シーン」というクリエイティブで構成され、対となるスタンプを送り合うことでコミュニケーションが成立する設計です。コンセプト策定に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大によって「人と人のつながりが分断された」昨今の時流が強く影響しています。

 

「当社が独自に行った『コロナ禍前後のコミュニケーションに関する調査』によると、『約7割の人が以前よりもつながりや絆を大切に感じるようになった』『約8割の人がSNSやLINEなどのオンラインツールを通じてつながりや絆を確認できると思う』との回答を得ました。たとえコロナ禍で我々の暮らしに物理的な距離が生まれても、つながりや絆をなくすことはできない——そんな思いを込めました」(枝川氏)

 

「コロナ禍により、多くの人が今後について漠然とした不安を抱えていた時期、お客さま同士が送り合うことでコミュニケーションが成立するというコンセプト重視のスタンプ施策に対し、深く感銘を受けたことを覚えています。外出制限が始まる中、アサヒビールさまが自社の社会的意義を考えた末に生まれた企画だと思いました」(植森)

 

スタンプ出稿にあたり、アサヒビールでは「100万人単位で友だちを増やすこと」を目標にしていましたが、結果として100万人単位でターゲットリーチ(ブロックを除外した有効な友だち数)が増加。社内からの評判も上々だったといいます。

 

「我々が提供している“お酒”という商材も、互いのつながりや絆を確かめ合う、ある種のコミュニケーションツールです。コロナ禍で飲み会を自粛せざるを得ない状況が続き、誰かと一緒にお酒を飲む機会も減少したと思いますが、一方でオンライン飲み会など新たな価値も生まれました。『物理的な距離が生まれてもつながりや絆をなくすことはできない』というスタンプのコンセプトは、我々の事業にも相通じる部分があります」(枝川氏)

また、ともにスタンプの企画を立案・運用してきた大久利氏は、今回の結果でLINEプロモーションスタンプの新たな価値に気付いたと語ります。

 

「誤解を恐れずに言えば、これまでの企業スタンプの多くは、そのブランドや商品の好き嫌いに関係なく、“広範囲に網を張るような施策”というイメージが先行していました。しかし、今回はアサヒビールというブランドのファンがスタンプのコンセプトに共感し、そこにブランドの理念やビジョンを感じてくれたように思います。あるいは、スタンプをきっかけにブランドのファンが増加した――。これは、我々のような代理店としてもスタンプ施策の価値を再認識する新たな発見でした」(大久利氏)

 

今後、アサヒビールではLINEというプラットフォームで、ユーザーに対するブランドコミュニケーションに注力していくといいます。

 

「既に継続的に行っていますが、お客さまに寄り添ったコミュニケーション設計の最適化については、引き続き取り組んでいきたいと考えています。また、LINEを活用した販促戦略も検討しているので、今後もアサヒビールのデジタル戦略にご期待いただければと思います」(枝川氏)

 

(公開:2021年1月/取材・文:安田博勇、写真:小川孝行)

 

※本記事内の数値や画像、役職などの情報はすべて取材時点のものです