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Webマーケティング入門 公開日:2023.08.10

プレスリリースとは? 意味ない? 書き方や配信のやり方・効果を解説

Yahoo!広告

プレスリリースとは、企業が報道機関に向けて公式情報を発表、提供することです。プレスリリースを上手に活用すると、メディアに報道される機会が増え、結果として認知度向上や売り上げアップなどが見込めます。

そこで本記事は、プレスリリースを考えている広報担当者に向けて、プレスリリースとは何か、効果やメリット、配信方法や手順、注意点、プレスリリースの作り方、作成のポイントなどを解説します。

プレスリリースとは? 簡単に言うと?

プレスリリース(Press Release)とは、企業や団体が新聞社、雑誌社、Webメディアなどの報道機関に発表・提供する公式文書、またはプレス発表自体を意味する用語です。プレスリリースの代表的な内容を以下に挙げます。

  • 新商品・サービスの発売
  • 新事業立ち上げ
  • 企業・事業の合併や買収
  • 新社長就任などの人事
  • 新技術や研究成果についての論文発表

このようにプレスリリースは、自社のビジネスに大きな変化があったときに利用する、代表的な広報手段です。

プレスリリースの目的

プレスリリースの目的は、報道機関に一次情報を提供することです。それによって、以下の効果を期待できます。

  • 自社商品・サービスの信頼度・認知度の向上
  • 販売促進
  • ステークホルダーの反響をマーケティング活動に生かす
  • 業務提携や投資につなげる

それぞれの内容は、のちほどプレスリリースのメリット・効果の見出しで解説します。

プレスリリースと混同しやすい手法との違い

ここではプレスリリースと間違えやすいプレリリース、ニュースリリース、広告との違いを解説します。

プレリリースとの違い

プレリリースとは、プレスリリース前に公表内容や公表する報道機関を限定して、事前に情報公開することです。したがって、プレリリースは事前発表、プレスリリースは正式発表という違いがあります。

ニュースリリースとの違い

従来は、報道機関を介して発信するものはプレスリリース、エンドユーザーに直接発信するものはニュースリリースと呼ばれていました。しかし、インターネットが進んだ現在では、ほぼ同じ意味で使われています。

広告との違い

広告とプレスリリースの違いを比較したのが以下の表です。

広告 プレスリリース
目的 直接エンドユーザーにアピール 主に報道機関を介してステークホルダーにアピール
関与するメディア関係者 広告・CM媒体 報道機関
掲載内容の決定権 自社 報道機関
第三者からみた情報の信頼性 低い 高い
情報発信にかかる費用 安い 高い

広告は商品を直接アピールする手法です。対してプレスリリースは、報道機関に情報提供して間接的に拡散効果を期待する方法です。

プレスリリースを配信するメリット・効果

メリット画像

ここでは、プレスリリースのメリット・効果について解説します。メリット・効果を知っておくと、マーケティングの課題に応じて、プレスリリースを有効活用できるようになります。

企業や製品・サービスの信頼度と認知度向上

第三者であるメディアに客観的に報道されると信頼性が高まります。大手の新聞社や雑誌社のように権威性があるメディアに掲載された場合に特に効果的です。

また、各種メディアには多数のユーザーがいるため認知度向上が見込めます。さらに、情報を受け取ったエンドユーザーが、SNSなどを通じて情報拡散する効果も期待できるでしょう。

販売促進効果

信頼性の高いメディアに掲載されることで、販売促進効果も期待できます。近年ではインターネットの普及により、速報性の高いWebメディアやプレスリリース配信サービスなどを閲覧するエンドユーザーも増えているため、広告と似た効果を期待できます。

マーケティング活動に活かせる

プレスリリースはステークホルダーからの反応を情報分析するチャンスでもあります。どのマスコミが取り上げているか、切り口は何か、一般消費者からどのような声が上がっているかなどを調べられます。さらに、報道は各メディアがおこなうため、広告コストを抑えられるのが特徴です。

収集した情報はマーケティング活動に応用できます。例えば、アクセス数が多かったWebメディアの広告枠にディスプレイ広告を出稿したり、プレスリリースを取り上げたインフルエンサーの動画チャンネルに広告を出稿したりするなどが考えられます。

業務提携や投資に繋がる

プレスリリースはエンドユーザーだけでなく、企業や投資家も閲覧しているため、業務提携や投資の話につながることがあります。例えば新技術を実用化したプレスリリースであれば、それを応用したい企業が関心を持つでしょう。また、音楽や映画の新事業スタートのプレスリリースであれば、投資家がコンタクトしてくるかもしれません。

プレスリリースで配信できる内容

プレスリリースで配信できる内容は以下のとおりです。

  • 新商品やサービスの内容
  • キャンペーンやイベント、セミナーなどの開催情報
  • 研究や調査の報告、論文
  • 企業動向(M&A、人事など)

一方、次のような内容は基本的に配信できません。

  • プレスリリースした内容の再告知
  • すでにメディアが報道した内容
  • 季節の挨拶や決意表明など内容が薄いもの
  • 広告やメルマガなどと同じ内容
  • 外国語のみの内容

プレスリリース配信までのやり方・手順

ここではプレスリリースの準備から配信までのやり方・手順を、7ステップに分けて解説します。

プレスリリースに向けた情報収集

最初におこなうのがプレスリリースに向けての情報収集です。社内調査としては、新商品開発やキャンペーン開催などニュースバリューのある材料がないか調べます。また、対外的には消費者のトレンド、競合他社の動向など効果的なプレスリリースにするために生かせる情報を調べます。

配信の目的を決める

材料が決まったら、誰に何を届けたいか決めます。例えば、エンドユーザーを狙ったプレスリリースなのか、業界や協業他社に知らせるプレスリリースなのかによって、メディア選定は変わります。

また、同じ新商品の発表でも技術的な革新性をアピールするのか、利用者のベネフィットをアピールしたいのかによってプレスリリースの内容は変わります。情報配信の戦略を明確にしておく必要があります

送付するメディアを選ぶ

配信戦略が決まったら、プレスリリースを送付するメディアを選定します。できるだけ多くのメディアに送ればよいわけではないため、プレスリリースで扱う商材やジャンルに応じてメディアを絞り込みましょう。作成したメディアリストは、通常、頻繁に変わらないため、長く使えるリストを意識して作成するのが重要です

プレスリリースを作る

メディアが決まったらプレスリリースを作成します。プレスリリースは一次情報になる公式文書なので、正確でわかりやすい内容を目指すのが大前提です。そのうえでメディアが記事にしやすいようなニュースバリューや、フックとなるキーワードなどを含めるとよいでしょう。

画像を選定する

必要に応じて画像も有効活用しましょう。例えば、商品画像の写真を掲載すれば、メディアにも掲載してもらえます。また、込み入った内容を図表やイラストでわかりやすく解説すれば、メディアの理解を促進でき、そのまま引用してもらえる可能性も高くなります。

問い合わせへの事前準備

プレスからの問い合わせにも備えましょう。プレスリリースには直通の問い合わせ先を記載し、その窓口に人員を配置しておきます。広報だけで対応できない場合には、営業、商品開発担当者、経営層なども待機してもらいましょう。

プレスリリースを送る

プレスリリースに必要な情報が含まれ、誤字脱字や不正確な情報などがないか確認したあと、メディアに送付します。現在はメールでデジタルデータを送るのが一般的です。興味を持ってもらうために電話連絡、対面持ち込み、FAXなどの方法を取ることもあります

プレスリリースを配信前に理解するべきこと

先述したようにプレスリリースは広告と違う特徴があります。プレスリリースを配信する前に、注意点も知っておきましょう。

自社にとって望ましい報道がされない場合もある

プレスリリースがどのように報道されるかは、自社でコントロールできません。場合によっては、望ましくない報道がされるケースもあります。例えば、新商品の発表に対して、「○○社を追いかける形での発売だ」「当初の予定より発売時期が遅れた」などと報道されても文句は言えません。また、メディア側の記者の誤解により、不正確な内容が拡散されるリスクもあります。

メディアに掲載されるために工夫をする

メディアが記事にしたいと思わせるようなプレスリリースを意識しなければ、効果は薄くなるでしょう。例えば空気清浄機のプレスリリースの場合、単にスペックを説明するだけではメディアは記事を書きにくいものです。しかし、「ニューノーマルの感染症対策向けに開発した」のようにフックになる内容があれば、メディアも記事にしやすくなります。

問い合わせなど対応が増える可能性がある

プレスリリースの反響が大きかった際は、電話やメールによる問い合わせや取材の対応が増えます。また、有形商材の場合は商品の需要が増えるでしょう。ビジネスチャンスを逃さないように、余裕を持って体制を整えておきましょう

意味のないプレスリリースの特徴

広告費が安いプレスリリースは、ともすれば情報発信を乱発してしまいがちです。しかし、安易にプレスリリースしても効果は出ません。ここでは代表的な失敗例を紹介します。

情報が古いプレスリリース

新規性のないプレスリリースは意味がありません。例えば、「〇月〇日で発売から満1年となる」のような過去形の内容は、メディアから注目されにくいでしょう。メディアで報じられないため、鮮度の低い情報をプレスリリースするのも、遅きに失しています。

内容にインパクトがないプレスリリース

商品のマイナーチェンジや、予想どおりの社長就任など内容にインパクトがないプレスリリースも効果が見込めません。メディアからプレスリリースに値しない情報だと思われると、企業の信頼度が下がり、今後の活動にも支障が出る可能性があります。

内容的に関連が薄いメディアに送るプレスリリース

プレスリリースと関連度が薄いメディアにプレスリリースを送るのも避けるべきです。ジャンルが違ったり、自社ターゲットとメディアの読者層が明らかに違ったりする場合に、プレスリリースを送付するのは意味がありません。さらに、メディアから不快感を持たれたり、受け取りを拒否されたりするリスクもあります。

構成がよくないプレスリリース

短時間で内容が把握できないプレスリリースは、無視される可能性が高くなります。例えば起承転結の構成になっており、最後まで読まないと結論がわからないプレスリリースは途中で読み捨てられるリスクが高くなります。

プレスリリースの書き方・作成方法

効果的なプレスリリースを作成するには、基本的なフォーマットとルールに従うのが重要です。構成要素、配信方法、配信タイミングなどの重要ポイントを解説します。

プレスリリースの基本的な構成

ここではプレスリリースで必須の構成要素と、それぞれの書き方を解説します。

発信日・発信者

発信日は、プレスリリースを配信した日を西暦の年月日で記入します。また、発信者は必ず正式名称で書きます。

発信日・発信者は1ページ目の右上に書くのが一般的です。また、左上にはプレスリリースであることと報道機関に向けたものである旨を記入します。

Press Release
報道関係者各位

20○○年△月×日
株式会社○○○

タイトル・見出し

タイトルはプレスリリースの内容を端的に要約した30文字程度に納めた文章を記述します。基本的には「誰が・何を・どうした」というフォーマットで書きます。見出しは興味を引くフレーズより、何が書かれているかがわかるように簡潔に書くのが一般的です

また、重要なキーワードを最大3つ程度入れたり、形容詞でなく具体的な数値を入れたりするのも効果的です。

【具体例】
ヤフーYahoo!・データソリューション、プレミアム商材関心層を探るオンラインセミナーを開催
・・・
■開催概要
・・・
■ヤフーYahoo!・データソリューションについて
・・・

リード文

リード文は全体の内容を簡潔に要約した5〜6行・200〜300文字以内のテキストです。リード文は価値のある情報が書かれているか判断するために読まれるため、すばやく内容を把握できるように書きます

【具体例】
Yahoo!株式会社が提供する事業者向けデータソリューションサービスは、6月15日(木)、プレミアム商材に関心を持つ消費者層を探るデータ活用セミナーをオンライン開催(Zoom)します。

本文

本文はいくつかの見出しに分けて作成します。ポイントは次の3つです。

  • 「結、起・承・転」の構成で結論から書く
  • 専門用語はなるべく避ける
  • 積極的に図表、写真、イラストを使って理解を促す
  • A4用紙1~3枚のボリュームに抑える(詳しい内容を伝えたい場合は別途資料に分ける)

問い合わせ先

興味を持ってくれた記者がすぐに連絡ができるように、企業名、部署名、担当者名、連絡先(電話、メールアドレス)を記載します。連絡先は代表電話、メールアドレスではなく、直接の連絡先を書くのが一般的です。

【具体例】
〇〇株式会社○○部○○課
担当者名:○○ ○○
電話番号:〇〇-〇〇-〇〇(受付時間〇時~〇時)
メールアドレス:〇〇〇@〇〇〇
問い合わせフォーム:https://www.○○○

例文

プレスリリースを送付する際には、メール、郵送、FAXなどでプレスリリースを送付します。この際、メール本文にプレスリリースの内容を簡潔に書き、添付のプレスリリースに目を通してもらいやすくします。具体的な構成は以下のとおりです。

【具体例】
○○○○○○株式会社
○○担当 ○○○○様

いつもお世話になっております。(挨拶文、以下省略)

さて、この度弊社では、4月1日(月)、新商品「○○○」をリリースいたしました。(概略を簡潔に説明、以下省略)

貴社の読者様へご興味を思っていただける商品かと存じますので、ぜひ取り上げていただきたく、ご連絡を差し上げました。

お忙しい中恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。

○○○株式会社 ○○

プレスリリースを書くときのコツ

ここまで、項目ごとのポイントを解説してきましたが、全体の作り方で意識したいポイントは次のとおりです。

  • 一次情報としての正確性を最優先する
  • 5W1Hで伝えるべき情報を整理し、網羅する
  • 1リリース1テーマに絞る
  • 自社商品・サービスをアピールする際は、客観的なファクト・事実を挙げる
  • ニュースバリュー、トレンド性を意識する(記事にしてもらいやすい内容を意識する)

プレスリリースの配信方法・出し方

ここではプレスリリースの5つの配信方法・出し方を紹介します。

メディアに直接配信する

各報道機関に直接プレスリリースを送付する方法です。ニュースバリューが大きいケースや、企業の知名度が高い場合には報道してもらいやすいのがメリットです。また、ぜひとも掲載してもらいたいメディアの担当者に直接会うなど、広報活動にメリハリも付けられます。一方、注目度が低い企業の場合、取り上げてもらいにくいのがデメリットです。

配信サービスを利用する

PR TIMESや@Pressなどのプレスリリース配信サービスを利用する方法です。この方法は有料ですが、掲載を断られる可能性が低いのがメリットです。また、媒体自体に集客力があるため、報道機関や企業にみつけてもらいやすくなります。一方、インパクトがないと、他社のプレスリリースに埋もれてしまいやすいのがデメリットです。

自社サイトに掲載する

自社のホームページやオウンドメディアにプレスリリースを掲載する方法もあります。フォーマットが自由な点、関連ページにリンクを貼りやすい点、広告費がかからない点がメリットです。ただ、自社サイトのアクセス数が少なければ、大きな効果は見込めません。

PR会社を利用する

PR会社とは広報業務を代行する業者です。広告の場合は広告代理店が代行しますが、プレスリリースの場合はPR会社に依頼します。RP会社に依頼するとPR戦略の立案やプレスリリースの作成、メディアへの送付などを請け負ってくれます。また、PR会社が報道機関にコネを持っており、報道してもらうように働きかけてもらえる場合もあるようです。一方、自社でプレスリリースするより費用がかかるのがデメリットです。

記者クラブに持ち込む

記者クラブとは、新聞社や通信社、テレビ局などの大手メディアから派遣された記者が集まる拠点です。テレビでよくみる官公庁の記者クラブが有名ですが、財界や業界団体にも記者クラブがあります。

記者クラブにプレスリリースを持ち込めば、大手メディアにまとめて認知してもらいやすいのがメリットです。しかし、ニュースバリューがなかったり、企業としての知名度がなかったりすれば応対してもらえない可能性もあります。

プレスリリースを配信する際のポイント

プレスリリースが完成したらいよいよ配信です。ここでは配信前にチェックしておきたいポイントを解説します。

プレスリリースを配信する曜日・時間(タイミング)

プレスリリースのタイミングに適しているのは平日の10時〜15時のビジネスアワーがおすすめです。新聞社は夕方以降、朝刊の記事作りで忙しくなるため、プレスリリースをチェックしてもらいにくくなります。

統計的にはプレスリリースが多いのは火曜日、水曜日の10〜11時です。休日明けでメディアが忙しい月曜日を避けて、配信する企業が多いと推測されています。

プレスリリース配信前に最終チェックをおこなう

プレスリリースは企業の公式情報です。一度プレスリリースすると一気に情報拡散される場合もあるため、責任感を持ってミスなく配信していきたいところです。主なチェック項目を以下に示します。

  • 誤字脱字
  • ファクトや数値の裏付け
  • 問い合わせ先が記載されているか
  • プレビュー画面での確認(レイアウトが崩れていないか、フォントサイズが適切かなど)
  • 送付先メディアリスト(抜け・ダブりがないか、プレスリリースと親和性があるか)
  • 配信サービスを利用する場合、公開範囲の設定(報道機関のみか一般ユーザーを含めるか)
  • 配信サービスを利用する場合、配信予約時間の設定
  • SNS投稿やWeb広告など、プレスリリースに合わせた施策の準備状況

プレスリリースを活用して効果的に情報発信しよう

プレスリリースは企業の代表的な広報手段です。各メディアにプレスリリースを取り上げてもらえれば、認知度向上や販売促進などさまざまな効果が見込めます。プレスリリースには基本的な構成やルールが存在するため、本記事で解説したような知識を知ってから、プレスリリースを活用していきましょう。

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